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モモの音楽日記広西への旅

 広西の旅・その11  09.7.27

 
♪桂林市内へ♪

 
三江を朝9:30に出発し、直行バスで桂林に到着したのは12:40。六時間って聞いていたのに三時間強で着いちゃったよ。しかも来た時のバスと違って車内は清潔でシートも広く、日本の観光バスより快適なんじゃないかと思うくらい。
 
 ビデオまで放映してくれていて(ちなみにトニー・レオン主演の「韓城攻略」〜♪)、通路をはさんだ隣の若い男の子が、口をぽかんと開けたまま目を輝かせ食い入るように見ていました。ビデオよりそっちを見ている方が面白いよ・・みっともないから口閉じなさいね(笑)。
 
 桂林に着いたはいいけど、一体ここはどこなんだろう。行きは龍勝から出発したし、それまではずっと植物園の皆さんと行動していたので、桂林の街を歩くのは初めて。
 
 乗っていたバスの運ちゃんに地図を見せ「ここって地図のどこ?」と質問すると、見もせずに「オレだって知らんよ」と素っ気ない返事。教えてくれたっていいだろケチ!! やはり都会の人は冷たいなあ。
 
 大きめの売店があったので、ヒマそうにしている店員達にお土産を買いがてら訊いてみると、ああだこうだと皆で相談しながらバスの乗り場やら色々教えてくれました。有難うおばちゃん達!

 
♪桂林のバス♪

 時間もあるしせっかくだから街ぶらしようと、中心地に行くバスに乗車。空いていたのでゆったり座っていると、火のついた煙草を手に持ったまま乗ってくるおじさんがいました。
 
 何人かの乗客から痛い視線を浴びているのに、おじさんはどこ吹く風で吸い続けます。と、私のお向かいに座っていた妊婦さんがひと言、「車内は禁煙でしょ。すぐにその煙草を捨てなさい」。
 
 無視するおじさん。しかし続けて運転席からも「吸うんだったら今すぐ降りろ!」とキツい口調。おじさんと運ちゃん(運転中・・)はしばらく言い合っていま したが、おじさんしぶしぶ諦めて煙草を窓からポイ(こらこらッ)。いたたまれなくなったのか、次で降りて行きました。あ〜スカッとした。
 
 昼ご飯に米粉を食べ、ココナッツミルクティーをがぶ飲み、焼き栗をほおばりながら(食べてばっか・・)歩行街をぶらぶら。でもそろそろ植物園に戻って皆さんと合流しなくちゃ。
 
 バスに乗ろうとして、バス代の1.2元のうち端数の2角が財布に無いことに気が付きました。中国のワンマンバスはおつりが出ないので、2元払ってしまうか、次に乗る人から自力でおつりを徴収するか、どちらかしかありません。
 
 ところが桂林の運ちゃんはあっさり、「ああ、んじゃ次に乗った時に余計に払っておいてね」と端数は勘弁してくれました。優しい〜。でも翌朝に帰国する旅行者の私、次の機会はないのだ。ごめんなさい。

 ♪旅の終わり♪

 さてその後は無事に植物園の皆さんとも合流し、夕食までの時間に広い広い植物園を案内してもらいました。聞けば雲南の周さんとアメリカのデヴィッドさんは 漓江下り観光に行ってたそうで、そういえば今回は桂林という有名な観光地に居たというのに、それらしい所に行ってないなあ・・。
 
 移動中のバスの中からも桂林らしい奇岩は見えていたので、それで満足してしまって一枚もカメラに収めなかった自分に後悔。せめても、と空港の待合室から雨で曇ったガラス越しに写してみました

 


いちおう桂林らしい風景・・?
    
  
 ♪空港での攻防戦♪

 毎度のことながら空港での待ち時間というのは退屈なもの。それでも地方空港だと特産品などが売っていて、冷やかしでも見ているだけで楽しいものです。
 
 桂花陳酒というのは日本でもポピュラーですよね。空港の店にも置いてあったので、安くて小さいのをひと瓶、買ってみました。「ここで買っても北京の空港で 没収されちゃうんじゃない?」とSさん。うーん、でも来た時は北京での乗換えの際に預け荷物を一旦受け取ったので、帰りも同じならばその時に荷物の中に入 れてしまえるはず。
 
 ・・・しかしSさんの予感は的中。ここは中国、その時その時でやり方が変わるのだった。結局預け荷物は私達の手に渡ることなく日本に送られてしまい、桂花陳酒は手荷物の中に。当然液体持込みはダメなのでチェックが入ります。
 
 わかっちゃいるけど、一応経過を説明してみる。素直に没収に応じない私に、係員は「こちらへ」と別コーナーに。まあ待ち時間ならいっぱいあるもんね。ちょうど退屈しのぎにいいや、と思いきり文句を並べてみました。
 
 最初の女性係員は「規定だから」とお決まりの言葉を繰り返すだけ。「規定規定っていうけれど、規定があるんなら毎回やり方が違うのはどういうわけだ。その 度にこちらは振り回されるんだ。国際空港だってのに統一マニュアルさえないのか?」とやり返すうち、だんだん口調がけわしくなる係員。負けずに大声で切り 返す私。
 
 あわてて別の係員がやってきて交代。今度の女性係員は若いのに位も上らしく、言葉もとても丁寧です。怒り狂っている(フリをしてるだけなんだけどね〜)私 をなだめすかし、「確かにあなたのいう事はもっともだ。今回は航空会社のやり方に問題があるので我々にはどうしようもないが(ホントかね)、国際空港とし てサービスの向上には努めるべきだ」
 
 「だいたい係員の態度が悪いんだよね。まるでこっちが罪人みたいな扱いだ」となおも言ってやると、「我々も教育を進めているが、習慣上ゆきとどかない点もある。注意しておくので、今回はどうぞお許し願いたい」
 
 おお、まるでお客様第一のような接客態度!! 中国で一個人に対してこんな言葉を発するとは!「液体類に関しては規定で持ち込めないので、ここで没収することになる。他の物ならここに預ける手続きをす れば帰りに受け取れるが、酒類はできない」のだそう。中国も随分進歩したものです。北京空港だけかもしれないけど。
 
 係員に連れられたおじいさんがカウンターにやってきました。見ると手には洋酒レミーマルタンが。係員の説明に、私のように抵抗することなく素直に没収に応じています。高価なものなのに、聞き分け良すぎ・・。
 
 私の方は黙って引き下がるのも悔しいので「じゃあここで飲んでいくけど、いい?」と、栓を開けると「それでもいいですよ」と許可がおりました。だって勿体ないし、係員に飲まれるかもしれないと思うともっと悔しいし。
 
 とはいえ、私はお酒を飲まない人。このお酒もお土産用だったんだけどな〜。安い桂花陳酒なので、たぶん混ぜ物が多いのでしょう、甘くて私には飲みやすい。 ちびちびやっている間も、さっきの係員がそばについていて時々話しかけてきます。ここぞとばかりに中国に対する不満をぶちまける私に、始終笑みを浮かべて 応対する係員。
 
 以前の中国なら考えられないこの態度。サービス向上を体現しているこの女性係員のプロ意識に、変わりつつある中国を感じました。
 
 根性でお酒を飲みつくし待合室に行くと、「えらい遅かったけどモメてたの?」と兄。事情を説明すると「言ってくれたら僕がお酒飲んだのに〜」と酒飲みならではの一言。・・・そーですか〜。

 広西の旅・その10  09.7.6

 
♪ガイドの侯さん宅♪

 
深い霧で何も見えない山道を下り、ようやく戻ってきたのは7時ごろ。ガイドのお二人さん、雨の中を長時間ほんと御苦労さま!!
 
 今夜の宿はちゃんとしたホテルにしよう。この時間なら価格も底値になってる(中国のホテルは時間が遅くなるとディスカウントすることが多いので)だろ。そう思って近くの三江賓館のロビーに行くと・・・。
 
 「今日は満室です」そ、そんなぁぁっ! 侯さん、どこかご存じだったら斡旋してもらえませんか〜。侯さんしばし考えたのち、「じゃあ今晩うち来る?」・・・えっ、いいんですか!?(といいながら実はそう言ってくれるのを少し期待していたりして)
 
 ありがたや。中国のいいところは見知らぬ人にもとても親切なところ。今の日本じゃ絶対ありえませんよね。ご厚意に甘え、侯さんの後をついて歩くこと10分ほど、坂の中ほどに木造のお家が見えてきました。
 
 迎えてくれたのは、昨日旅行社で見かけた奥さんにおじいちゃん(侯さんのお父さん)、犬の花花。そして他にも貴州の水口に住むトン族のお嬢さんが。お客さんがいらっしゃるのに、お邪魔してすみませんねえ。

 ♪油茶♪

 みんな揃ったところで、テレビの「ブルース・リー奇伝(だっけな)」最終二話を見ながら夕食。「いつものメニューで特別なものなんてないけどごめんね」いえいえ、十分です!
 
 さてこのあたりの食習慣で、特徴があるものといえば油茶。少し油を加えたお湯で茶葉を煮出します。油を入れるため色は濁った茶色で、ほうじ茶を思わせる色と香り。これに炒った米やピーナツなどの穀物類、そして砂糖や塩などを好みで入れます。
 
 お茶の時間におやつ代わりに飲むだけでなく、食事の時もスープ代わりに飲んだり、ご飯にかけてお茶づけ風にしたりとさまざま。貴州に行った際は見かけなかったので、トン族の習慣というより広西一帯の食習慣なのでしょう。
 
そういえばトン族博物館に行った時も事務のおねえさんにも「家に油茶飲みに来ない?」と誘っていただいたし、ちょっとしたコミュニケーションの場には欠かせないもののようですね。
 
 夕食後もずっと油茶を飲みながらおしゃべり。トン族のお嬢さんに歌を歌ってもらったり、犬の花花と遊んだり、トン歌のDVDを見せていただいたり。中国の人はお客さんをもてなすのに、申し訳なくなるほど一生懸命になって下さるのです。
 
 「今まで色んな人がうちにやって来たんだよ」と見せてくれたサイン帳。英語だけでなく日本語のメッセージも多数。私も感謝のメッセージを残してまいりました。
 
 寝室は独立された息子さんの部屋をお借りすることにましたが、トン族の血をひく侯さんのお宅、家の内外すべて木で造られたトン族住居。貴州で泊めてもらった時と同じ、木のいい香りに包まれて眠りにつきました。
 
 9:30発の桂林直通バスに乗るため、朝は早目の起床。朝も油茶をいただき、お世話になった侯さん一家とお別れしました。

お世話になった三江県民族風情旅行社。左から侯さん、奥さん、水口のトン族のお嬢さん
    
  

 広西の旅・その9  09.6.9

 ♪再び独同へ ♪

 
もと来た道を引き返し、独同に到着したのは三時前。来た時はとてもにぎわっていた市ですが、皆ぽつぽつと帰り支度をはじめているようです。
 
 昼食をとった食堂で歌手氏を待つことしばし。ガイドの侯さんと共に現れたその人は、想像よりずいぶん若くてびっくり。


トン族の歌手、呉さん
    
 
 歌手の呉さん。高定トン寨で会った彼のお嬢さんには既に子供がいたので、こんなに若いのに(まだ40代半ばですよ!)もう「おじいちゃん」なんだなあ・・。少数民族は結婚が早いというけれど。
 
 食堂の2階でお茶を飲みながらお話をうかがいました。と書くと順調そうに聞こえますが、実のところ呉さんの訛りのキツさはガイドの候さんのそれをはるかに上回り、会話の半分以上はサブガイド(?)の小トン君の通訳が必要でした。
 
 呉さんは歌手であるけれども、それだけを職業として生活しているわけではありません。普段は農業などを営み、お祭りの日など需要がある時のみ歌を歌います。
 
 以前行った貴州省のトン族の歌は多声部、つまり合唱形式の歌が主ですが、ここ広西三江のトン歌は単声部。ひとりで笛やトン琵琶など楽器を弾きながら歌う形式です。
 
 歌手になるには先生についてみっちり習わなければいけないので、現在はなり手が少ないのだとか。貴州の合唱は皆で集まって練習したりするようですが、ひとりで芸に向き合うのって孤独だろなあ。
 
 最後に呉さんの歌う「トン歌」をぜひ聞きたいとお願いしたのですが、曰く「今は楽器がないので、歌だけだと本領が発揮できず恥ずかしいから、申し訳ないがまたの機会に」とのこと。
 
 高定の自宅でお会いできていたら、楽器も揃っているしゆっくり歌ってもらえたのに、と思うと連絡の不備によるすれ違いが残念でなりません。
 
 ものすごく残念そうにしている私を見た呉さん、「では」と情歌や耶歌などをを数曲、一部ずつですが披露してくれました。一曲ずつ解説してもらったところに よると、今日のすれ違いのことを即興で歌詞に詠みこんだりしてくださったそう。これには感激!次はフルバージョンでたっぷり聴きたいものです。
 
 さてこの時すでに五時半ごろ。間もなく辺りは真っ暗になり霧も出てきて、山道を下りながら前もほとんど見えない状態です。よくこんなでスピード出せるなあ。
 
 そういえば今夜の宿さえ手配していない私。今日は疲れたから招待所でなくホテルに泊まってほっこりしちゃおう〜と思っていたのですが・・・。

 広西の旅・その8  09.4.27

 ♪高定トン寨♪

 
独同でひとしきり市のにぎわいを楽しんだ後、次の目的地である高定へ。
 
 実をいうと市を見ている間、ガイドの候さんがここ独同にいるという歌手の方に連絡を取ってくださっていたのですが、ご高齢で体調がよくないとのことでお会いできませんでした。
 
 高定では別の歌手(年齢もやや若めらしい)がおられるとのこと。そちらに期待し急ぎ向かった私達ですが、途中の道路は大規模な補修の最中で車は通行禁止。
 
 やむなく車を降り、高定トン寨まで半時間ちょっとの道を徒歩で向かうことに。また間の悪いことに雨が降り出し、高定に着く頃には雨足も激しくなってきました。
 
 途中の道には建てかけの家があちこちに見られました。一軒、また一軒とだんだん増えていき、また新たなトン寨ができるのでしょうね。


高定トン寨
    
 
 さてここ高定のトン寨はかなり大規模な集落で、鼓楼もひとつだけでなく七つも建っています。雨が降っていることもあり写真ではわかりにくいですが・・・。


高定独柱鼓楼
  
 

高定独柱鼓楼
  
 
 その中でもひときわ目立つのが、この11層から成る高定独柱鼓楼です。・・入口には男性たちがヒマそうにたむろってますねえ。やる事ないのかなあ(笑)。
 
 我々も二階に上がって雨やどり。丸太のベンチに腰かけ、歩き疲れた足を休めます。通行人もおらず、雨音だけが静かに聴こえるのみ。湿気のせいで草や土のにおいが濃く立ちのぼってきます。
 
 トン族の鼓楼って村に一つだけ建っているものだと思っていたのですが、ここは沢山の鼓楼があります。一体どういう基準で建てているんだろう?何か大きな祝い事や歴史的イベントがある度に建てるとか?
 
 「鼓楼はトン族の象徴だからね。例えばある一族が力をつけた時、新しく鼓楼を建てたりすることもあるね」・・・ふむ。成功の証しとして一族の力を誇示するのにポンと建てちゃったりするのだろうか。
 
 そうこうしているうち雨も止み、歌手の方の家もわかったので訪ねに行きました。迎えてくれたのは二十歳前後のお嬢さん。えっ、この子が歌手?んなわけないよね。
 
 すごい早口で標準語をまくしたてる彼女曰く、「パパは独同に行っちゃったわよ!」・・・どうやらこの子の父親がその歌手らしく、さっき私達が通ってきた市に出かけてしまったらしい。そんなあ、見事にすれ違い!?
 
 すぐさま彼女に父親と連絡をつけてもらいましたが、交通手段の関係で夕方までは戻ってこれないとのこと。それまで待っていたら私が戻れないしなあ。
 
 それではと私達が独同まで戻り、そこで歌手と会えるようにしてもらいました。この高定で歌や話を聞きたかったのに、残念。
 
 この頃には雨も上がり、最後にもう一度トン寨をざっと巡ったのち、独同に向って来た道を戻っていきました。
 広西の旅・その7  09.4.13

 ♪市へ急ぐ人達♪

 
ba団のトン寨を離れ独同(本当は山へんに同という字です)に向かう途中、今までひっそりとしていた山道に急に人の姿が目立ち始めました。何か集会とかお祭りとかあるのかな。「ああ、ありゃganjiだ」
 
 gan(走にょうに旱)集かあ。・・・この二文字を耳にした途端、条件反射的に同名の二胡曲のメロディーが鳴り始めましたが(笑)。ええと、つまり「市に行く」という意味です。
 
どうやら今日は独同に市が立つ日であるらしく、みんなお喋りをしながら心持ち急ぎ足で楽しそうに歩いて行きます。まだ独同の手前で、人が沢山集まっている所に出てきました。見ると牛市のようです。うーん、ドナドナの世界だなあ。


牛の市
  
 
 ほどなく独同に到着。どこから湧いてきたんだ、というほど田舎の村にしては沢山の人たちで賑わっています。野菜や果物、大鍋だのザルだのその他生活雑貨や衣類に靴、などなど。


にぎわう市
  
 
 市といっても特別なモノが売っているわけでもなく普通の店で見かけるような商品ばかりなのですが、小さな村だとこういうものさえ日常的に手に入るわけではないのでしょうね。
 
 村人たちにとっては買い物だけではなく、こういった賑やかな場所に来ることがすなわち娯楽なのだろうと思います。人ごみが苦手な私からすれば何が楽しいんだろうと思いますが、それは贅沢な悩みなんでしょうか。


みんな楽しそうです
  
 
 少数民族の多い地域ではありますが、今はほとんどの人が普通の服を着てはいるものの、時々は民族衣装を来ている人も見かけます。上の写真真ん中の美しい帽子をかぶっているグリーンの服の人はミャオ族ですね。
 
 ちなみに右端の男の子(切れていますが)の肩に手を掛けているのは女の子ではなく男の子。中国人って同性同士でも手を握ったり肩を組んだりしてフツーに街を歩く姿を見かけますね。日本人から見ればちょっと気持ち悪く感じますが・・・(笑)。


鶏も生きたまま売り買いです
  
 
 こちらの写真はトン族でしょうか。囲いの中の鶏を選んでいるようですが、そのそばから放し飼いの鶏が通りを何羽も横切っていたりします。一体誰が飼っているのか見てわかるんでしょうか。あれをこっそり捕まえてもわからないんじゃ、と不届きな事を考えてしまいます。
 

子豚用テイクアウト籠
  
 
 こんなのも見つけちゃいました。子豚を売っている囲いのそばに、それ専用の籠が・・・買ったらこれに入れて。持ち帰るんですね。なるほど! お尻にいくほど広がっていて、ジャストサイズなのがいいですね♪当の子豚は自分の境遇を知ってか知らずか妙に落ち着いているように見えますが。
 
 市で楽しめるとは思わぬハプニングでしたが、実はこれがハプニングなどではなくアクシデントに変わるとは思ってもみなかった私でありました。

 広西の旅・その6  09.3.30

 ♪トン寨めぐり♪

 
朝9:30、時間きっちりどころか少し早めに招待所に迎えに来てくれた運転手さん。その正体は・・・昨日の旅行会社のご主人でありました。
 
 旅行会社のご主人である侯さん、そして息子さん(旅行会社でずっと相談に乗ってくれたにーちゃん)の同級生である小(・・あれ。ひどいことに名前ど忘れし ちゃったよ。実家が程陽近くにあるトン族らしいので仮にトン君としておきます)トン君の二人がガイドとして付き添ってくれました。
 
 用意してくれた車はトン君のお父さんのものだそうで、ずいぶん高級なものでした(といっても私は車に乗らないので、大きさや乗り心地や内装くらいでしか判断できませんが)。中国だからと勝手におんぼろ車だろうと想像していた自分が恥ずかしい。
 
 さてトン寨めぐり、まずは座龍から。トン寨めぐりといってもハイライト以外はこの座龍のように時間の関係で道路から見下ろすだけでしたが(笑)。



座龍トン寨
  
 
 写真ではわかりにくいと思いますが、河にかかっている橋(写真左側)が途中から無くなっています。これは去年(いや、一昨年だっけ)の大雨で壊れてしまっ たまま、修理できずに放置してあるのだそうで。「じゃ皆どうやって外と行き来しているの?」と訊くと「迂回したりして何とかやってるみたいだよ」とのお答 え。・・・悠長だな〜。
 
 20年くらい前はほんの小さな集落でしかなかったのが少しずつ住む人も増え、今ではこんなに大きな村になったんだよ、と侯さんは感慨深げに話していました。
 
 座龍から八協、平流、華練とやや小規模のトン寨をめぐった後、お次はba(山かんむりに巴)団トン寨へ。ここは立派な風雨橋があるところです。


ba団風雨橋
  
 
  ここの風雨橋の特徴は、二層に分かれていること。普通の風雨橋は通路がひとつだけですが、ここのは人間用と家畜用と通路が分かれているのです。家畜用通路は人間用より低く、やや狭くなっています。


二層に分かれている橋
  
 
 写真・・暗いのでわかりにくいですが向かって右側が低くなっているのがわかるでしょうか。家畜用といっても実際はこのお婆さんのように人間も通ってたりするようですが(笑)。人間用は階段もあるから家畜用の方が通りやすいのかなあ。
 
 橋の真ん中に祠がありましたが、貴州のトン族のように土地神を祀っているのかと思ったら、関羽と張飛の絵が貼ってありました。トン族は信仰に対して結構自由な感じですね。別の場所には岩に願いを書いた「願かけ岩」みたいなものもありましたし。


風雨橋の祠
  
 
 以前貴州の旅でも触れましたが、トン族の建築は基本的に釘を使わず、木を組んで造ります。この風雨橋の中でもよく見ると微妙に少しずつ造りが違い、職人により木の組み方やカーブの削り方に差があるんだそうです。なるほど。
 
 このba団トン寨には比較的新しく整備された広場があり、そこにはトン族の古代からの規約みたいな文章が石に刻まれていました。トン族は独自の文字を持た なかったため、中国語の漢字を用いて発音を記しているのだそうで、横には中国の標準語に翻訳されたものも併記されていました。
 
 昔に比べ随分便利になったとはいえ、相変わらず水牛と共に田畑を耕し、ほとんど自給自足の暮らし。豊かとはいえませんが、多くを求めず十分に満ち足りた生活を送っているのが、人々の表情からも感じられるようでした。


 広西の旅・その5  09.3.16


潯江の古宣大橋より。左に見えるのは鼓楼
  
 
 ♪旅行社にて♪

 とりあえずその日の宿の手配だけでも、と目の前の旅行社に飛び込んだ私。でも公共のインフォメーションと違って、旅行社も自分達の利益第一なのは商売として当たり前のこと。私としては情報を収集したいだけなのに、きっと高いツアーなんか勧められるに違いない。
 
 少し身構えつつ中に入り、にーちゃんに声をかけました。宿の紹介を頼むついでに近くの見どころとアクセスを訊いてみたところ、夕方の時間にもかかわらず丁寧に説明してくれます。
 
 まず宿泊先。すぐそばの高級ホテルである三江賓館を勧められ、格安の値段だったのですが、もう少し安い所で、と70元の招待所を紹介してもらうことにしました。
 
 結構いい感じだな〜この旅行社。中国にありがちな押しの強さや、逆にやる気なしといった態度が全くありません。部屋には他におばちゃんとおっちゃんが一人ずつ。きけば親子三人でやっているんだそうで、アットホームな雰囲気がにじみ出ています。
 
 包車、つまり車をチャーターして廻るとした前提で、三江からの二つのルートを紹介されました。ひとつはとても立派な風雨橋があることで有名な程陽を経由し、高友のトン寨まで行くルート。もうひとつは、程陽ほど有名ではないが「独トン(山へんに同)」をはじめ、いくつかのトン寨を巡るルート。
 
 ううむ、程陽橋はちょっと見てみたい気もする。でも前者のコースは二、三時間程度とのことで、ということは自力でも行けそう。せっかくだから車をチャーターして、後者の自力では行けない場所を廻ってみるのもいいかもしれない。
 
 でも元々はできるなら原生態音楽が聴ければ、というのが三江にやって来た目的のはず。ここの人達、なにか情報を持っていないだろうか。・・と訊ねてみると、程陽は大きな観光スポットなので、少なくとも休日は観光客向けにショーのようなものをやっているのだとか。
 
 そこでおっちゃん(にーちゃんのパパですね)が一言。「原生態音楽としてのトン歌ということであれば、確か独トンや高定あたりに歌手がいたはずだよ。歌ってもらえるように連絡をとってみようか」
 
それは願ってもみない提案でしたので、包車で後者の独トン・高定ルート巡りをすることに即決。値段も途中の入場料込みで320元。うーん、私にとっては安い 値段ではありませんが、歌手を紹介してもらえるのなら、そして半日チャーター車で解説付きで廻ってもらえるのなら、妥当な金額かなとも思ったのです。

 ♪気さくな人たち♪

  行社の入口付近にはソファが置いてあって、何人もの人が入れ替わり立ち替わり立ち寄っておしゃべりしていきます。みんな私と旅行社のおっちゃんとのやりとりに聞き耳をたて、会話にも参加してきます。なんか大阪のおばちゃんみたいだなあ(笑)。
 
 「あんた音楽関係の人かい?見たところ声楽家だろう」(何故かいつも声楽家と言われる私・・・声も身体もでかいからかなあ、悪声なのに)。「トン族の歌に興味あるの?この人(と傍のおじさんを指す)はトン族の博物館の館長さんだよ」と紹介してくれた上、「今からこの子に博物館を見せてやったらどうだ?」なーんて提案までしてくれます。
 
 そうだな、とその館長さんが立ち上がり、旅行社からすぐの博物館に連れて行ってくれました。どうやらいったん閉館したようなのですが、各部屋の鍵を開けて案内してくれようとします。入場料も取らなかったし、なんて親切なんだ〜!!    


三江トン族生態博物館
  
 
 館内はトン族の歴史、文化、習慣、美術などに関する展示物がいろいろ。文字を持たなかったトン族の伝達方法や生活空間の再現、風雨橋や鼓楼の縮小模型やら独特の建築方法の解説など、内容は思ったより充実していました。彼らの服飾もとても美しいですしね。
 
 その館長さんはトン族出身。かなりなまりが強く、一生懸命説明して下さるのですが聞き取れない部分も多くて残念。貴州のトン族の人たちは、年配でもけっこうきれいな標準語を話す人もいたのですが、地域によってずいぶん違うんですね。
 
 事務のおねえさんもいい人で、「よかったら今から家にお茶でも飲みに来る?」なーんてお愛想でも声を掛けてくれるのが嬉しい。ほんわかした気持で旅行社に戻った後、今夜の宿の場所を詳しく教えてもらおうと思ったのですが。
 
 たむろしている人たちの中に委員会の宣伝部の人がいて、「きみは音楽をやってるって言ってたよね。昼に芸術家達の公論会があって、高名な方々が来られているんだ。今から彼らと食事をしにいくことになってるんだけど、よかったら一緒にどうだい?」
 
 え、ええ〜っ!そんなところに私みたいなのが行っていいんですか!?と遠慮していると、いいからいいから、と笑顔で手まねき。まあ中国だしね、せっかくの親切を断る方が却って失礼というものです。
 
 高級ホテルのレストランの一室に集まった面々、ここの地域の名士のみならず広州の芸術学院の画家から、日本の某ビールメーカーのコマーシャルも手掛けたという広告代理店のディレクターまで、十人足らず。
 
 お偉い方々を前にして最初は緊張の面持ちでしたが、皆さん気さくで盛り上げ上手な方ばかり。画家の二人のお子さんが日本に留学されていることもあり、また 聞き取りやすい中国語だったのもあり、話もはずんであっという間に時間が過ぎました。食事も広東風で、旅行中で一番美味しゅうございましたし♪


芸術家の皆さん

 

 広西の旅・その4  09.2.23

 ♪三江へ♪

 三江は広西と貴州省との省境ぎりぎりに位置しており、榕江や从江(従江)、黎平といった場所にも近く、トン族の鼓楼や風雨橋などの民族色の濃い地方です。
 
 手元の資料によると、龍勝から三江までの所要時間は二時間半。三江から桂林までの直行バスも出ていますが、なんと六時間もかかるんだそうな。
 
 一瞬、貴州での喫煙じーさんとの五時間半の攻防戦を思い出し、顔がひきつる私。ひえぇ。でもって桂林に戻る日の出発時間もちゃんと考えておかないと、便を逃すと帰れなくなってしまうかも。
 
 バスのチケットは17元プラス保険費2元で、合計19元なり。14:00に龍勝を出発し、三江に到着したのは15:50。あれ、二時間弱で着いちゃった。 確かに道路もすごく整備されていたので揺れも少なく、車内で喫煙する客もおらず、例によって勝手にリクライニングになって戻らない座席(これ結構ツラい 〜)を除けばほぼ快適でした。

 
♪文化局を探して♪

 三江には長距離バスステーションが川を挟んで二ヶ所あり、龍勝からのバスが到着したのは河東客運站。さてここからどうしたものか。まだ四時とはいえ、11月のことですからじきに日が暮れてしまいます。今夜の宿も確保しないといけないし、その前にまず地図も手に入れないと。
 
 昼間のガイドさんの「観光なんかの情報を集めたかったら、まず文化局を訪ねてみるといい」というアドバイスを思い出しました。いわゆるインフォメーションみたいな感じで気軽に相談に乗ってくれたりするんでしょうか?しかし・・どこにあるんだ。
 
 大きな売店で地図を探しますが、「ちょっと行ったら書店があるからそこで聞いてみて」。書店にあったのは桂林の観光図の片隅に、何ヵ所かの小都市と共に申し訳程度に載せられているのみ。これでは何の情報も得られないではないの。
 
 バスステーションを出たところには、たくさんの三輪バイクが客待ちをしています。これに乗っていけば文化局には連れて行ってもらえるはず。しかし外国人だからとボラれるのも悔しいので、まずはそばの売店で飲み物を調達しつつ、店のおねえちゃんに質問。
 
 「ここの文化局ってどこにあるの?」「うーん、くわしい場所はわからないけど、川向うにあったはず」「そこって歩いて行けそう?」「歩くには遠いかもね。そこのバイクに乗ればすぐ着くよ」「バイクの相場っていくら?」「1元こっきりだよ安心して!」・・そっか、よしよし。
 
 手前に停まっていたバイクのおばちゃん運転手(見た目はおばちゃんだが案外30代前半くらいかも)に行き先を告げ、「料金は1元だよね?」と確認すると、「何言ってんのよ、1元で行けるわけないでしょ!」とキツい口調。
 
 ちょっとムッと来たので、「1元って聞いたよ!だいたい文化局がどこにあるか、アンタ知ってるの!?」と負けずに言い返す私も私(笑)。答えなかったところをみると知らなかったのかも。「もういいわ!」と言い捨て、近くに停まっていた別のバイクの運ちゃんに声をかけます。
 
 にーちゃん運ちゃん、文化局は知っていましたが料金は2元だとのこと。1元じゃないの、と文句を言うと黙ってバイクのフロントガラスの内側を指差します。 そこには「ガソリン代高騰の為、値上げご了解下さい」というような内容が書かれた札が掛かっていました。そういうことなら仕方ないね。おばちゃん運ちゃん も素直にそう言ってくれれば気分を悪くせずに済んだのに。
 
 後でわかったことですが、このバスステーションから川むこうに向かっては上り坂でキツく、利用客も多いため2元。逆に向こうから下りてくるのは、楽なのと利用客も少ない為に1元なんだそうです。なかなか合理的な値段設定ではありますね(笑)。
 
 バイクに乗り込み、あっという間に到着したのは三江なんとか文化局と書かれた看板前。・・しかし間口も小さく、ホントにインフォメなのか?と不安になりながら階段をのぼってみると、机だけの狭い部屋に、やる気無さそうなおっちゃんが2人。
 
 おずおずと声を掛けてみると「観光なんかだったらここじゃなくて別の場所だ」と言われ、教えられた通りに裏手の別の入口を探すと、今度はもっと小ぎれいなオフィスがありました。
 
 期待を胸におねえさんに「ここで観光情報を得られると聞いたのですが」と言うと、「ここではそういうことをしてません」との返事。「じゃあどこで聞けばい いの?」と尋ねても、「悪いけど私にはわかりません。旅行社にでも行ってみたらどうですか」。・・・おいおい〜出たな、中国伝統たらいまわし攻撃! なんたって終業時間前だし、これ以上粘っても情報を得られそうにもありません。
 
 困ったなあ、どうしたもんだろう。その辺をうろうろしていると、目の前に旅行社の看板が。ままよ、今夜の宿だけでも紹介してもらえれば、と足を踏み入れました。


 広西の旅・その3  09.2.2

 ♪まずは情報収集♪

 日本を出発して四日目、帰国までの日数はあと五日。でも最終日は午前のフライトなので、前日には桂林に戻っておかなくては。ということはやっぱり今日、何とかして単独行動を開始する必要がありそうです。
 
 とりあえずは現在自分が居る場所を把握することから始めなくちゃ。ずっと車で移動しているので、一般の交通機関だと桂林の中心から宿舎までどうやって戻ればいいのか、いやそれ以前にこの植物園はいったい地図上のどこに存在するのか、それすら不明。
 

宿泊していた桂林植物園
  
 
 桂林に到着した一日目、空港の小さな書店で地図を購入できたのは幸運でした。普通ならどこにでも売っていそうなのですが、ずっと観光地とは程遠い場所ばかり行っていた為、途中一度も見かけることがありませんでしたから。
 
 いちおう日本からも持参してはいましたが掲載されている範囲も狭く、あまり詳しいとはいえません。それに今までの経験からすると、現地の人に地図を見せながら尋ねるには現地のものが一番なのです。バスの路線なども詳しく載っていますしね。
 
 この日も朝8:30の出発予定なので、少し早く起きて宿舎のある植物園の周りを探検してみました。バス停を見つけ、駅名と路線番号を確認。「雁山鎮」とあ ります。プレートにずらりと書かれた駅名の中に「火車站」発見。やれやれ、桂林駅から直通のバスがちゃんと出ているようです。
 
 それにしても桂林駅からこの場所までの停車駅の数の多いこと、一体どれだけ時間がかかるのやら。しかも終バスの時間も随分早いみたいだし。ちょうど門の辺りで掃除をしていたおじさんに声をかけて聞いてみます。
 
 「あのバスは便利がよくないな。桂林駅からは別のバスがあって、わしらは皆それに乗るんだ」なるほど。でも路線番号や乗り場を尋ねても「駅から愚自楽園行 きってのに乗って植物園で降りりゃいいんだよ」・・何てアバウトな。まあ駅で聞けばわかるんだろ、とあっさり諦める私も私か〜。

 
♪いざ、行動開始♪

 この日も前もって花坪の自然保護管理局へ立ち寄り、ガイドを一人乗せてさらに車は走り続けます。8:30に出発しているのに、目的地の龍勝県に到着したのはすでに昼食タイム。こんな時間から山に入っても、ほとんど見る時間がないんでは?
 
 食堂に通され席に着くと、普通なら食卓には皿やレンゲなどが並べてありますが、ここのを見てびっくり。消毒済みの食器が、セットになってビニールパックさ れてる!! 中国もここまで清潔志向への配慮をするようになったのかぁ〜。ちなみに昼食は大芋頭(親芋・・ですよね。頭より大きな芋です)などの特産物がふんだんに使 われているメニューでした♪


ビニールパックされた消毒済み食器セット
  
 
 今日のガイドさんはずいぶん饒舌なおじさんで、昼食のメニューひとつにもウンチクを傾けています。以前文化局にいたことがあったといい、伝統文化にも詳しい様子。これ幸いと、龍勝近辺の伝統音楽関係スポットについて質問してみました。
 
 龍勝のすぐそばの銀水という場所もトン族村として有名だし、原生態民歌を聴くことができる地区はそこらに点在しているが、規模からすると三江あたりは村が集中していて良いのでは、とのこと。龍勝の棚田も美しいけれど、今はシーズンではないですし。
 
 そーか、やっぱ三江か。私が行こうと計画していたのも実はここ。三江は貴州省と隣接した地域にあり、以前行った榕江にも近い場所で、重厚な造りの程陽風雨橋があることで知られています。
 
 長距離バスの乗り場は食堂からしばらく行ったところにあり、ガイドさんに前まで案内してもらいました。メンバーに突然(笑)の別れを告げ、いざ、三江への旅へ。


龍勝バスステーション
  
 

 広西の旅・その2  09.1.19

 ♪猫児山♪

 桂林二日目の目的地は猫児山の自然保護地区。なんでも山のある地点から眺めると、伏した猫(虎ってのはよくあるけどね・・)の姿に似ているんだそうで、猫好きの私には魅力的なネーミングです。
 
 朝8:30に出発し、まずは近くで朝食を。昨日と同じく米粉ですが、店の前で包子を蒸しているのを見て「それも食べたい」と厚かましく所望。・・でも饅頭生地がもひとつバサバサなのと中身が少なめで、上海でこんな店出したら一週間で閉店だな〜と思わせる味でした。
 
 街には何故か新婚さんがいっぱい。あちこちで爆竹を鳴らす音が聞こえます。大安や仏滅などの六輝は日本だけのもので中国には存在しませんが、やはり吉凶日なんかはあるようで、丁度この日はおめでたい日だったようです。
 

新婚さん
  
 
 目的地へ向かう前に、まず保護管理局へ。自然保護区に入るのには許可が必要なんだそうで、用意した書類にスタンプを押してもらい、なおかつ管理局からはガイド(監視員を兼ねているのかも)が一名同乗することになります。
 
 お役所仕事が遅いのは世界共通のようで、ここでかなり長い間待たされるハメになり、さらにそこから車で一時間強走り・・保護区の入場門でもまたまた押し問 答が繰り広げられ、登り始めたのはすでに12時前。ちゃんと連絡がまわってないんでしょうね。中国ではしょっちゅうある事なのでさして驚きませんが。
 
 この日は雨は降っていないものの足元は前日と同じでかなり悪い様子。前日みたいにドロドロにならないように、他の皆さんに倣ってズボンは山歩き仕様に。つ まりズボンの裾を靴下の中に入れ込み、裾が泥ハネで汚れるのを防ぐのです。おっさんくさいけど見た目なんて構ってられるかぁ〜!
 
 山道はちゃんと整備されているとはいえ自然のままなので、木々はうっそうと茂り、日もちらちらとしか射し込んできません。霧も深く、それにより木々や苔、土などの香りがいっそう濃厚にたちこめ、もののけ姫の世界に近いものが(大げさだな〜)。目いっぱい森林浴できますね。
 
 途中、漓江・尋江・湘江の分水嶺があり、ここから分かれた水流があの漓江下りの河水となっているのだと思うと、なんだか不思議。研究者からすれば宝の山で あろう原生林、何の木か区別もついていない私が歩いても猫に小判かもしれませんが、やはりこうやって貴重な自然を残しておくことは大切ですね。
 
 ただ残念なのは、ところどころにゴミが落ちていること。自然保護区ならゴミなどはすべて持ち帰りを徹底すべきでは。ビニール袋なんかは論外ですし、果物の ゴミなどは土に還るので問題なさそうな気もしますが、例えば蜜柑などをその辺に捨てると種から発芽し、元々そこにはなかった植物が生えることになるので は? 日本でもそうですが、入山者のモラルの向上を望むところ。
 
 三時間くらいのコースだと聞いていたのですが、例によってデヴィッドさんゆっくりペース。結局山頂にも到達できないまま、時間切れで四時半ごろに下山しました。山は暗くならないうちに下りないとね・・。

 
♪車のトラブル♪

 車に乗ってしばらくすると、急にストップ。運転手さん、いろいろ点検しています。どうやらファンベルトが二本とも焼き切れ、冷却水漏れで動かなくなってしまったらしい。急いで管理局に電話して車を回してもらいましたが、もちろんかなりの時間がかかります。
 
 もう六時頃で、日も暮れるし雨も降り出すし、昼食といっても朝の包子の残りに果物を食べたくらいで、お腹もすいてるし。もちろん一番焦って大変なのは運転手さんであることは承知していても、皆さん顔が引きつっています。
 
 やっと代わりの車がやってきて人里に戻り、夕食をとる間に近くで修理をし、八時半ごろにやっと終わりました。やれやれ。皆ほっとして、植物園の宿舎までの長い道のりは全員爆睡でした。運転手さんご苦労さま〜。

 
♪計画♪

 さて今まで二日間ずっと調査に同行していたのですが、せっかく広西の奥まで来ているんだし、最終日まで皆と一緒ってのも何だかなあ。そろそろ行動を始めないと、どこにも行けないぞ。
 
 桂林空港に着いた時にちゃっかり買っておいた地図を広げてみます。実は初日に既に曹さんや小李に「単独行動したい」と申し出たのですが、予想通り「心配だから小李も同行させるよ」と言われました。でも気を使うし冒険ができないので、何とか方法はないものか、とずっと考えていました。
 
 とはいえ、植物園の宿舎からしていったい地図上のどこにあるのか不明。桂林の中心地からも長時間車で走るので、ずいぶん距離があるようです。単独行動した後もどこで皆と落ち合うか、ちゃんと計画しないと大変。相手は段取りという言葉とは無縁の中国人だし(笑)。
 
 翌日の目的地は龍勝。地図を見ると、かなり貴州省との省境に近い地区です。決行するなら、明日だな。

 広西の旅・その1  09.1.8

 明けましておめでとうございます。今年も昨年に引き続きマイペースで書き進んでまいりますが、どうぞ温かく見守ってやってくださいね。
 
 さて今回からしばらく、昨年11月に兄のお供で広西に行った話を書いていきたいと思います。
 ♪広西へ♪

 植物学者である我が兄上から「秋に広西に行くけど来る?」と電話があったのは何カ月も前のこと。
 
 広西、正式には広西チワン族自治区。中でも桂林は観光地としてもよく知られていますね。その桂林から山に入り、生態調査を行うのだとか。
 
 地図を見ると、桂林は貴州省や湖南省に近い北部に位置しています。貴州といえば一昨年行った時のことは日記にも書きましたが、少数民族の沢山住むところ。広西もその名が示す通り、チワン(壮)族が多くいる地域です。
 
 団体行動は束縛もあるけれど自分ではなかなか行けない場所だし、ガイドがつくはずなので色々聞けそう。今回は少数民族について直接の収穫はないかもしれないけれど、次へつなげられるかな。そう思って参加することにしました。
 
 「大学の調査だと費用も出してもらえるんじゃない?」と聞かれるのですが(実は私も少し期待していた)、残念ながら年間の研究費用というのは驚くほど少なく、今回もほとんど自費なのだそう。当然私の旅費も100%自己負担であります(泣)。
 
 関空を朝一番に出発して、まず北京へ。成田から乗ってきた関東在住の兄、そして名古屋の大学で教鞭をとっておられるSさんの二人と北京の空港で合流し、桂林に到着したのはすでに夜。その日は植物園の招待所に宿泊しました。


植物園の招待所
  
 
 翌朝はあいにくの雨。桂林は中国でも南方に位置しますから、11月といっても日本よりやや暖かい感じです。窓を開けると満開のモクセイの甘い香りが。やっぱりここは桂林!
 
 桂林の桂は桂花、つまりモクセイのこと。日本でモクセイといえば黄金色の花のキンモクセイが主流ですが、中国では白花のギンモクセイを見かけることが多いです。うちの家の庭のキンモクセイは10月に満開でしたが、温暖な桂林ではすこし時期がずれてるんですね。
 
 ここは植物園の招待所だけあって、三階の私の部屋にも届く見事なギンモクセイの大木が植わっていました。・・・と同時に自然に囲まれた場所だけあって、クサギカメムシも山ほど窓の内外にはりついていて臭かったのも事実・・。

  ♪七分山♪

 朝8時半に宿舎を出発し、近くの店に行き米粉で朝食。貴州の米粉は平たいきしめん状の麺でしたが、ここ桂林のはソバより少し太目の丸い麺。好みのトッピングをのせ、かけ汁はセルフサービスで大鍋から好きなだけ注ぎます。シンプルであっさりしていて美味〜♪
 
 今回の調査旅行のメンバーは、私を含め全部で7人です。広西植物園の研究員で、今回の旅行のコーディネーター&ガイドとしてお世話して下さった曹さん、同 じく植物園で薬学の研究をしている小李、曹さんの先生で雲南昆明在住の周さん。日本からは私と兄と名古屋のSさん、そしてアメリカはフロリダから参加のデ ヴィッドさん。
 
 外国人メンバーは中国語ができないため、基本的に会話は英語。ちなみに私はほとんど英語ができません。おかげで予定などが英語で伝えられた後も、小李に中国語で再確認する始末(笑)。
 
桂林最初の日の目的地は大境の七分山(正確にはニンベンに分)。天候も良くないので短時間のコースで、と10時半頃から登り始めました。なだらかな道ですが、前日から降りつづく雨で足元はぬかるみ、川も増水しています。


  七分山
 
 植物は好きですが別に専門的な知識があるわけではないので、ちょうどいい機会と「あれ何?」「この草、何の仲間?」と兄を質問攻め。中国人の皆さんに聞いても、植物などの固有名詞は書いてもらわないとわからないしな・・・。
 
 お初に出会うガマガエル(一応都会育ちなので、せいぜい飼われているウシガエルしか見たことがない)や、派手な色の大ミミズに幼虫の類、ひとつひとつが日本では見かけたことのないものばかりで大はしゃぎの私。山歩きって楽しいですね。
 
 学者というのはマイペースな人種らしく、ガイド役であるはずの曹さんははるか前方で姿が見えないし、私を除く日本人二人もとっとと先を急ぎます。デヴィッドさんは中国の植物が珍しいのか、数メートルごとに立ち止まって質問し、ちっとも進みません。
 
 山歩きに慣れていない私にとってデヴィッドさんのゆっくりペースはとても有難かったのですが、とっくに昼も過ぎ、雨もどんどん降るし服も靴もドロドロ、お 腹もぺこぺこです。不規則な食事時間に慣れている日本人はともかく、どんな状況下においても食事だけはきっちり取る中国人は大丈夫なんでしょうか?
 
 ようやくある民家にたどり着いたのは3時頃。ストーブで濡れた服を乾かしながら暖をとり、ホッと一息つくことができて皆にもやっと笑顔が戻ってきました。
 
 用意してくれた鍋をかこみ、遅い昼食を。具の鶏肉にキノコ、白菜(と言われたが見た目も味もリーフレタス・・・)、すべて自家製のものを、これも自家製の辣醤(トウガラシ醤油)につけていただきます。うーん美味しい! やっぱり空腹は最高の調味料ですね。


  大勢でつつけば身体も心も温まる
 
 元気が出たところで再び歩き出し、下山したのが6時頃。招待所には戻らず、次の日の目的地である華江へ直行し、夕食をとったのは既に夜の9時過ぎ。料理の ほとんどがトウガラシ入りで、さすがは中国一激辛好きの湖南省に近い土地だと得心しつつ、辛いものが苦手な私は涙を流しながら食べました。うう。
 
 華江のホテルでは、兄とSさんが泊まった部屋の鍵が壊れて扉が開かず、浴室の窓ガラスをたたき割って部屋に入るというアクシデントにも見舞われましたが、 シャワーの水量は多いしベッドシーツは乾燥していて快適(中国の安ホテルは寝具が湿っていることも多いのです)。ゆっくり疲れを癒すことができました。

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