さすらいの上音理髪室 06.12.28
行ってみようか学校の理髪室
留学して間もない頃の話。同学が寮に戻るなり突然洗面所で髪を洗い始めるので何事かと思いきや、「いま髪切りに行った」とのこと。・・・えっ?
中国って髪を切った後、洗髪してくれないもんなの? 「それ、どこの散髪屋さん?」「学校の中だよ」・・・・この狭いキャンバスの中には散髪屋まであるのか・・・。
当時は言葉もあまりできず、そんな私がカットに行ったところでどんな風にされるか想像するのも怖ろしい。だもので、中国ではずっと髪を切らずに、帰国時にたまに美容院に行くぐらい。お陰で留学前はショートだったのが随分伸びてしまいました。
わがルームメイト、オドノちゃんはオシャレさん。しょっちゅう「パーマかけたい」だの「あんな色に染めたい」だの言ってます。「ねえオドノ、いつもどこの美容院に行ってるの?」「すぐそこよ、寮のウラ」それってつまり・・・・例のところ?
学校の中のって"理髪室"、いわゆる"散髪屋さん"みたいなもんじゃないの?
どっちかっていうと男性御用達のイメージがあるんだけど。「ううん、学校の老師たちもよく来ているよ。安いし、便利だし」ふんふん。カラーリングなんかはいくら位するのかなぁ。「不安なら、自分でカラーリング剤を買って持参すればいいのよ。私はシャンプーの時もそうしているし」とオドノ。
古びた建物の一角にある上音理髪室
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意外と気持ちよかった
ふむ。一度偵察に行ってみるか。留学生寮の裏、中国人学生寮辺りの壁に直接ペンキでなぐり書きされた表示(←この辺が日本人には理解できない感覚なんだよね〜)をたどっていくと、あ、あった!!散髪屋さんのぐるぐる(何て呼ぶんだろ?)が回ってる!
まずは値段交渉。シャンプーとカット、カラーリング後再度シャンプーしてドライ。「まとめて60元ってとこでどう?」もともとシャンプーは10元、カットは5元。じゃあカラーは35元くらいかな。シャンプーのほうがカットより高いってのが、なんだか不思議・・・。だから昔同学はカットだけして寮で洗髪してたのか。何だか外国人だから少し上乗せされてる気もするけど・・ま、いいか。んじゃ、それでやってもらい
ましょう。
水でシャンプーされたり、肩が毛だらけになってたりしたらどうしよう、なんてドキドキしていましたが、案外てきぱきとやってくれて、カラーリングなんて逆に日本の安い美容院より丁寧かも。カットに関しては、私の場合前と後ろを切りそろえる程度なので特に問題ないし。
時はさわやかな初夏の昼下がり、ツタが絡まる校舎の片隅で、バックミュージック代わりにゆったりと聴こえてくるホルンの音色、途中からはお店貸し切り状態で、何だかとっても贅沢で気持ちいいな〜。
シャンプー台の心地が良くないとか、まあ小さな問題はあれど、カラー込みで60元(約900円)だったら、近いし安いしでまあまあ納得。普通の美容院だと、シャンプーカットだけで100元200元はするもんね。よし、次からはここにしよう!!
ご夫婦でやっておられるようです |
てなわけで、留学中はずっとここに通っておりました。さすがに若い子達はこんな所じゃなくてもっとお洒落なお店に行ってるみたいですが、年配の老師なんかはセットだけしに来られたり、若い子もシャンプーだけしに来たり。というのも、古い家だとお風呂がない所もまだまだ多いので、洗髪だけでも散髪屋さんに来るわけです。
しかし学校の大改修が始まり、留学生寮や理髪室のある一帯も取り壊されることになりました。しばらくは門のそばで開店していたのですが、今度はその辺りも工事が始まり、最後は食堂の裏でほそぼそと営業していました。行く度に場所が変わってて、探すのが大変・・・。
「移転のたびに排水とか設備の出費もばかにならないでしょう。学校の都合なんだから、移転費用なんかは学校が補助してくれないの?」と聞くと、「まさか!全額自分持ちよ。文句があったらいつでも出てけって感じだから」大変なんですねえ。それってちょっと可哀想だなあ。中国にはそういった権利の保証みたいなのが存在しないのですね・・。
まだまだ続く学校の大工事、「ここもいつまで居られるかわからんなー」とつぶやくご主人。それでもちゃっかりとどこかに場所を借りて営業しているんだろうな。ほんとに中国人はたくましい!
また上海に行ったら訪ねてみようっと。
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