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モモの音楽日記中国生活

 中国で出会った人達    07.12.18

 すっかり年末ですね。日本でも中国でも、せわしなく人が行きかう季節、そしてこの一年の出来事を振り返る季節でもあります。時々は留学時代を振り返り、思えばいろんな人たちに出会ったなあ・・。学校関係の知人ばかりでなく、縁もゆかりもない人達から生きる力をいただいたことも数知れず。
 
 今回はそんな人たちを紹介したいと思います。

 
♪タクシーの運ちゃん ♪
 

 留学して一年間、専門の柳琴のレッスンではずっと練習曲ばかりを与えられていました。基礎からきっちり学びたい、自ら望んで老師にそうお願いしたものの、やはり一年ずっと練習曲ばかりというのもなかなかに辛いものです。
 
 同じ年に入学した仲間達は皆それぞれ専門は違いますが楽曲を与えられ、とても輝いて充実した生活を送っているように見え、彼らが羨ましくて仕方がありません。それにひきかえ毎日地道に練習曲を弾く自分が情けなく、だんだんみじめな気分になってきました。
 
 期末テストを終え、半年ぶりに帰国する時のこと。荷物が多いのでタクシーに乗り、直接空港まで向かいました。運ちゃんは気さくな感じのおっちゃん。私が柳琴と二胡を持っているのを見ると「音楽を習っているんだね?僕も昔揚琴を弾いてたんだよ」。
 
 その後も「勉強はどうだい?老師はよくしてくれるかい?」などと色々話しかけてきます。中国語の勉強だと思って一生懸命受け答えしているうちに、ついつい心の中でわだかまっていたものを吐き出してしまいました。
 
 練習曲ばかり毎日弾いていること、どうしても同学達と自分を比較してしまうこと、なかなか上達せず老師から怒られていること、目標への到達点が見えず上海くんだりまで来て何をしているのか、と自分が情けなく思えてしまうこと、等等。
 
 運ちゃんは何も言わず頷きながら聞いてくれました。そして「焦る必要はないさ。基礎さえしっかりできていれば何だって出来る。逆に基礎ができてないのに曲ばっかり弾いたって、どんどんほころびが出てくるのさ」
 
 「老師にはちゃんと考えがあるんだよ。君が中国に居られる期間は限られているし、帰国後は自分の力でやっていかなくちゃならない。基礎をきっちり学んでおけば後は自分でできる。自分にとって何が大切なのかよく考えて、それを学びなさい」
 
 という意味のことを、最初は静かに、そうするうちに空港に到着してしまったのですが車を停めメーターを倒し(・・上げるんだっけ?)、おもむろに身を後ろにのり出して熱っぽく語りだしました。そ、そこまでして・・。
 
 最後に「中国の伝統文化を外国人である君が日本に伝える、それはとても素晴らしいことじゃないか。君が学業を立派に終え、日本で成功する事を願っているよ」と励ましてくれた運ちゃん。パワーに圧倒されながらも、その熱い気持ちがとても嬉しかったのです。
 
 昔ならともかく、今の日本でこんな事があるでしょうか?知り合いでもなんでもない、その場で出会っただけの、自分にとって利害も何も関係のない相手に対して、こんなに真面目に向き合って話をしてくれる。
 
 日本はどうでしょう?相手に嫌われないよう、あたりさわりのない事を言って済ませるのが普通でしょう。相手の事を思ってちゃんと意見してくれるのは、親くらいのものではないでしょうか。最近では親でさえ大切なことを子供に伝えないのが増えているというのに。
 
 
♪ 市場の兄ちゃん ♪

  上音のすぐ近くに襄陽市場という大きな自由市場がありました。そこでは衣料や雑貨の他、にせブランド品などが売られており、観光名所のひとつとなって連日大勢の客でにぎわっていました。
 
 しかし中国政府によるコピー商品の取締りが厳しくなり、とうとう去年の夏に閉鎖が決定。その数ヶ月前からどの店も閉店セールを開催していたので、我々留学生もそれを目当てに通ったものです。
 
 そんなある日、市場でジーンズを売っている店に入りました。女の子が押し付けがましくなく、しかも見ただけで私にぴったりのサイズのものを出してくれ、気に入ったので買うことにしました。
 
 裾を少し直してもらう間、もう一人の男性店員と話をしました。ちょっとカバに似ていたので最初おっちゃんに見えたのですが案外若いのかも。女の子の年の離れたお兄さん?いや、それにしては顔が違いすぎる・・。
 
 話す言葉も南方系ではなかったのできいてみると、瀋陽(だったかな〜)あたりの北方人でした。元々百貨店勤めをしていたそうで、色々あってこちらに流れてきたこと、その途中で彼女と出会えた(恋人だったのか・・)ことが一番の宝だと語っていました。
 
 「この市場も間もなく閉鎖されるし、次行くところはもう決まっているの?」「いいや」「そういうのって不安じゃない?」「うーん、でも何とかなるかな。彼女と二人、身体さえ元気なら何でもできるさ」
 
 私が音楽を勉強していることを知ると、あれもこれもやっておいた方がいい、と逆に色々アドバイスされました。中でも「人と違うことをやらないといけない」というのは自分自身常々思っていたことですし、わが意を得たり、という気持ちでした。
 
 しかし明日もわからないのにこの前向きさ。安定を求める私のような日本人には理解しづらい反面、そのバイタリティが羨ましくもあります。一年半経った今、彼らはどこでどう暮らしているのでしょうか・・。きっと彼らはコケてもコケても前を向いて進んでいくのでしょうね。
 
 タクシーの運ちゃんや市場の兄ちゃん以外にも、中国では沢山の人が沢山の考え方を私に投げかけてくれました。なるほどと思うものもあるし、納得できないこともあります。でもひょっとしたら時間が経ってから納得できることもあるかもしれない。
 
 せっかくの"有難きお節介"、真摯に受け止め、今後に活かしていきたいと思います。

  中国では必需品 05.6.20
 暑い暑い・・でも練習

 もうすっかり夏日の上海。朝晩は涼しいものの、太陽の下に居ると焦げそうです。それでなくとも暑いと食が進まないのに、ご存知の通り中国の料理は油が多く、見るのも嫌になるのです・・・。実際、私は中国に来ると痩せ、日本に戻ると太るのであります。ま、食事の問題だけでなく、運動量(=練習量)の問題が大きいかもしれません。だって日本に居る間は怠けまくっているもので・・・。

 先月あたりはまだ気候もよく、ふらふらと買い物に出かけたりしていましたが、こうも暑いと、外に出ようという気もしません。それでなくとも最近呉強老師の口調が厳しく、毎回レッスンは針のムシロに座るが如く。前に蘇州に行った時も何故か二度とも老師にバレてしまい、「アンタは蘇州に行った週は出来が悪いんだから!(そりゃ言いがかりってもんだ・・)そんな時間あったら練習なさい!」・・てなワケでおとなしく練習に行く毎日であります。

 モモちゃん号購入

 チャリンコくんが持ち去られてからというもの、ちょっと銀行に行くのにも不便で仕方ありません。買おうか買うまいかずいぶん迷いましたが、居留証を作るのに検疫所に行った際、ついでに古北のカルフールに寄って新しい自転車を購入しました。

 ピンクシルバーのモモちゃん号、カルフールから直接乗って帰って来た(・・結構遠いです。地図があれば調べてみてね)のですが、139元という安さのせいか、早速タイヤの空気袋に亀裂が・・修理のおっちゃんに「これ100元ちょっとで買っただろ。ダメだよそんな安物、結局すぐつぶれちまうんだから」と叱られました。でもすぐつぶれる自転車があるから、修理の人達の商売が成り立つのでは・・?

 昔のようにちょっと外灘までとばして、なんて時間も気力も今では無くなりましたが、それでもあると便利なモモちゃん号。何たってここは中国、チャリンコはなくてはならないアイテムなのです。

 携帯電話も買っちゃいました

 中国での携帯の普及率はかなり高いです。上海なんて日本よりすごいんじゃない?と思えるくらい。実は私、日本では携帯を持たない人種でありました。持った途端、何だか携帯に生活が支配されるような気がして、あまり好きではなかったのです。だもので留学生同学達のほとんどが携帯を持っていても、私は買おうとも思いませんでした。

 しか〜し。呉強老師、最近ますます忙しくなられて、レッスンの日時変更があまりに多い。私も練習室に行って部屋に居ない時も多く、だからといって部屋で電話を待っていては練習もできず・・。毎回レッスン前に確認の電話をかけるのも何だか催促してるみたいだなあ・・で、思い切って購入を決心しました。

 携帯って、日本では基本料はかなりするけれど、本体自身は(ゼータクを言わなければ)安いものではありませんか(っても詳しく知らないんですが)。でも中国では本体の値段が600元(9000円弱)くらいから2000元くらい。うひゃ〜中国人の生活水準からすれば、これってすごく高価なのでは?なのに皆ぴかぴかの新品を持ってるのはなぜ?

 私はあとちょっとしか居ないし、そんな高価なものは必要ありません。ほとんど呉強老師の為だけに買うようなものだし、電話と短信(ショートメッセージ)が出来れば十分。というわけで、200元(3000円弱)で中古品を買いました。これは本体の値段で、実際には電話番号も別に購入しなくてはいけません。50元の通話カード込みで100元のところ70元。

 私が買ったのはかなり旧式で、もちろん説明書もついておらず、携帯を使った事のない私には中国語の単語からしてチンプンカンプン。でも使っているうちに自然と基本操作くらいはこなせるようになりました。当然ながら短信も全部ピンインで打っております。打つの遅いけど。

 しかし便利になったらなったで、気のせいかレッスン日時変更が前に増して多くなったような。しかも中国人の常で直前変更が多く、こちらの段取りまるで無視だもんで、困っております。これじゃ携帯買うんじゃなかったよ。

 そして。購入一ヶ月後、うっかり長く充電しすぎたあと、途端に調子が悪くなり、とうとう電話の相手の音声が聞こえなくなってしまいました。現在はもっぱら短信のみ頻繁に使用しております。でも私などはまだマシな方で、一緒に同機種を買った同学、音声はおろかON/OFFもできなくなり、修理に出してもダメだったそうです。御愁傷さま・・・。

 さて上海に戻ってから、演奏会を聴きに行く機会が増えました。まあ時期的にも、上海之春だの卒業生の演奏会だのが多い時期でもありますし、以前に比べれば情報網も広がりましたし。ネタが古くならないうちに(いや、既に古いか・・)順次ご紹介していきますね。

  音楽漬けの日々 05.3.28
 めいっぱい練習をするぞ・・

 春爛漫、です。お陰で朝の目覚めのすがすがしいこと。しかしわがルームメイト殿は朝が苦手で、いつも午前中はかなり遅い時間までベッドの中であります。そんな中で音を出すわけにもいかず、仕方なく練習室に向かう私なのでありました・・・。

 上海に来たばかりの頃に比べれば、今のルームメイトは理解があって、部屋の中での練習にとても協力的です。というか、一年前は私も遠慮していて、彼女が部屋にいる時はすごく音を小さくして、しかもうるさい柳琴でなく低音である中阮ばかりを練習するようにしていました。でも彼女も私が居る居ないに関わらずガンガン二胡を弾き出すので、最近はこちらも遠慮は無用とばかりに音を出しています。二胡と柳琴、テレビの音も加わって、部屋の中は時々大変な事になってますが・・まあ一応、音程の取りにくい二胡のために、柳琴は小さめに弾くようにしていますけどね。

 私も上音での生活が長いので、以前ほど練習室の制限時間で悩む事は少なくなりましたが(そーいや隣の作曲家Jさんもこの頃ずっと部屋に居るはずなのに文句言わなくなったなあ)、私だってひとりになって集中して練習したい。それでも練習室が使える時間内では不足なので、できるだけ部屋を活用してやりくりしないと。ルームメイトが不在の時、やったぁ、めいっぱい練習するぞ! と意気込んで始めた途端、同学が遊びに来たり頼み事をしに来たりと、何かしら邪魔が入るのです。そうこうしている間にルームメイトが帰って来て・・というパターンがこのところ続き、ちょっと参っております。集中練習・・させてくれよぅ。

 CCTV音楽はなかなか面白い

 前回の日記でも少し触れましたが、中央電視台の音楽専門チャンネル"CCTV音楽"、これがなかなかよくて、クラシックのみならず民楽に関しても良質な番組を提供してくれているのです。例えば毎日放映している「風華国楽」という番組では、一回の放送で3〜5曲、同名の曲を楽器違いで紹介したり、週末特別版ではロングインタビューなどもあったりと、それもかなり著名な人の演奏が放映されることが多いので、とても楽しみなのであります。

 他にも「民歌中国」という番組では、ある民歌の背景や成り立ちを解説したり、その世界の人間国宝みたいな人の特集だとか、色々な切り口でもって民歌を紹介しています。先日も四川の川江号子(舟を漕ぐ時のかけ声というところでしょうか)の特集で、昔の号子王の貴重な音声だとか、保存に情熱を傾ける人だとかの紹介をしていて、結構見応えがあって面白いのですよ。我々外国人に限らず「ほほぉー」とうなずきながら見ている中国人も多いのではないでしょうか。

 ルームメイトとは暗黙の了解でこのチャンネルを一日中つけっ放しにしてまして、話のネタづくりにもひと役かっています。一時期毎日のように彭家鵬(中央放送楽団の指揮者ですね)が出演していて、「ま〜たコイツかい!」と苦笑したり、宋飛がよく登場するのは彼女のダンナがテレビ局のお偉いさんだからだとか、この人の化粧や服はちっとも似合ってないとか、好き勝手なことを言い合っております。

 曲によってはほとんどプロモビデオみたいな感じで、演奏だけでなく演技もしていたりして。いつだったか、二胡の陳軍が琵琶の人と寄り添って愛を語り合っているようなビデオに出くわし、「有名になったら演奏だけでなくこーいうこともせにゃいかんのかね〜」とルームメイトと笑っておりました。ま、もちろん演奏の方も見ていてすごく勉強になるので、私としてはぜひDVDに録画して永久保存版にしたいところなのですが・・・誰か日本からDVDレコーダー持って来てくんないかなあ。


(03.9.10)
 
○中国のおうち

【トラブル続きの我が家 】
  
 奨学金が出ることになり、その為には学校の寮に住まなくてはいけません。いままでの自由な外での生活とはおさらばです。しかしすごく汚くてトラブル続きだったこの家、何だかんだと文句をいいながらも1年も住んでいると愛着も湧いてくるもんであります。ああこの自由で広々とした空間、離れるのがとてもツラい・・。

 振り返ってみると・・やっぱりトラブルばっかりだったなあ、この家。住み始めたその日から点火しない湯沸かし器にはじまり、火花の出る洗濯機、数回の使用で壊れる炊飯器、しまりの悪い水道の蛇口に根元からポッキリ折れるシャワーホース。洗濯機は特にトラブル続きで、水は漏れるわ馬力は小さいわ、ここ半年ほど脱水機が動かなくて、あらかじめ脱水槽を手でぐるぐる回して準備運動させ、やっと思い出したように動くのです。やっぱ150元と安かっただけはある・・。

 台所水浸し事件は思い出しただけでも気持ち悪いし、あと、最近の大事件(?)としては「湯沸かし器焼け焦げ事件」があります。本来湯沸かし器ってのは、水を出すと自動的に点火し、水を止めると火も止まる。これが普通ですね。ところがある日を境に、火をつけっ放しにしておかないとお湯がでなくなってしまったのです。当然火をつけている時間が長くなると器械もどんどん熱くなる。だんだんと白い表面の板が焼けて茶色くなってきて、これはヤバいなと思いつつも、大きな問題ではなかったので放ったままにしていました。ここに住むのもあと数カ月だし、なんで私が金だして修理してやらにゃいかんのだ、という気持ちもありましたし。

【故障と汚れで大丈夫? 】

 でもシャワーを浴びている時も、毎回ガリガリッボボンッッ!!と大きな音がして、器械の下には錆がいっぱい落ちている。そのうち本気で怖くなってきました。「日本人留学生、ガス爆発で重傷」なんて新聞記事が頭に浮かび、シャレにならんな〜、と思っていた矢先のある日、とうとう湯沸かし器から白い煙がもくもくと・・。

 ついにさすがの私も重い腰を上げ、修理を頼む事にしました。そう、そしてまたまた登場、困った時のY老師(笑)。SOSの電話をかけて見に来てもらい、老師の手にはやはり負えなくて、区画内に住む修理屋さんに連絡して、修理している間も監督していて下さいました。器械自体は私が放置していたせいもあって(エヘヘ〜)かなり傷みがひどくて、完全には直らないけれどしばらくは大丈夫、というレベルまで修理してもらい、費用は60元。ちょっと痛いお値段だけど、生命の危険を考えりゃ安いものです。

 実は修理屋を呼ぶ前に、いちど家主の家に電話して交渉しようとして下さったY老師、ところが例のオバハンに電話口でつっけんどんな対応をされ、さすがの温和な老師もかなり頭に来ておられたようで、「君が住んでいる間だけ問題なければいいさ。もともと器械自体古すぎるんだ」と投げやりなご発言。

 日本では家を借りた際、最終契約期間が切れて家を出る時には、「原状回復費用」というのを払いますよね。人が暮らすことによって、もちろん家は大なり小なり必ずどこかしら傷んでくるものです。それを補修する為の費用、それが「原状回復費用」ですね。

 でも中国ではそういうのは無いようです。家を借りて汚してもそのまんま。次の間借人の為に特別補修することもしないし、当然家はどんどん傷んでいきます。いいんだろうかこんなので? 私達間借人にしてみれば、お金を払わなくてもよいので願ったりってもんですが、大家さんからすれば、家がどんどん汚されていくと資産価値が減っていくのではないかな・・・。

【家を買うときは内装が大変 】

 社会主義の中国では、もともとは国家が個人に家を支給するというシステムだったはず。ところが近年、「家を交換する」ことから始まって(すごく昔に日本のニュースで見たことあります)、今や個人で不動産を所得するのが一種ステイタスとなりつつあります。

 聞いた話によると、今の中国では、国から不動産の権利を買うのだそうですね。といっても土地は国家のものですから、建物だけですが。ずっと昔から住んでいた家などは、それを自分の財産として「産権」を国から購入してはじめて、他人に売ったり貸したりする権利が生じるのだそうです。人によってはそれをせず、昔通り「使用権」のみで賃貸料を国に払っているケースもあります。

 わが呉強老師も最近マンションを購入されたらしく、家の内装にものすごい労力をかけておられます。というのは、一般に中国の物件は家の外側だけを購入して、天井や壁、床など内装はすべて自分持ちで行なわなくてはならないのです。日本の建て売りだとたいてい内装込みの値段ですが、中国ではそうではありません。内装にさらに莫大な費用をかけなくてはならず、しかも工事がいいかげんだったりするようで、よくニュースでも取り上げられて問題になっています。

 その費用、一体いくらくらいするのか聞いてみましたら、建物自体が約100万元、内装に2〜30万元するのだそう。日本円に換算すると、約1500万円プラス3〜500万といったところ。これ、中国人の収入に占める割合、すごいですよね。現在の中国人の平均月収がいくらか知りませんが、まだ日本を越える事はないはず。なのに不動産にこれだけお金をかけて、果たしてローンを組んでもやっていけるのか?

【いろいろあったけど 】

 しかも中国では建物にしろ工事にしろ、日本に比べかなり質が悪い(ま、日本でもままありますが・・)し、アフターケアもちゃんとしていないので、建物や配管などの寿命もきっと短いだろうし、しかも建物だけで土地は無しだとすると、日本に比べ資産としての価値は絶対低いはず。なのに日本とそう変わらない価格。この現状を中国人たちはどう考えているのでありましょう・・?

 ・・なんて中国の不動産ブームの裏側に思いを馳せつつ、突然割れてしまった台所のタイルをコンクリ剤で修理しながら、「・・よかった中国で・・」とつぶやき安心する私なのでありました。

 原状回復?いやいや、それどころか前の住人に比べて、私の方が絶対綺麗に使ってるはず。台所と浴槽なんて、私が来た時真っ黒だったのを美しく(少しだけね)してやったんだ! と家主に主張したいのだけど・・どーせ聞いちゃくれないんだろなあのオヤジ。ちぇっ。

(03.8.25)
 
○小ネタ集・食品編

【あまあま〜 】
  
 日本のお菓子がおいしい、と感じるのは、私が日本人だから日本の味に慣れているだけなのでしょうか。でも世界広しといえど、あの甘さを押さえたビミョーな味、種類の豊富さにかけては、やっぱり日本が一番だと思います。

 中国では・・甘い。何でもかんでも甘い。お菓子なんかは伝統的なものもたくさん残っているので、それはそれで素朴な味だと納得できるのですが、日本人、特に若い層には受け入れられないでしょうね。私は月餅も大好きで何個もぺろっと平らげられるというキョーフの甘い物好きなのですが、その私でさえ中国人の糖分摂取量には目をみはるものがあります。

 お菓子ならともかく、マヨネーズやケチャップまでが甘いと、ちょっと気持ち悪い・・。中国には日本のメーカーも進出しており、スーパーでもよく目にしますが、それでさえ中国風に甘くアレンジされてて、どうもいただけない味なんであります。

 中国に来られた事のある方なら御存知でしょうが、こちらではペットボトルのお茶にさえ砂糖が入っています。さすがにサントリーなんかは無糖と低糖の2種類販売してますが、中国人が飲んでいるのを見ると、結構砂糖入りの率が高い。う、うそ〜。なんか気持ち悪いよ。

 昔の日本もそうでしたが、こちらではジュースといえばほとんど無果汁か低果汁。しかもその甘いこと!! 砂糖入りのお茶といい、夏の暑い時に飲んだら甘い汗が出て来そうな感じです。よけい喉が渇きそう・・。年配組も炭酸飲料をがぶがぶ飲んでいるし、身体に悪そうだなぁ。

 100%果汁のジュースも売ってはいますが、値段がかなり高い。1リットル入りで14元(約210円)くらいするので、日本とほとんど変わらない値段です。しかも先日、とんでもないのに当たってしまいました。「100%果汁」と書いてあるのを買って飲んだら、ものすごく甘い!よくよく原材料表示を見たら、砂糖とかビタミン剤とかいっぱい添加物が入っていました。100%と違うんかい!!うそつきー!!・・・でも勿体無いから文句言いながらも全部飲んだけど。

【牛乳が腐ると・・ 】

 昔に中国に旅行した際、牛乳といえばすなわち、粉ミルクでした。当時「ああ、中国はでかいから、きっと運送に時間がかかって、新鮮な牛乳が市場に出回らないんだな」なんて勝手に納得していました。

 今ではそういうこともなく(粉ミルクも存在しますが)、店頭には各社の「新鮮な」「純」牛乳が所狭しと並んでいます。・・しかし味が根本的に日本の牛乳と違う。妙に濃い感じがするのです。やっぱり何となく粉ミルクみたいな感じ。それとも所変わればこんなにも味が変わるものなのかなあ?

 しかも中国の牛乳、腐る・・というか日が経って古くなると、水と粉っぽい液体に分離するのです。これは一体・・?日本の牛乳は腐るとヨーグルト状になります。いったいどっちが本当の牛乳なのでしょうね?日本の牛乳が何らかの加工をしているのか、はたまた中国の牛乳はやっぱり粉ミルクなのか。誰か教えてください・・。

【味の素 】

  スーパーに行って味の素を発見し、「おお、やっぱり味の素は世界中で使われているんだなあ」と思うと同時にびっくりした事。結晶が異常にでかい!! あの柱状の結晶ひとつが1mm×6mmくらいあり、しかも袋にどっさり入ってる! ちょっと怖いよ、これ・・。

 食堂の調理場なんかを見ていると、この味の素がハンパでない量で使用されています。料理にごっそり入れるのを見ると、仮にも人工で合成された化学調味料だし、これって使い過ぎると身体によくないんじゃない?と心配になります。実際同学がしばらく「味の素中毒」らしき症状で気分が悪くなり、食堂の料理が食べられなくなったことも。

 確かに味の素って、料理にほんの少し加えただけで味が変わる、魔法の調味料(?)みたいなもんですが、だからってボカスカ放り込みゃあ無条件に美味しくなるってものでもないでしょうに。ですから毎回外食の際は「身体に悪そうだなー」とつぶやきながら食べています。

【薬の広告 】

 テレビの広告を見ていると、30分に一度は必ず流れる薬の広告。正確に言うとこれは正規の薬品ではなく、「保健品」と呼ばれる、いわゆるビタミン剤などの「保健機能食品」と日本では呼ばれているものです。中国ではこの保健品がとても売れているようで、一般のスーパーでもかなり大きな売り場面積をとっています。

 我々日本人にとって理解できないのが、この保健品がギフト商品におけるかなりのシェアを占めていること。テレビでも「親しい人へのプレゼントに」なんてやってるのを見ると、普通薬品なんて人に贈るか!?と常識を疑ってしまうのですが・・でも春節などの節日には、たくさんの人がこの保健品の箱を手にしており、中国ではすっかり習慣化しているようです。

 ビタミン剤に毛の生えた程度ならまだ理解できます。でも「この○○のおかげで夜もぐっすり眠れるし・・」・・・睡眠促進に一体どんな成分が入ってるんだろ。「これを飲めば記憶力増進、テストもばっちり!」・・・子供の頃からこんなもん飲んでていいのか!?あげくは「あなた、まだ子供にのませてないの?」おいおい。

 中国では、こういった食べ物や薬など、口に入れる物に対して、あんまり警戒心がないのだな、と感じます。テレビなどで健康健康と連呼していますが、薬は飲めばいいってものじゃない。飲み過ぎたり、複数の薬を一緒に服用することによる副作用の危険とか、まるで考えてないようです。

 中国では日本に比べ、花粉症だとかアレルギー性の病気の発症率はまだまだ低いようです。しかしこんな風に薬やいろんなモノを抵抗なく口にしていると、だんだん日本みたいになっていくんじゃあないのかな、とちょっと心配ではあります。

(03.8.11)
 
○小ネタ集・商店編

【スーパーのカート 】
  
 以前ご紹介した、近所に新しくできた大型スーパー。今も相変わらず足しげく通っております。SARSの脅威が一段落した現在、マスクを着用しなくなったので、またまた人から声を掛けられたりしてます。この間もスイカの山の前でおじさんに「どれが美味いかね?」と聞かれ(・・たんだと思う。上海語だからわかんないんだけど情況から察して、たぶん。)、一緒にスイカを叩いて「これかなー」なんて言ってました。

 スーパーではカートを用意してあり、重い物を運ぶ際には便利なのですが、自分の事しか見えていない中国人、通路の中央にカートを放っぽったまま通路わきの商品を見に行くとか(邪魔なんだよねー)、よそ見しながらずんずんカートを突っ込んでいくとか(人に当たるでしょーが)、両脇のカートを押しのけて自分が前に出るとか(その間他の人が通れんだろーが)、日本でもオバさんがよくやってる行為だけど、私は中国人のほとんどがオバタリアン(死語か?)になる資格があると思います。

 カートといえば、まあ時々は中に小さな子供を乗せている光景、見かけますよね。でも先日何だかヘンだな、と思ってよくよく見たら、中に乗っていたのは大学生にはなっているだろうと思われる、うら若き女性でした。カレらしき男の子にカートを曳かせ、自分はガムだかをくっちゃくっちゃと食べながら座っている。うーん、中国では何でもありなんだなあ。

【服務員 】

 中国の商店では、日本にくらべ店員が異常に多い。でもお客がいないと店員同士でくっちゃべっていて、お客が来ても話に夢中になっててんで無視、なんて具合で勤労意欲はあまり感じられません。中国人によると、彼らはもらっている給料が低いからやる気が起こらないんだよ、仕方ないね、なんて説明を受けるのですが、何か違うんじゃないそれ?いったい何が「仕方ない」んだろ?

 企業としては、やる気のない店員を2人雇うより、給料を2倍にして勤勉な店員を1人雇う方が、効率も上がるし店の信用も上がると思うんだけどな。中国と日本とでは会社および仕事に対する意識がまるっきり違うのですね。向上心ってもんがないのかね?まだまだ社会主義の習慣が根強く残っているようです。

 でも北京のS小姐によると、上海は北京や他の都市に比べ、店員ははるかにやる気満々らしい。求める商品がなかった場合、北京だと「没有(ない)」と無愛想に答えられて終わりなのだそうで、上海だと「じゃあこれはどうだ?」と代わりの物を持ってくるだけ、積極的なようです。とはいえ、たいていこちらの要求とは懸け離れたものであることも多いのですが・・。 しかも根拠無く「これはいい」とか断言したりするし。

 陽射しが強い日が続き、サンプロテクト剤を買おう、と思って例のスーパーへ。選んでいると、ほーらほらやってきたぞ小姐が。小姐お薦めの商品は若干高いモノ。「どう良いのか?」と尋ねると、「他は化粧品会社のだが、これは製薬会社のだから、肌の為には一番いい」ふむふむなるほど。「その証拠に、他の商品には"お肌に異状が認められたら、すぐに御使用をお止め下さい"と書いてあるが、この商品には書いていない。これはこの会社が商品に自信があるしるしだ」・・・どーいう根拠やねん。単に消費者への気遣いが無いだけなのをアンタが勝手に解釈してるだけだろ、と突っ込みたくなりました。

 で、小姐イチオシ商品をみごとに無視し、CMでやってた清涼剤入りのを買うことにしました。ただこの商品、SPFの指数が18,25,40と3種類あり、数字が大きいほど日焼け止め効果が高いので値段も高くなると思うのですが、なぜか価格は中間値のが一番高い。ここで小姐に「何でだ」と理由を尋ねると、あわてた小姐、他の店員に聞きに行ってました。

 その間に自分で原材料名の違いを確認して早々と理由を納得し、戻って来た小姐が一生懸命説明するのを「そうそう小姐、給料をもらっているからには、たとえそれが僅かなものであってもプロに徹しなくてはね」と心中ニヤニヤしながら聞いている私は、やっぱり意地悪ばばあ?

【お客さまは神様じゃない 】

  ・・・そーなんですよ、中国では。いや、日本でも時々「こいつはプロ意識があるのか?」といいたくなるような、舞愛想で融通が利かなくて謝りもしない店員、いますけど。

 中国では商品の流通状態が良いとはいえません。日本だったら、例えば店頭に商品がなくとも注文なり予約なり受け付けてもらえて、入荷すれば即、店から連絡が入るのが普通。これはメーカーの販売ルートが確立されているからですね。ところが中国の販売網ってどういう構造になっているのか、はたまた店員の水準が低いのか、店の管理能力がないのか、「注文」などという言葉は事実上ないと思ってよろしい。

 日本の友人からとある楽譜を頼まれ、あちこち大書店をまわったけれど見つからなくて、学校近くの楽譜屋さんへ。そこでも以前その楽譜を見かけたことがあるし顔馴染みの店なので、きっと話を聞いてくれるだろう、と思ったからです。2セット頼まれていたのですが店に残っていたのは1セットのみ。「もう1セット、注文できますか?」と頼むと、「また聞いておくよ」と言われ、急いでいるものでもなかったので、とりあえずお願いして帰って来ました。

 何日かたって再び店に行き、話をしたおばちゃんに「お願いしてた楽譜ですが・・」と聞くと、すっかり忘れている様子。たぶん問い合わせもしてくれてないんだろな。「悪いけど尋ねてもらえませんか?」「これ北京の出版社のだし、私らわからんから、社長に聞いておくわ。○曜日以降に電話くれる?」・・・電話だと語学力の問題もあり、確実ではないので、指定日以降に店に直接来るから、そっちから社長に聞いておいてくれ、と伝え、後日再度足を運びました。「で、例の件だがどうなりました?」「もうすぐ春節だからねぇ。たぶん出版社も休みだから、終わってからまた聞いて」

 ・・・あのなあ。何でいまさらそんな事言うわけ?私が最初に店に来た時にちゃんとやってくれてれば、春節だとか関係なかっただろ、とキレかけながら、一方で「また"自分は悪くない" と言い訳してるんだな」と理解し、「じゃあ春節が終わってしばらくしたらまた来るわ」と "諦めていない" 事を協調しておきました。

 そして春節が明け、「例の件ですが・・」おばちゃん、けげんな顔をして私の顔を見る。ほらほらやっぱ忘れてるっ!!「いや、ずっとお願いしていた古箏の楽譜ですよ」しばらく目が宙をさまよい、発した言葉は「・・・ないよ」・・・えーかげんにせーっちゅーねん。仕方ないので「他の店で見つけたらそこで買うわ」と、私にすればちょっと皮肉ったつもりだったのですが、当のおばちゃん、しれっと「それがいいよ」と答えるではありませんか。いいのか他の店に利益が流れて?プライドっちゅーもんがないのか?

 中国の商店、必ずお客から店に働きかけないと駄目なのです。日本では普通、客へのサービスが店の利益につながるので、ちゃんとした店では気持ち良く対応してくれますよね。ところが中国の場合、おそらく根底に「商品なり修理なり、必要としているのは客側なんだから、何かあったら自分から来るべきだ」という意識が流れているのでしょう。ですから店から客に連絡をくれることはまずありません。

 でもこれってすごく困る。例えば○日に出来上がる、といわれて店に行っても、予定通りできていないことがあり、その連絡さえくれなかったりします。こっちにしてみればわざわざ店に出向いて、あげくには「出来てないからまた来い」なんて言われたら、足を運んだ労力と時間を返せ〜、と「特に連絡がなかったから信じてやってきたのに」と厭味を言うと、「そんなこといったって工員の製作が遅れたんだ。私にはどうしようもない」なんて言い訳する。こっちにしてみれば工員だろうが誰だろうが、とにかくアンタの店なんだからアンタに管理責任があるんだよ!! そーやってすぐ "自分は悪くない" って責任逃れするんだから。

 ・・なーんていってもこれは日本人の道理。中国人には永遠に理解不能なようです。

(03.8.4)
 
○小ネタ集・昆虫編

 注意: 昆虫の嫌いな方はお読みにならない方がよろしいかと思われます・・

 夏です。毎日暑い暑い。クーラーをつければいいんですが、やたら旧式で騒音がひどくて練習してても自分の音が聞こえにくいのですよ。だもんで、つけては消し、の繰り返し。ああ面倒くさい。

 上海は南方なので、蝶なんかも日本とは違った種類が沢山いて、観察していると楽しいです。家が植物園の近くであるせいか、寮に住んでいる時より昆虫に出会う機会が多いです。そういえば以前、家の中でやたらぶんぶん音がするので何かと思ったら・・カミキリムシでした。虫は結構好きなのですが、うるさいのと楽器を齧られてはかなわんので、むんずと襟首を掴んで強制的にお引き取り願いましたが・・ 一体どこから入って来たんだろ。

【一意孤行のセミ 】
  
 日本ではセミっていうと「蝉しぐれ」のイメージがありますよね。1日のうち時間帯を替え色んな種類のセミがコーラスを奏でる。それを遠くに聴きながら、蚊取り線香をともし、ちょっとひと寝入り。美しき日本の夏の風物詩であります。

 中国ではセミが少ないのか、そういうのを耳にしたことがありません。田舎はどうか知らないけど、上海ではセミは単独で鳴いております。突然近くの木の上から「ビビビビビーッ」とけたたましく一匹でがなりたて、他のセミも特に和する様子もありません。美しきコーラスどころか、ほとんど騒音でしかありません・・。

 テレビドラマでもそういう場面がありました。皇帝がお昼寝中、邪魔にならないようにお付きの者が捕獲する・・確かにそこでもセミは一匹でがなりたてていました。うーむ。中国のセミは単独行動が好きなのですね。

 中国では「言ったもの勝ち」みたいなのがあって、他人が聞いてようが聞いていまいが、とりあえず宣言だけは威勢がいい。そう、街中にあふれるスローガンの多さと、またそれをぜーんぜん守っていない状況からも証明できますね。セミも・・やたら派手にさわいでくれるんだけど、誰も聞いちゃいねぇって感じ。

 日本人って何となく、「自分が他人と違ったことをすると白い目でみられる」ことを恐れて、なるべく人と同じように行動する習慣がありますよね。「あ、あのひと鳴いてるわ。私も鳴かなくちゃ」・・ってな感じで皆が次々と鳴き始め、コーラスと化す。日本のセミってそんな感じ・・しません?

【案外人(?)のいい蚊 】

 毎晩耳もとで超音波を発する、イヤな奴。でもね、中国の蚊って刺されてもあんまり痒くないんです。

 日本の蚊、特に黒白まだらのヤブ蚊ときたら、夕方庭に出て3分とたたない内に3匹も4匹もたかって来て、しかも太い血管を狙って血を思いっきりちゅーちゅー吸い、おまけに刺された後が超カユい!! あの獲物察知能力の敏感さと逃避能力の敏捷さ、毒性の強力さは恐るべきものがあります。

 ところが中国の蚊ときたら・・痩せてるし、どんくさいし、刺された後も腫れが小さい。ので、超音波さえ発しなければ別に献血してもかまわんよ、ってな感じになります。とはいえ、最近広州で日本脳炎がはやっているとのこと、蚊だからとあなどってはいけませんね。

【おおらかなゴキちゃん 】

  はるか昔から地球上に存在し、生きた化石(って書くとシーラカンスみたいでかっこいいですね♪)ともいえる、ゴキブリさん。

 日本の都会のゴキちゃんって、ほんとに頭がいいと思いません?こちらが相手を認識するや否や、その空気を敏感に察知し、殺虫スプレーを取りに行ってる間に姿をくらます。また、進退極まるとみるや、捨て身の覚悟でこちらに向かって飛んで来たりする。敵ながらあっぱれだなあ、と思ったこともしばしば。 (・・・読みながら気分悪くなって来たひと、ごめんなさい)

 大阪から奈良に引っ越して来て、ゴキちゃんに遭遇。・・でも何だか反応がニブい。叩く為の新聞紙を取りに行って戻って来ても・・まだのほほんとその場所に佇んでいる。しかも動きもどんくさくて、やすやすと叩かれてオダブツに。田舎のゴキちゃんって、都会のに比べてのんびりしているのです。

 中国のゴキちゃんもちょっとそれに近くてボンヤリしてます。人がいるところにノソノソと現れ、動きもニブい。それに中国のゴキちゃんは飛行能力がないらしい。・・と留学生の間でそういう評判だったのですが、ある日寮で飛ぶゴキちゃんを発見!!・・・でも必死で飛んでるんだけど距離もスピードも日本のと比べものになりません。

 中国では日本ほどゴキちゃんを目の敵にしていないようです。現在の家に引っ越した時、ゴキちゃんいっぱいだったのですが、家主もY老師の奥さんも、「ああ、ゴキブリじゃん」と顔色ひとつ変えてなかったので・・。中国のゴキちゃんは、のんびりおおらかな生活を送っているのかな・・・。

【コオロギ 】

  映画「ラスト・エンペラー」にも出て来てましたっけ。中国人のコオロギ好きには伝統があるようです。花鳥市場に行くと専門の店がありますもん。

 最近、「人工コオロギ」なるものがありまして、今頃の季節、街角でよく売ってます。竹を編んだ籠の中で、電動なのかなあ、四六時中ジジジジ鳴いてます。これ、風流というより・・単にうるさいだけなんだよね。鳴き声もいかにも「作り物」めいてて。後部座席にこの人工コオロギの竹籠を山のように積んで、自転車を走らせる行商人の有様ときたら・・何百もあろうかという籠からいっせいにジジジジと鳴り響き、うるさいうるさい。

 Y老師がコオロギ好きで、「お、鳴いてますね」と声をかけると、嬉しがって説明して下さいました。コオロギは大きく分けて2種類おり、戦うコオロギ(エンマコオロギみたいなでかいやつ)を「蟋蟀」(日本と同じ字ですね)、鳴くコオロギ(カンタンとかカネタタキみたいなの)を「黄鈴」と呼ぶのだそうです。

 Y老師は両方飼っておられて、蟋蟀を素焼きのツボに、黄鈴を専用のケースに入れています。「蟋蟀って、戦わせるんですか?」「いやいや、人によってはお金を賭けたりするけれど、うちでは単に飼育してるんだ」。

 黄鈴の専用ケースを見せていただきましたが、片手におさまる小さいもので、表面にガラスが嵌め込んであり、細工の美しい工芸品でした。「このケースも、凝る人はすごく凝ってね、最近は作る人も少なくなってきたからどんどん値が上がってるらしい」へえー。早速花鳥市場に行って見てみますと、確かに博物館に展示してありそうな美しいのがいっぱい。一体いくらするのやら。

 これは去年の話。だんだんと秋も深まって来て、蟋蟀は早々と天寿を全うしたようです。ある日Y老師のお家にお邪魔した時、ちょっと奇妙な感覚がありました。か細いリリリリという音が、近くなったり遠くなったり。「Y老師、これ何の音ですか?」「あ、これね」と笑いながらシャツのポケットから取り出したのは、例の黄鈴のケース。「寒くなってきたから、ポケットに入れて温めてやってるんだ」・・・老師、なかなか風流ですねぇ。

 そして11月も末のある日。「老師、黄鈴の声が聞こえませんが・・」「・・・死んじゃったよ・・」と答える老師の声は、それはそれは哀しそうでした。

(03.7.25)

○小ネタ集・2
 
【洗濯好き(?)の中国人 】

 よく香港の映画なんかで見かけますよね、ベランダから竹ざおを伸ばして洗濯物を干しているの。うちの家にも、ベランダからそれ専用の四角い鉄枠が吊り下げられております。私もこういうクラシカルな習慣を経験してみたいのはやまやまなのですが、洗濯物が「いかにも女性一人暮らし」という感じなので、ちょっとそれは・・とベランダの内側にこっそり干しています。

 思うのですが、中国人って大の洗濯好きのような。ひっきりなしに脱水機をまわす音がしますし、毎日毎日山のように洗濯物が干してあるのを見ます。きっと場所がたくさん必要で、だからベランダの外まで使って洗濯物を干すのかなあ・・ベランダの外だけでは足りないらしく、家の外の木にロープを張ってまで干してます。団地の区画内の緑地には、毎日洗濯物がいっぱい。布団やシーツならまだわかる。でも下着とかは家に干してくれないかなぁ・・先日は紙おむつまで並べて干してありましたよ(苦笑)。最初は工事の人とか区画内に住む修理工とかの物かと思ってたのですが、うちの近所のおばちゃんが外で干しているのを目撃。区画内の一般居住人の犯行(?)であることがわかりました。

 時々上階から雫がぽたぽた落ちてきます。どうも手洗いしたものを脱水せずに随時干しているらしい。まとめて洗濯した方が作業効率が・・とか思わずにいられないし、同時にとても気になるのは、折角乾いた下階の洗濯物が濡れるんではないの?実際、落ちてくる水しぶきで私の服も少し濡れて、あわてて場所を移動したこともあります。とんでもないなあ、まったく。

 ふと気がつくと、うちのベランダに上階からのものと思われる服やタオルが引っ掛かっていたりします。すぐ上階の人の物かどうかわからないし、いちいち上に行って聞いてまわるのも面倒なので、とりあえずハンガーに掛けて家の扉に引っ掛けておくと、いつの間にかハンガーだけ残して無くなっています。やれやれ、ちゃんと持って行ってくれたかな、とほっと安心。

 でも実は窓の外にあるクーラーの室外機の上にもデニムのシャツが乗っかっていまして、一体いつからあったのか全然気がつかず、取りにくい場所なのもあって、今もずーっと放置したままなのですが、見る度にどきどきします。持ち主の人、お気に入りのシャツだったら、ごめんね。


普通のアパートでも外に洗濯物を干す

【ゴミの分別、人の無分別 】


 ゴミの分別、なんてのは中国では一切ありません。資源ゴミも生ゴミも粗大ゴミも、みな一緒くた。団地の区画内には、専用のゴミ集積場が数カ所あり、基本的にはそこに捨てに行かなければならないのですが、守っていない人も多いのです。階段を出たところにゴミ袋を捨てたり、紙屑なんかもすぐその辺に捨ててます。

 上海に来たばかりの頃、人がやたらすぐにその辺にゴミを捨てるのに眉をひそめていた私。中国では毎日道路掃除をする人達がいて、道端に捨てられた山のようなゴミも、次の日にはきれいさっぱり無くなっています。あちこちでゴミ箱を見かけるのにもかかわらず、無造作に道端にゴミを捨てて行く人達。「心ない行為だなあ」なんて思ってしまうのですが、彼らからしてみれば「どうせ毎日掃除されるんだから、同じことじゃないか」というわけです。

 んー・・でも掃除の人達の給料は、あんたたちが払っている税金から出ているわけだし、もっと他に有効な使い道があるんではないの?などと思ってしまうのですが、あんまりそういう事は考えてないようですね。とはいえ、膨大な人口をかかえる中国、こういうところで就業率をあげないと社会恐慌が起こるのかもしれません。なかなかに奥の深い問題なのかも。

 そういう意味では、日本で道端にゴミだとか吸い殻とかを平気で捨てて行く人達、こっちの方が全く他人の迷惑を考えてなくてよっぽど問題かもしれませんね。一体誰が掃除すると思ってるんだろ。

【落下物 】

 時々、上階から「ひゅーん」と飛んでくる物があります。これ・・・ゴミなのです。

 ゴミ集積場まで行くのが面倒な人は階段を出たところに捨て、下におりるのさえ面倒な人は窓からゴミを投げる。時にはタバコや紙屑、時にはゴミ袋に入って・・あれ、生ゴミだよね、きっと。

 私も数回にわたって目撃したことがありますし、実際うちのベランダには「何でこんなん落ちてるんだ」ってのが・・。 おいおい、何すんだよ。生ゴミを入れた袋なんて、下に落ちるまでにバラバラになるし、下の階に汚い飛沫なんかがかかるじゃないのさ。

 以前、テレビの子供番組でこの「落下物観察」なんてのをやってました。詳しい内容は忘れましたが、1日に頻繁に落下する事実にびっくり。番組中、子供達にインタビューしてましたが、「こんな不文明(非文化的、と訳すべきかな)な行為はとても恥ずかしい」なんて言わせてて、私もテレビを見ながら「その通り!」と大きく頷いておりました。そうそう、君たち子供が未来の文明社会を造りあげるんだよ。その道徳心を忘れずにね。

(03.7.15)

○小ネタ集・1
 
【生活時間 】

 中国人の朝は早い・・ので、当然ながら夜も早い。例のパン屋のおばちゃんがある日言うことに、「アンタ昨日は随分遅くまで起きていたねえ。1時半頃だったかね?」・・実はその晩は日記の原稿を打っていて、正確には寝たのが午前3時頃だったのですが、変人扱いされそうだったので真実を告げずに「ええまぁ・・(笑ってごまかす)。おばちゃん、いつも何時頃お休みなんですか?」「んー、大体9時半頃かね」

 ・・・げっ。私が毎日練習を終えるのがその頃。ホントは10時頃まで大丈夫かな?と思いつつも、ちょっと遠慮して早く終わっていたつもりだったのに。きっと毎日「うるさいなー。早く終わらんかなぁ」なんて思っているのでありましょう。以来、一番うるさく響くであろう二胡の練習は、夜にはやらずに昼間に済ませる事にしています。ごめんね、ご近所のみなさん。

 何かの折にY老師にも尋ねてみますと、やはり老師も9時か9時半頃ご就寝だそうで。うーむ、日本ならば9時頃というと、確実に夕食も終わっているので電話タイムに最適、などと思うのですが、中国では夜に電話するなんてもってのほかのようですね。もっとも、呉強老師のように少し若くなると生活時間にも変化があり、11時頃なら電話をかけてもOKの範囲です。

 中国人の食事時間が日本より随分早い、というのは以前ご紹介した事がありますが、生活時間全体が日本人に比べ1時間から2時間早いようですね。5時から6時に起床、11時から昼食、夕方は5時から夕食、夜は9時頃床につく。・・あれ?それぞれ2時間足していったとしても、何だかやたら就寝時間だけが早いような?日本で11時に寝る人っているのかしら?

 日本人の生活習慣に詳しいY老師曰く、「知ってるよ。日本人は会社に忠誠を尽しているから、残業もすごいんだろ?朝は早いし、夜も遅い。でも1日最低8時間眠らないと、身体が壊れちまうよ。日本人はホントに可哀想だ」。8時間睡眠ねえ・・そりゃあお肌の為にも睡眠は大切だけど、会社勤めしてる人で8時間睡眠とれる日本人って、いるのかなあ。中国人の尽きることのないバイタリティは、この睡眠時間から生まれるのでありましょう、たぶん。
 

朝早くから公園行く人も多い
【パジャマでお散歩 】

 以前、日本から友人が上海にやってきた折、びっくりしていたのがこれ。パジャマ姿で繁華街を闊歩する中国人に遭遇し、一瞬目を疑ったようであります。まあ、日本でも病院の近くのスーパーなんかではちょくちょく見かける光景ではありますけどね。

 うちのあたりは田舎だもんで、パジャマでのお散歩人口はかなり多いです。おっちゃん、おばちゃんはまだわかる。しかし若い女の子までがパジャマ姿だと、ちょっと目のやり場に困ってしまう・・しかも髪の毛のカーラーもつけたままだったりするもんで、あわてて目をそらして見なかったふりをするのですが、本人は全く気にならない様子であります。

 でも逆に御年配の方々のパジャマ姿を見たことがありません。ひょっとすると「近ごろの若いもんは恥知らずで困る」なんて言ってるのかもしれないですね。

【スイカ 】

 やっぱり中国の夏に欠かせないものといえば、スイカ。梅雨入りしてムシムシのある日、道路向いに突然出現したスイカ市場、日を追うごとに規模が大きくなってゆきます。山のように積み上げられてあるのを見る度、「これ全部売れるのかな」と一番下に置いてあるスイカの運命がとても気になるのであります・・。

 以前上海京劇院に所属されていて、日本にも公演で数カ月滞在された経験のあるY老師。「日本のスイカは高級品だな。べらぼうに高いもんだから、中国のように毎日たくさん食べるなんて訳にいかないじゃないか」・・ふむむ。確かに日本ではひと玉1,500円はしますよね。人民元に換算すると100元。うひゃー、そう考えると確かに高すぎる!! 日本では人件費が高いですし、農協経由で糖度が計られて、高品質の物が選ばれて出荷されているのですから、仕方ないといえば仕方ないのですけれど。

 みなさん、一度に大玉を二つ三つ買っていかれます。すごい消費量なんでしょね。Y老師も「毎日風呂上がりにひと玉の半分を食べるんだ。やっぱり夏はこうでなくちゃな」・・日本のスイカでは高すぎてとてもこんなことできませんねぇ・・。

 日本で売っているスイカは甘いのが当たり前。しかし中国スイカの試食用の見本を見ていても色は薄いし、甘味もかなり控えめ(単に熟していないだけか・・)。まあ日本でも昔そうだったように、中国では暑気払いにスイカを食べるのですから、別に甘くなくても水分さえ取れれば良いような気もしますけれどね。

 ところが近年、冬でもスイカが出回っており、一体どういう需要があるのだろうと首を傾げたくなります。レストランならばともかく、一般の人が冬にスイカを食べるとも思えないのですが・・買う人がいるから売ってるんでしょうけど。

 最近は昔ながらの大玉に加え、小玉のスイカもたくさんの種類がでまわっており、私のような一人暮らしの者にはぴったりのサイズ。冷蔵庫で冷やし、二つ割りにしてスプーンですくって食べる。ああ、至福のひと時。
 

(03.7.4)

○キョーフの電話

 上海、梅雨入りしました。毎日暑いです・・日本ほどジメジメしてないですけど。SARSもどうやら一時収束、という感じで、上海の最後の患者も退院しました。もう街ではだれもマスクなんてしてません。あれほど「通気通風」なんていってたのに、窓締め切ってクーラーがんがん。んー・・喜ばしいけど、油断しちゃ駄目ですよ、中国の皆さん。

【最初はなかなか聞き取れず・・】

  「電話とケンカができるようになれば、かなり上達したといってよい。」・・外国語の習得に関して、どこかでこんな言葉を読んだ記憶があります。しかし中国語が全く話せない昔に、すでに一人前にもケンカだけは経験している私って一体・・・?

 それは、今を去ること10年前、初めて中国旅行にいった西安にて。ガイドブックに書いてある「乗らないように」という忠告を無視し、白タクに飛び乗った向こう見ずな私。地図の距離からすると15分もすりゃ着くだろ、と思っていたのに、運ちゃんが道に迷い、ものすごい時間がかかって目的地に到着。法外な値段(と当時私は思ったが、実はそうでもなかったらしい)を請求され、向こうは「こんなに時間がかかったのだから」と主張、私は「アンタが道に迷うからじゃん!!」(ちなみに私は日本語でどなっているが、何故か会話は成立している)とお互い譲らない。結局は近くの土産物店の、日本語を話すにーちゃんが間に立って仲裁してくれたのですが・・。この時の目的地は楽器店。思えば、あの時から今日への道はつながっていたのだなあ・・しみじみ。

 で、電話。上海に来た時から、これほどイヤなものはありませんでした。寮は2人部屋ですし、自分だけではなく、同室の子にもかかってくるので、彼女が不在の折にはとりあえず受けなくちゃならない。必死になって聞き取ろうとはするのですが、名前を聞くだけでも大変。当然中国人は漢字姓なので、自分の名前を説明するのに「○×の○」とか言われるのですが、その○×がわかんないと話にならないんだってば。相手も遠慮しながら話してはくれるのですが、伝言なんて頼まれようもんなら、もう勘弁して〜って感じでした。

【慣れたら投資の電話もかかってくる】

 受けるだけでなく、当然ながら電話をかけるのも、もうドキドキ。先生に連絡しなければならないとか、レッスンの時間を聞くとか、結構こちらからかけなくてはならない用事も多く、その度に言う事を文章に組み立て、同室の子に確認し、紙を見ながら事前に何度も復唱してかけてました。時々、予想外の事を言われるともう心臓バクバクもので(笑)。焦ると更に頭が真っ白になり、自分でも何を言ってるのかわからない状態。いやあ、ほんとに苦手です、電話は。

 今はだいぶ慣れました。・・というより、独り住まいなので誰にも聞けないし、仕方ないというか必要に迫られて、というか。何より、今は間違い電話とか、家主宛の電話もかかって来たりするのです。家主のお父さんだかが会社を設立しているらしく、「○○公司ですか?」ときた日にゃあ・・わけわかんないので、「私はただの間借人で、よくわからない。とりあえず家主の電話を教えるから、そっちにかけてみてくれ」と、最近では焦らずさばけるようになりましたが。

 投資の電話がかかって来た事もありました。「いや、私は留学生だし、いずれ帰国するので興味ない」とあしらったら、「どこの国?日本?」・・いきなり英語で喋り出すではありませんか。断り続けるとそのうち「あなたの同学に興味ある人はいないか?」・・懲りないねえ、おたく。


いつになったら慣れるのか上海生活
【上海語ではチト具合が悪い】

 かなり中国語に慣れて来たとはいえ、実際相手を前に会話するならまだニュアンスも伝わりますが、電話で声だけ、というのはやはり難しいです。若い人は標準語もきれいなので聞き取りやすいのですが、少し前の世代になると、上海語のなまりがきつくて、使う単語も違うようですし、とても聞き取りにくいのです、私には。

 上海語で電話がかかって来ると、「申し訳ないけど上海語わからないので、標準語話してもらえませんか?」とお願いするのですが、時々相手によっては一瞬ひるみ、再び話し出すのですが何度聞いたって上海語にしか聞こえないのだこれが(笑)。まあ、中国人は標準語をちゃんと話せなくても聞きとってはくれるので、仕方なく丁重かつ一方的に前述の決まり文句で撃退する、というわけです。

 呉強老師もY老師も外国人に慣れておられるので、分かりやすい言葉で話して下さるので助かっています。でも一般の人々、例えばY老師の奥さんとか、うちの家主とは、まだまだスムーズに会話が成り立ちません。

【家主との電話で往生する】

 少し前、急用ができて突然2日以内に帰国しなければならなくなったことがありました。帰国の最中に家賃の期限が切れるので、帰国するまでに何としても家賃を払う必要に迫られ、家主の家に電話しました。家主の奥さんかお母さんかわからないのですが電話口に出て来て、私が「○さんはいますか?私は間借人です」と言うと、「何?わからん、かけ間違いだろ!!」と、とりつくしまもなくガチャン。おいおーい。

 番号、控え間違いかな?と思い、契約書を保管して下さっているY老師に確認。しかしその日は老師は朝からレッスンがあり、晩遅くまで戻られないので、奥さんに調べてもらいましたが、電話番号に間違いはありません。いやでも、こんな事をいわれて・・と奥さんに説明すると、「あ、じゃあ×××に電話して調べてもらってごらん」(注: 中国にも番号案内サービスがあるのです)・・・奥さん、私が番号案内で問い合わせできるような語学レベルだと思ってるんですか? だいたい、家主の住所も知らんってのにどうやって問い合わせすりゃいいんだろ。

 「あ、ここに会社の番号らしきのが書いてあるよ。教えるからかけてごらん」・・何だかこの時、とても哀しくなりました。いやもちろん、私の語学力が低すぎるのが一番の問題なのだけど、それにしてもホントに私がそこに電話をかけて解決できるとでも思ってるわけ?・・・でもまあ一応「じゃあかけてみます」と、そこにも電話をしました。でも、やっぱり話がうまく通じないまま。もう一度Y老師の奥さんの所にかけ、「もうどうしたらいいのか私にはわかりません。もし帰国中に家主からそちらに連絡が行ったら、事情を説明してもらえませんか」と訴えた私の声は、ほとんど涙声・・・。

【振り回されるのだけは・・】

  しばらくして、ちょうど上階のおばちゃんが管理委員会からの通知を持って来られたので、ついでに屋主の連絡先を確認してみました。やっぱり私が最初かけた番号で間違いないはず。・・・意を決して、再度挑戦。すると、電話口に出たのは、いつもの家主のおっさんではありませんか。「さっき老師の奥さんから連絡があってな。電話しようと思ってたとこだ」・・・奥さん・・・嬉しいけどそれならそうと早く知らせてよ。

 この一件はなんとか解決したのですが、また中国人のいい加減さに振り回されてしまったよ、とほとほと疲れてしまいました。そりゃあ、確かに今回は私の用事ではあるし、私自身も「言葉ができないんだから、何とかしてくれ」という、甘えの意識があったかもしれません。でも、もうちょっと私の状況も理解してくれてもいいんじゃないの?何でわかってもらえないの?

 中国では相手の視点に立って物事を考える、という意識が大きく欠けているような気がします。こんな事をしたらどこに障害が出るだろう、と後の事を深く考えずにその場だけの解決を求めるから、あとで不具合がたくさん出てくるのだと思います。実際、商品などを見ていても、消費者の意見を反映しているというより、 見た目とか勝手な思い込みで新商品を開発しているとしか思えないし、その証拠にちっとも使いやすく改良されていないのです。普段の中国人の「自分の主張ばかりで、人の言う事をちっとも聞いていないし、聞く気もない」ってのがそのまま反映されてるようですね。

 情報の伝達があまりにも悪いのも、自分がわかっていたら人もわかっていると思い込んでいるフシがあり、いわゆる「報告・連絡・相談」ってのがなくて、そのおかげで学校でもあっちこっち振り回され、何度えらい目に遭った事か。ほんと、いい加減にして欲しいです。・・ああ、自分の問題を棚に上げ、また怒ってしまった・・。
 

(03.6.23)
 
○見た目は中国人

 幸か不幸か、私は外見だけは中国人に見えるようです。その証拠に、飛行機の中でも、スチュワーデスはほぼ必ず中国語で話し掛けて来ます。日本語が上手くないのかな、と思っていたら、後ろの人には流暢な日本語で話し掛けていたりするので、やっ ぱり私はハナから日本人だと認識されないらしい・・。といっても 口を開くと15秒経たないうちに外国人とバレてしまうのですが。昔はひとこと話せば即バレバレだったので、少しは上達したのかな、とは思いつつ、でも未だに中国語がヘタな私なのです。

【中国人に見られてトクをすることはあるか】
  
 中国人に見られることによってトクをすること、その1。店で値段を尋ねる時、思いきりふっかけられる、ということが少ないようです。先日、布地の卸売り市場に行った時の事。おばちゃんに「これ1mいくら?」と尋ねると、私の前にいた外国人客に聞こえないよう小声で答えてくれました。話しているうちに私が日本人であることが判 り、ちょっと「しまった」という顔をされましたけど。へへ。

 その2。これはトクといえるのかどうか・・。現在、私は一般の中国人地区に暮らしていますが、危険な目に遭うことを避けるために、なるべく目立たないよう気をつけています。でも、ごく自然にまわりに同化しているもんで、 口を開きさえしなければ特別なーんてこともありません。しかしあまりに違和感がないため、ぞんざいな扱いを受けたりすることもしばしばで、時々は外国人ならではの特別扱いも受けてみたいものではあります・・。

【私ってなぜか尋ねられやすいんでしょうか】

 中国人は、遠慮がないというか、結構気安く他人にものを尋ねることが多いように思います。しかし逆に私が中国でものを尋ねても、知らないくせに適当に答えられたりして、ちゃんとした回答が返ってくることは稀です。これ、何となく変だと思いませんか? まともな回答が期待できないのに尋ねたって信用できないのでは・・? それとも取りあえず沢山尋ねてみて、その中から信頼できる答えを探し出すのでしょうか。

 スーパー等でも、やたら「これいくらだった?」とか、「どこに売ってた?」とか聞かれます。で、なぜか私って尋ねられやすいヒトで、いつも「店員に聞けよッ」と思いつつ答えてあげている私・・。そーいや以前S小姐が上海に遊びに来た折、博物館のミュージアムショップで彼女が土産のハガキを選んでいる時も、なぜか彼女を飛び越して私に値段を聞いてきたっけ。

 旅行鞄が壊れたので、大型スーパーででっかいのを購入し、店内をガラガラと曳きながら歩いていたら、何人もの人に「こんなでかい鞄でどこに旅行にいくんだ?外国だよな?留学?」と尋ねられたのにはまいりました。うーむ、普通知らない人に聞くかこんなこと?「いや、私は外国からの留学生なんだ」と答えたら、これまた意外な顔をされ、急に態度が丁寧になったような・・。

 【道を聞かれると困る】

 一番困るのが、道を尋ねられること。実は私は大の方向オンチ。自分がどこを歩いているかわかんないのに人に教えられるかいっ、と思うのですが・・特に上海に来たばかりの頃は、尋ねられても何を言ってるのかわからなかったもので、とっても困りました。わかっても私が説明できなかったり。 それでもいつも地図を持ち歩いている為、尋ねられるとそれを見せたりして親切に答えてしまう私なのでした。

 道を尋ねられやすい人って、いますよね。私もそういう人種らしいです。日本でも旅行先でも(なぜか外国でも・・)よく聞かれます。ここ上海でも例外ではなく、「なんでよりによって外国人の私に聞くんだ?」と言いたくなること、あまりに多い。

 ある日も、混雑した地下鉄の中で「小姐、○○にはどこで降りればいいんだ?」と後ろで声がします。まさか私に向かって言ってるとは思わず、ちらっと横目で見やると、まわりに小姐に相当する人もおらず、おっちゃんおばちゃんばかりで、視線からしてもどうも私に尋ねているらしい。しかし私はその○○の場所もわからないし、上手く説明できそうになかったので、素っ気無く「わからん」と答えてしまいました。その後隣のおっちゃんが超丁寧に説明してあげてたのでホッとしましたが。

【でもありがとうといわれると・・】

  この手の経験はとても多いです。バス停で道を聞かれ、私の話し方から外国人であることが明らかなのに、隣にいたおじいさんから「ワシは目がよく見えんでな、悪いけど××番のバスが来たら知らせてくれんかの」と頼まれたり。まわりにいっぱい人がいるのに、何で私なんだろ・・。

 「きっと私の人の良さが顔にも表れてるんだろう」と都合の良いように勝手に解釈しているのですが(笑)。それでもスーパーのコインロッカーなどで、使い方がわからずにまごまごしているおばちゃんなんかに、ついつい説明してあげたりする私は、やっぱり人がいいのか単にお節介なのか・・でも「ありがとう」と言われると嬉しいんですよね。

 ところがここ最近、あまり声を掛けられなくなりました。スーパーでも私を飛び越して別の人に値段をきいたりしています。ふと気付いたのですが、どうやらSARSのためにマスクを着用しているのが原因らしい。マスクをしている時は、ほとんど誰にも声をかけられません。なぁるほど、こりゃいいや。SARSがほとんどおさまった今、マスクをしている人も滅多に見かけなくなっちゃいましたけどね・・。

(03.5.26)
 
○SARS続報

 非典(SARS)続報です。長らく恐ろしい勢いで患者が増え続けていた北京でも、ようやく少し落ち着いて来たかの様子ではありますが、上海でもとうとう死亡者が出て、まだまだ安心できない状況です。上海人(・・出所はY老師です)いわく、「患者はすべて外地人だ。上海は大丈夫!」・・その油断が危険なんだってば、もう。

【熱心に消毒、でも不安】
  
  しかしテレビを見ている限り、あっちもこっちも消毒しまくってるのはいいのですが、ダニや蚊じゃあるまいし家具やベッドの下とかの陰になってる部分をやたら念入りに消毒してどーすんだ?皆が触れる機会の多い場所を重点的に消毒するべきなんじゃないの?とギモンに思ったりとか、あと消毒薬だって希釈して使っているとはいえ、多用した場合の副作用も心配です。テレビで実験してたけど、原液でストッキングが溶けちゃうんだよー。毎日そんなの吸い込んでいたら、絶対身体にいい訳がないでしょ。

 北京ではいくつかの隔離地区ができて、立ち入り禁止になっており、上海でも北京ほどではありませんが、小規模で隔離されている場所があります。どうやら、SARS多発区域から帰って来た人、また疑似患者が出た地区に対して、約10日間、半強制的(自主的といってるがたぶん・・)に隔離しているようです。街に張ってある壁新聞など見ていると、どこそこの隔離された居住棟の様子なんかの記事があって、団地の階段の入り口にロープが張ってある写真が載っており、それを見ながら明日は我が身かなあ・・とふと不安になったりして。

【テレビでよく見るキャンペーン】

  先日もテレビで「上海師範大学の34時間緊急隔離」なんてドキュメンタリー番組やってました。北京から帰って来た学生の中から疑似患者が出たため、院長の判断で学生が住んでいた寮の一棟が緊急隔離され、SARAでないと確認され隔離が解除されるまでの切迫した状況、隔離された学生達の心理、等なかなか上手く作ってあるなあ、と感心しながら見ていました。

 テレビでは毎日非典関連の番組ばかり流しています。例のスローガン広告も、毎週(いや、もっと頻繁かも)1作のペースで「戦勝非典」だの「万衆一心」だの、毎回手を替え品を替え熱心に国民の愛国心に訴えかけています。まあよくやるよなあ・・とた眼で見てしまうのは私が日本人だからかな。敗戦以来、日本人はこういった「愛国精神」に対して極度の拒否反応を示す癖がありますもんね。臆面もなく「皆で戦おう」なんて言える中国は、かえって健全なのかもしれません・・。

 うちの家のTVでは中国の番組しか入らないため情報も偏りがちで、時々は客観的な情報も見て確認しないと不安になります。こんな時、パソコンを持って来ていてほんとに良かったな、としみじみ感じます。ネットではいろいろSARSの関連記事を検索できますから。また、上海の日本人社会の対応など、外国人居住区に住む知人にメールを通じて消息を知る事も可能です。

【メールで救われる生活】

  思えば留学当初、中国でのネット事情が皆目わからなかったのでパソコンを持参できず、冬休みまでの半年間ずっとパソコンなしの生活でした。電話だとお互いお金がかかってしょうがないし、手紙だと届くのにかなり時間がかかる為、日本の親や友人ともあまり連絡が取りあえず、慣れない中国での生活の中、極度にストレスがたまったものでした。途中から日本人の同学にパソコンを有料で借りられる事になり、時々友人達とメールのやりとりしあう事によって、精神的にずいぶん救われたのは事実です。

 半年後、自分のパソコンを日本から持参して、大袈裟かもしれませんが、やっと自分が取り戻せた気分になりました。毎日のように友人達からメールが届くととても嬉しいですし、それまで浦島太郎的な疎外感を感じていたのが解消され、「やっぱり人間ってのは社会的動物なんだなぁ」と再確認したり。ただ、メールに時間を費やしすぎて、気がつくとかなり夜遅くなってしまうことも・・。

 特に学校から離れて外で暮らしている今、誰とも話をしない日の方が多く、自由だけれど孤独を感じることもしばしば。時にこちらからメールを送信するのと同時に相手から送られてきたりする事があると、「ああ、相手もまさに私と同じ時間にパソコンの前に座ってメールを打ってたんだな」と、何とは無しにほんわか〜と嬉しい気分になります。

【パソコンと皆さんに感謝】

  中国では、専用のカードを購入すれば、日本みたいにいちいちプロバイダに加入しなくともネットに接続でき、とても便利です。カードもいろんな種類が売られていて、時間帯によって料金が安くなったりというのもあります。私はもっぱら201カードという、一般の上海市内専用の電話カードを購入していますが、パソコンに設定する際、カード番号と暗証番号を入力した後、最後に8888だの8163だのといった数字を入力することにより、プロバイダにつながるのです。

 この留学日記、実は画面上で文章を考えるのが苦手だもんで、パソコンを持参した後もずっと手書きのモノを郵送し、中田さんにわざわざ入力してもらっておりました。1年経ってやっと観念して、メール経由で原稿を送るようになったのです。でも便利は便利。「そろそろ原稿送らんといかんなー」と思ったら即送信できますもんね。時々自分で間違いに気付いて送り直したりすることも・・。レイアウトなんかも依然まかせっきりでお手を煩わせていますが、以前よりは中田さんの手間も減ったかな?

 うちの母も最近パソコンを購入し、今はもっぱらメールでやりとりしています。もともと他の同学達のご両親とは違って、こちらから電話しないと連絡もくれない母なのですが、メールだと結構頻繁に便りをくれるのが不思議。

 いつも愚痴を聞いてくれ、またメールでお願いした頼みごとをいやな顔もせず(してるかもしれないけど見えないもんね〜)引き受けてくれる友人達には、ほんと感謝しています。

 私にとってパソコンは、時間と距離と情報と感情の溝を埋めてくれる、かけがえのないツールなのです。

(03.5.19)
 
○お買い物天国

  ・・なぁんてタイトルをつけると、何だか有名ブランドのブティックや免税店なんて想像してしまいそうですが、ビンボー人の私にゃあ所詮縁のない世界。私にはもっとふさわしい場所があります。そう、それは大型スーパー。

【観光がてらに大型スーパー】
  
  学校の寮に住んでいた時、まわりは繁華街でたくさん店が立ち並んでいましたが、コンビニは多数あれどスーパーはそれほど大きくもなく、品揃えもたいして多くもなくて、最初でこそ目新しくて楽しんでいましたが、じきに飽きてしまいました。

 で、留学生の間で評判になっていたのが、外国人住宅区である古北に位置する大型スーパー、カルフール。中国では「家楽福」という名前で呼ばれていますが、日本にあるカルフールと同じで売り場面積が広く、品揃えが豊富で、見ているだけでもう面白いこと! 面倒くさがり屋の私でさえ、時々バスに乗って観光(ほんと、観光みたいなもんですよ)しに行ってました。

 フランス系スーパーですから、輸入品もかなり多く(でもパルマの生ハムは売ってないけど)、他にも試食販売やら鮮魚の生簀やらいろんな物があって、その辺の普通のスーパーに比べ活気があってとても楽しいのです。生簀にスッポンや上海ガニがいるのがいかにも中国、という感じ。あと烏骨鶏まるごとパックとかね。

 もちろん食料品の他にも衣料や日用品、電化製品、自転車、その他もろもろ売っていて、生活用品はここですべて調達できそうです。商品も、日本で売っている物と大差ありません。こうした大型量販店は最近急に増加したそうで上海のあちこちにあり、中国も本当に便利になったもんだと感じます。

【無料送迎バスを利用】

  今の家に引っ越した当日、付近の地理も全く把握していないうえ、寝具をはじめ生活道具が一切ない状態で、Y老師に相談すると「んー、近くに中型スーパーはあるが高いので」と、奥さんが私を伴い買い物に連れて行ってくれました。住宅区を出て少し行った場所に、もう日も暮れているというのにおばちゃん達が群れています。「バスに乗って15分くらいの所にあるスーパーに行こう」と説明されたのですが、そこにはバス停などありません。そしてほどなくやって来たのは、一般の路線バスではありませんでした。

 そう、大型スーパーからは専用の無料送迎バスが出ているのです。スーパーによりだいたい5〜7地区の路線が用意されていて、あちこちの住宅区を通るようになっています。その日私達が行ったのは、徐家匯という大繁華街に位置する、Lotusというこれも外資系(だったはず)のスーパーで、 最終バスまでのわずかな時間に最低必要限の生活用品を買い、帰りにしっかりバスの時刻表のコピー(ちゃんとあるのだ)をひっつかみ、慌ててバスに乗って帰宅したのでした。


全てがそろう大型スーパー ・カルフール

【たまにはバスを間違うこともある】

  その後、必要なものを揃える為にちょくちょくこの送迎バスを利用してはスーパーに出かけていました。うちの地区へは他のスーパーからもバスが出ていて、土地カンを養う為にも、とあちこち試しに乗ってみていたある日の事。いつものようにLotusのバスがやって来たので乗り込み・・・ん?何だかいつもとルートが違う気がする。あれあれっと思っていると、橋なんて渡っているではありませんか。私がいくはずの徐家匯のLotusには川なんて越すはずがないし・・。到着した所は、はるか浦東地区にあるLotusのもう1つの支店でした。げっ。まさかLotusが二つあるとは思いもよりませんでした。もしバスに乗りそこねでもしたら、どーやって帰ればいいのかわからん程遠い場所じゃないの。

 あせった私、バスの発車時刻前には乗客でいっぱいになることがわかっていたので早々に買い物を終え、はやばやとバスに乗り込んで準備していました。ところがところが。いざ発車する段になって、バスが故障したためにうちの地区に行くバスがなくなってしまったのです。皆口々に運転手にむかって「うちはどこどこだがどのバスが近くに停まるのか」などと聞いていますが、ほとんど上海語・・。この様子ではたぶん私がおずおずと訊ねてもドヤされそうだったので、必死になってやりとりを聞いていました。幸い、上海語も地名だとなんとなく語感で理解できるので、ほどなくうちの付近の道路名を訊ねている人を見つけて、その人と同じバスに乗り込んで何とか帰りつくことができました。やれやれ。帰れないかと思った・・。

【近くのスーパーでホット一息】

 大型スーパーでは盗難防止の為でしょうか、財布だとか小さなものしか携帯できません。たいてい無料ロッカーが設けてあり、荷物を持って入場しようとするとガードマンに呼び止められ、ロッカーを利用するように指示されます。同じく万引き防止のためか、レジを出たところでレシートチェックをされるのですが、これがまた適当で(Lotusでは結構厳重ですが)、ちっともレシートの内容を確認せずに確認印を押していて、これじゃちっとも意味ないんじゃない?人件費無駄なんじゃあ?と首をかしげるような有様です。ほんとに形式だけなんだから、中国のやり方って。

 時々、郵便受けにスーパーからの広告が入れられていて、それを見るのも楽しみのひとつ。8ページくらいの冊子になっていて、頭付きの鶏(グロテスク〜)や色々な部位の肉の生々しい写真とか、中国ならではのモノが盛り沢山。野菜ほか、商品の中国名も覚えることができますし、大体の相場価格も知ることができます。

 最近うちの家から自転車で5分くらいのところに、別の大型スーパーが建ったため、ありがたいことにわざわざバスに乗って遠くに出かけなくともよくなりました。もう、うれしくて。そのスーパーでもカルフールのようにローストチキンがぐるぐるまわり、輸入品は少ないものの、土・日には食品の実演試食販売もあるし、焼きたてのピザも売っているし、もちろん生簀もパック詰めの肉もあり、たいていのものはそろっています。

 こんな近くにこんな一大娯楽城(んな大袈裟な〜)ができるなんて!! スーパーに出かけるのがとっても楽しみな毎日なのです。

(03.5.5)
 
○SARSの影響

  いやあ、世界規模で大騒ぎになっているSARS。そして患者数といい、情報隠蔽といい、世界中から非難をあびているのがここ中国。すでに北京では深刻で、数日前から留学生の帰国ラッシュは耳にしていましたが、 とうとう日本人に退去勧告が出たようですね。

【何人発生かと不信感】
  
  少し前まで報道の中心だったイラク戦はどこへやら、テレビでは連日SARSのニュースばかりです。SARSは、中国では「非典(非典型肺炎の略)」と呼ばれており、ニュースでは毎回患者数が発表されています。先日のWHOの調査では、上海では特に重大な報告はなかったようですが、何だか信じられないなあ。 そーいやテレビでWHOの委員達が黄浦江ナイトクルーズなんてしているのを見ましたが、これって買収されてんじゃあ?

 北京であれだけすごいんだから、もっと人ごみの多い上海でこんなに患者が少ないはずはない、と皆思っている様ですが・・。レッスンの時に呉強先生いわく「患者が2人だなんて、しかも毎日数字が増えも減りもしないなんて、絶対おかしいわよー」。・・うん。私もそう思う。噂では、WHOの調査員が来た時に、患者を杭州に一時避難させたというハナシ。あり得るかも。 (注: 5/4の時点で、患者数は4人に増えました)

 やっぱり社会主義国ですもん、政府の発表なんて信じられないですよ。パニックを避ける為に、特に上海では絶対真実をいわないのではないかと思います。テレビを見ていても、政府がいかに努力してSARS対策を行なっているか、そして市民がそれをいかに率先して忠実に実行しているかを宣伝し続けています。例えばホテルやレストランで消毒活動を行なっている様子を写したりしていますが、いつも同じ映像なので「宣伝向けか?」とよけい不信感がつのります。

【テレビでの宣伝もすごい】

  テレビのSARS広告もすごいですね。感動的な映像とアナウンス、「我々は断固として立ち向かうのだ!!」とか、スローガン満載。今日はSARSと前線で向き合う白衣の天使のテーマソングなんて放映されていて、いつの間にこんなん作ったの?と笑っちゃいました。 ここまでやると、却ってわざとらしいんだけどなあ・・。

 上海では先日、市の衛生面の条例が強化され、痰を吐いたり吸い殻を捨てたりした時の罰金が倍になりました。ま、喜ばしいことではありますが、条例を徹底させる為に繁華街では監視員が駐在していて、テレビでサクラだか何だか摘発されている人が映され、「もう二度と違反しません」なんて言ってたけど・・でも一過性のものなんだろな、きっと。

 テレビでは頻繁に注意を呼び掛けていて、「帰宅したらよく手を洗おう」「人ごみの中には極力行かない」「窓を開け、通風をよくしよう」・・ここまでは、わかる。しかし「汚れた手で鼻や歯をほじったりしない」・・・何だこりゃ。ま、まあ日本よりこの種の目撃率が高いんだけどね、確かに。こんなご時世だというのに、お札も指にツバつけて数えられたりするので、ここまで言わなければならない気持ちは良くわかる・・これを機に、中国人の衛生観念も向上してくれると助かるのだけど。

【衛生観念の徹底は】

  衛生観念もめくら滅法って感じで、先日テレビで銀行でのお札を消毒する場面が放映されていましたが、それからほどなく、市民が電子レンジでお札を消毒しようとして焦がしてしまい(そりゃーそーだわ)、これが再び銀行で替えることができるかできないか、なんてニュースでやってました。あのなあ・・無茶やってるのがわからんのかぃ? 一般市民の観念なんて、そんなもんなのね。

 北京ではすでに一部地域が封鎖されてしまいました。テレビで封鎖地区への電話インタビューなんてやってましたが、「国の方針だから仕方がない」とか建前めいたことを言ってるのを聞くと、これも人心を混乱させないよう情報操作しているのかなぁ?と疑いたくなります。うーむ。

【音楽学院にも影響が】

  音楽学院も、とうとう関係者以外立ち入り禁止になり、学生にもIDカードが配られ、携帯していない人は学校に入れなくなりました。北京と違って大学の授業はまだ停止されていませんが。逆に学生が遊びに行かないように授業が増やされたらしく、本来祝日であるメーデーの前後も授業があり、呉強先生は「ったく、休みもないなんて」とぶつくさ言ってました。

 留学生も、ぽつぽつですが帰国者が出始めました。あくまで噂ですが、本科生にすでに2人ほど疑似患者が出て病院に収容されたらしく、そんなの聞くとやっぱり恐いですよね。私は外に住んでいるし、外出も週に一度か二度なので、人と接触する機会の多い学校にいるよりは感染率は低いかなと思いつつも、逆に情報も少なく不安です。北京みたいに気がつかないうちに封鎖区域に指定されていたらどーしよう。

 すでに薬局ではマスクや薬、消毒液といったSARS予防用品は売り切れています。政府も関連用品の暴騰を防ぐ為、上限価格なんてのを設けていましたが、どこぞで摘発された薬局があったそうな。特にマスクはどこの薬局にもなくて、先日地下鉄の出口でヤミで売っているのを見かけましたが、いったいいくらするのでしょうね。スターバックスの店員にも「そのマスク、どこで買ったの?」と聞かれましたが「いや、これは日本から持って来たものだ」と答えると、残念そうな顔をしていました。

 道行く人のマスク率は増えましたが、それでもまだ半分に満たない感じです。テレビで変に上海の安全が発表されて、かえって安心して意識が低くなっているのではないかと思います。これから、一体どうなるのでしょう。私も実は恐いんだけど、とりあえず様子見の状態です。マスクに手洗い、健康管理に気を配りつつ、いつでも帰れる用意をしながら待機している、そんな毎日です。

 日本だって安全じゃないかもしれないし、皆さんもお気をつけて。

(03.4.25)
 
○スリル満点どきどき上海バス

  なにやらSARSが猛威をふるう今の中国、特に北京ではえらいことになっているようで、ここ上海でもどうなることやら。ここ2、3日のうちに、急にちらほらマスク姿を見かけるようになりました。少し前までマスクをしてバスに乗ると逆に避けられたってのに。私は保菌者だからマスクしてるんじゃなくて病気になりたくないからマスク してんのよッ!!いやしかし、今後どうなるんでしょう。私、帰国できるのかなあ・・不安。

【ようわからん路線網】
  
  田舎に住んでいると、どうしても必要な交通手段といえば、やはりバス。世界中どこに行っても、土地カンがないうちは、これほどわけのわからん乗り物はありません。特に上海のバス網といったら・・。北京に旅行した際、感心した事。なんと便利な事に地図にバスの駅名が書いてある!! 北京にしろ広州にしろ(しか知らんので・・)、バス停が大きくて、しかもちゃんと一ケ所に集中しており、わかりやすいのですが、上海はそうではないのです。

 以前、初めてY老師のお家にお邪魔した時のこと。電話で「××番と××番の2種類のバスに乗れば、ここ○○新村という駅に停まるから」と教えられ、地下鉄から降りてバス停を探すと、○○新村という駅に停まるバスは沢山ある様子。その頃はあまりバスには慣れておらず、「何だぁ、結構どのバスでも停まるんだ」と思ったのが間違いのもと。老師に教えられたのとは違うバスに乗って、その○○新村という駅で降り、・・それからが大変でした。その○○新村のうち、Y老師の家がある四村が全然見つかりません。人に聞いても「たぶんあの辺」とか言われるだけ。苦労の末、なんとか探し出す事ができたものの、老師曰く「だからこの2種類のバスに乗れって言ったのに。これだとうちの門の前に停まるんだ」・・んな事いったって知らんがな〜。

【気合を入れて乗らなければ】

  そう、上海では、バス停に表示している駅名が、必ずしも同じ一ケ所にあるとは限らないのです。特に田舎ではね。上海の地図にはバスの路線と駅名が載っていますが、自分の行きたい場所に行くバスを探し出すのは至難の技(と思う)。地図を見ながら、「共通の駅名があるから、きっとこれとこれを乗り換えすれば行けるはず」なんて思っても、乗り換えるバスが全く別の場所にある可能性も大きいのです。

 でもって、さらに困った事に「バス停がない所に停まる」なんてのも。Y老師の家から学校に帰る際、門から出てしばらくした所で「ここでバスを待ってればいい」と言われ、で、でもバス停がありませんけど?と言うと「大丈夫。手を挙げると停まってくれる」・・そんな高度な技、使えんってば。観察していると、場所もまちまちのようで、人が立つのを見て次の人がその辺りで待つという具合。しかも運転手の気分次第で停まってくれる時とそうでない時があるようです。

 バス停で待っていてさえ、素通りされる事があります。都心部ではまずそういうことはないですが、我が家の辺りでは乗る人もそう多くはないので、乗る人がいないなと運転手が判断するや、さっさと通過してしまいます。実際、それで乗りそこねて後ろから走って追いかけた挙句、結局乗れなかった中国人を目撃した事がある・・。だもんで、ぼやっとして乗り遅れると困るので、バスに乗る時は道を凝視して、かつ目的のバスが来た時には運転手の顔をハッタと睨みつつおもむろに一歩前にでる。そんな習慣がつきました。・・なんでバスに乗るのにこんなに気合いを入れにゃならんのだ?


うまく使えるか上海のバス路線

【車掌さんもいろいろ】

  バス会社も色々あり、会社によって乗り心地もサービスもかなり差があります。大きなバスだと駅名も電光表示されるので(まあ、時々間違ってたりしますが・・)わかりやすく、最近では液晶テレビなんかも搭載されていて、有線だか音楽MTVを流していたりと、サービスいいですね。小さなバスだと安いけれどサービスもイマイチで、おばちゃんが駅名を上海語で叫ぶことが多いのです。聞き取れなくはないけど・・ちゃんと標準語で言ってよ。バス停にも「講文明話」ってスローガンが書いてあるのにー。でもって先日乗った小バス、ふと足元に目をやると、底板が剥がれかけていて揺れる度にズレてゆき、路面がまる見えではないの。危険・・。

 しかし乗客の文明度は少しずつですがUPしている気もします。お年寄りや子供連れの人に、かなりの確率で席を譲っていますね。この間も私が後ろの席が空いたのに気付かずに立っていると、「そこ空いたよ」と声をかけてくれた小姐もいました。地下鉄に比べ、バスの乗客はなかなか親切だなあ。

 バス代は、普通1元から2元。1.5元なんて中途半端なのもあります。ワンマンバスだと乗車前にお金を払わないと乗せてくれませんが、たいていは車掌が同乗していて、発車と同時に料金を回収しにやってきます。払うと切符みたいなのをくれるのですが、別におりる時確認するわけでも何でもなく、ハッキリ言って無意味というか、効率悪いと思う・・。

 車掌はおばちゃんであることが多いのですが、まあ乗客をよく見ていること! ぼーっとしていてもしっかり請求しにきますもん。おっちゃんの車掌はなぜか結構どんくさくて、新しく乗った客をあまり把握していなかったりしますが・・。しかし満員時はかなりいい加減で、たぶん料金の回収率は悪いでしょうね。私も時々払うのを忘れて(わざとじゃないよ)、降りてから気がついたり・・。以前目撃したケースでは、おばちゃんが「アンタ! まだ払ってないでしょ、切符見せな!」と若いにーちゃんに向かって叫んでいましたが、当の本人はいけしゃあしゃあと「失くした」なんて答えてました。おばちゃんもそれ以上は追求できず、「次からは気をつけるよーにね!」と言うにとどめていましたが・・。

【時刻表は不必要かな】

 バスというのは地下鉄などと違って、道路状況に大きく左右される乗り物です。レッスンや待ち合わせでどこかに出かける時、時間が読めないのでホント困ります。バス停には一応始発と最終の時刻が書かれてあるのですが、その間の発車時刻の表示などはありません。自分の乗るバスが一体何時に来るのかわからないのが不安で(このあたり、いかにも日本人の考え方ですなー)、いちど始発駅の営業所に行って問い合わせた事があります。

 私「この系統の発車時刻表が欲しいんですがー」
 駅員「そこで待ってりゃすぐ発車するよ」
 私「いや、今日じゃなくて、今後の為に知りたいんですよ」
 駅員「知ってどーすんだ?時刻表なんてないよ。道路が混んでりゃ控えるし。だって混んでる時に出したって意味ないだろ?道路状況を見ながら調整してんだよ」

 ・・・ま、そういわれりゃそうだけど。その場はとりあえず「何時のあたりは約何分間隔で出している」ということだけ確認して引き揚げたのですが、どうも意識に差がありすぎ。いつ来るかわからないバスをただ待つだけで時間を浪費してられるかいっ。

 やっぱり、中国のバスは中国人の為の乗り物のようです。

(03.4.14)
 
○テレビがとっても面白い

  上海は春爛漫、緑の多い我が家の辺りでは次から次へと花が咲き、春の香りにつつまれています。このところ世間を騒がせているSARSですが、上海ではあまりマスクをしている人にはお目にかかりません。人込みはできるだけ避けているのですが・・一人暮らしだと何かあっても誰も助けてくれないので、人一倍注意して健康管理しなくてはね。

【不思議な放送時間と放送日】
  
  一人暮らしのいいところは、何といっても時間が自分の好きなように使える事です。寮にいた頃は、有難い事にルームメイトも朝型人間だったので、生活時間に関しては特に支障をきたしませんでしたが、やはり2人とも部屋にいる時は、CDを聴くにも電話ひとつかけるのにも、気兼ねして声をかけたりしたものでした。だもんで、引っ越ししてしばらくは自由なのが嬉しくて、物音たて放題、鼻歌歌い放題、独り言いい放題(アブナい人みたい)・・そして今までゆっくり見られなかったテレビを、一日中つけっぱなしであちこちチャンネルをまわして楽しんでいました。

 みていると色々な番組があって、なかなかに面白いものです。作る側の「見せる努力」みたいなのも感じられ、結構楽しめる番組が多くなっています。基本的には有線も入るので、チャンネル数も多く、安徽省や内蒙古の番組なんかも・・入るはずなのですが我が家のテレビはかなり旧式で12チャンネルしかなく、学校にいた時より選択肢が少なくて口惜しい思いをしています。戯劇(京劇とかね)専門チャンネルも映らないので哀しいよう。財経とか体育とか、私には必要ないチャンネルはあるのにさ。

 いつも不思議なのが、中国の番組の放映時間。7時11分とか34分とか、やたら中途半端な時間から始まるのが多く、しかも毎日微妙に変わるのです。一応毎週テレビガイドも発行されているのですが、あんまりアテになりません。日本だと、たいていきっちりした時間から始まるのが普通ですよね。視聴者も、それに合わせてチャンネルを変えますし。ところがこちらでは、昨日はこの時間だったからたぶん今日も・・と思ってテレビをつけても、もうとっくに始まっていたりと、このいい加減なところ・・すごく気持ち悪いんだけど。

 ドラマなんかも、毎週ではなく毎日連続で放映しています。新作ばかりを放映する日本と違い、ほとんどが以前に製作されたものの再放送なので、ものによっては1日4話分一挙放映、なんてのもあります。最初は「中国ってドラマ大国なんだな〜すごい沢山製作してんのね」なんて感心していました(笑)が、この半年の間に同じドラマを二回か三回見たのもありますねぇ。なーんだ。

【一時ハマった時代劇】

 特によく見ているのは、古装劇とよばれる、中国の時代劇。 一時期ハマっていたのが「鉄歯銅牙・紀暁嵐(続集)」。これは清朝の大学士、紀暁嵐が主人公のドラマで、ユーモアたっぷりの台詞と登場人物の性格付けがとっても面白くて、放映中はほとんど毎日欠かさずに観ていました。レッスン等で夜の放映に間に合わなくても必ず翌日昼の再放映を観るという、熱の入れよう。この番組、とても人気があったらしく、時間になると方々で主題歌が流れていて、「おっ、みんな観てるんだな」と思わずにやり。Y老師のお家でウィーンの新年コンサートを見せていただいている時も、娘の楽々ちゃんが「紀暁嵐観たい〜」と無理矢理チャンネルを変えてました。しかし9歳の娘に、この機智に富んだ、古詩や歴史的な比喩表現のセリフの応酬がわかるのか?と私は思ったのですが、きっとあちらはあちらで「外国人にこのやりとりが理解できるのか?」と思っていたんだろな、きっと。

 清朝ものはまだ時代が新しいのでマシですが、時々「なんじゃこりゃ!?」という古装劇にでくわすことも多々あります。ぶっ飛びそうな衣装やメイク、余りの荒唐無稽さにバカバカしくてついつい見入ってしまうことも・・。時代考証もめちゃくちゃだったりしますし、何より民族楽器を学ぶ我々からすると可笑しいのが、劇中楽器を奏で
るシーン。頼むから古筝のようにじゃらじゃらと派手に古琴を弾くのはやめてほしい(笑)。

 あと楽器の構えが前後逆だったり・・何で演技指導者も視聴者も指摘しないのかなぁ? 別に演奏にあわせた指使いをしろとまでは要求しないけど、自国の楽器はせめてそれらしく演じるべきでは。そーいや同学達と拙政園に遊びに行った時、一室にあった古箏の足の上に古琴が載っていたのを見て、一同大爆笑した覚えがあります。上記の「紀暁嵐」では、劇中乾隆帝と女性が古箏の「漁舟唱晩」を演奏するシーンがあって、原曲通りD調のミの弦から弾き始め、その後の動作もちゃんと音楽にあわせておりました。むむ、やるわね。


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【テレビは語学にいい勉強】

  中国語でやってる内容、わかってるのかって? むむっ、確かに問題はあります。特にニュースなんて、内容をちゃんと理解できているとは言いがたいです。しかし!! ここ中国では、大部分の番組にはちゃんと字幕が配されているのです。これは我々漢字文化圏の外国人にとっては非常に有難いシステムで、見れば大体の意味がわかるし、かつ中国語の勉強にもなります。物覚えの悪い私でさえ、頻繁に出てくる単語はさすがに覚えますし、耳で聞き分けられなくても、字幕を見て目で記憶していれば辞書で調べるのも容易です。だもんで、テレビの前には辞書を常備する習慣がつきました。テレビで覚えた言葉を、レッスンの時に実践する。・・うーん、理想的な学習方法じゃありませんか。

 ・・と書くと、まるでテレビばっかり見ていてちっとも練習しとらんじゃないかと思われそうですが、この字幕のお陰で、テレビを見ながらの練習も可能なのですよ〜ふふ。特に柳琴は老師から「手元を見るな! 顔を上げ胸を張って弾け!!」と厳しく言い渡されておりまして、また上手い具合にテレビが私の顔より少しだけ上の位置にあるので、 丁度良い姿勢で練習できるというわけです。ま、時々(時々か?)テレビに夢中になって手元がおろそかになることも無きにしもあらず・・。

 上海語の番組なんてのもありまして、標準語の字幕が出るので、上海語を習得するにはうってつけですね、これは。標準語もままならないのに上海語なんてわからんわー、と思っていましたが、字幕を見ながら耳を傾けていると、発音の変化の仕組みみたいなのが何となく理解できるような・・。Y老師の奥さん(確か江西の人です)曰く、「外国人からすれば上海語は別の国の言葉みたいだろうけど、中国人ならしばらく聞いていれば理解できるよ」・・そーいうもんらしいです。で、この上海語のお笑い番組、見ているとヨシモトを彷佛とさせる内容で、ギャグのノリとか、ちょっと人情ものが入っている所とか、アホらしさがそっくりで親しみを感じてしまう・・。

 観客参加のトーク番組にも関心があって、よく見ています。最近取り上げられたテーマでは、海外留学、DINKについて、また男女どちらが辛いか?等々、けっこう活発に意見が交わされており、上海市民の意識を垣間見る事ができ、なかなか興味深いです。中国人は積極的に意見を言うので、日本人よりしっかりして見えますね。これに慣れてしまうと、帰国した時に日本で逆カルチャーショックを感じる事もしばしば。

 というわけで、「最近随分中国語が上達したねー」と先生や同学から言われますが(いや、今までがひどすぎただけで今もあまり・・)、これはやはりテレビのお陰だと言えましょう。中国語を勉強されていてなかなか初級から抜けだせない方々、中国ドラマのVCDを御覧になっては? 楽しく、かつ効果的に学習できること、請け合いです。

(03.3.17)
 
○モモ邸大公開

  ここ上海も、何とはなしに春めいて来ました。季節の変わり目につきものの長雨が続き、ひと雨ごとに暖かくなっていきます。天気の良い日は、ベランダでお茶でも楽しみたいところですが・・防犯上そうもいかないなあ。先日、上海に遊びに来たMちゃんが、我が家に立ち寄った際に写真を撮ってくれましたので、改めてご紹介いたしま〜す。

【ちょっと広いのに慣れてしまいました】
  
  このところ日本からの友人が千客万来状態だった我が家、みなさん口々に「すごい広いねぇ〜」とおっしゃいます。確かに・・広いかも。ちょっと測ってみましたら、キッチンおよび練習部屋がそれぞれ6畳、寝室が10畳、トイレ・バスルームが3畳。お世辞にも綺麗とは言いがたいですが、一人で住むには贅沢すぎるほどの広さ。同じ団地の区画内でも色々仕様がありまして、我が家はどうみても大家族用。だってY老師のお家は三人家族なのに、うちの半分の広さですもん。何だか申し訳ないような・・。

 実はつい先日、呉強先生から「住んでいた学生が帰国して、部屋が空いた。どう?」と、学校から自転車で行き来可能な距離の部屋を紹介されました。便利な立地条件は魅力だったけど、何より部屋が狭い。半年前なら飛びついただろうけれど、ここの暮らしにすっかり慣れてしまった現在、引越の面倒さもあり、結局断ってしまいました。

 「住めば都」とはよくいったもので、ここは田舎だけどのんびりしていて、確かに空気も良いのです。部屋が南向きなので日当たりも良く(寝室はね)、目の前の並木にはたくさんの小鳥が遊びに来て、目も耳も楽しませてくれますし。まわりの環境も、近くに大きな市場はあるし、最近超大型スーパーもできたし、すぐ近くにコンビニもあるからちょっとした買い物もできるしと結構便利で、これで設備が綺麗なら、もう言う事ない・・いや、綺麗だったら月850元ではちょっと無理かも。この850元というのも、元々大家からは1000元と提示されていた金額を、Y老師が交渉してくださった結果なのです。

楽器倉庫と化した練習部屋 日当たり良好の寝室

ここが例の浸水した台所です

【Y老師にお世話に】

  ほんと、Y老師ご夫妻にはお世話になりっぱなしです。最初は右も左もわからない状態で、ことあるごとにお家まで押しかけて質問していました(だって電話では説明しきれないですもん)。たとえば水道やガス代。集合住宅では、毎月一回階段口に貼られた「水道 ○月○日まで」という紙に自分でメーターの数字を記入するのですが、家の中のメーターを見ると7桁あり、でも皆さん書いているのは3桁もしくは4桁。聞くと「あ、それはね、頭の4桁。最初がゼロだと3桁になるんだ」。・・わからんってば。しかもまごまごしているうちに、いつの間にか紙を持っていかれているし。「Y老師、記入しそこねたんですが、どどどうしましょう?」「大丈夫。翌月にまとめて書けばまとめて請求がくるから」ふーん、そういうものなのかぁ。こんな些細な事でも、聞ける人がいるのといないのとでは、安心感に大きな差がありますよね。

 ゴミは、団地内に集積場があり、扉には「開門時間」が書いてあるのですが、閉まっているのを見た事がない・・。日本と違って分別がありませんが、ペットボトルや段ボールなどの資源ゴミ(?)は、別の場所があって、専用の回収するひと・・というか、それで生活している人達がいて、たとえば水の空容器を渡すと、一個につき1角をくれます。・・っても、面倒なのでいつもタダで差し上げてますけど。

【近所付き合いもまた楽し】

 区画内はとても広く、たくさんの棟が立っており(小学校まで建っているんですよ)、正直いって一週間は自分の家に帰るのさえ迷ってました(笑)。最近はようやく北側の4つの出口までの道だけは把握して、行き先によって変えられるようになりましたが、それでもまだ南側は未開拓地域です。ここは日本の団地と違って、大きく棟の表示とかがされていないのです。階段口に赤ペンキの手描きで「27」とか番号が書いてあるんですよ。それもやけくそみたいな下手くそな字で。美意識ってもんがないのかい・・というか、わかれば何でもいいんでしょね。

 自転車については、Y老師から「結構泥棒が多い」と聞いていたので 、区画内にある月8元の専用駐輪場と契約しています。そこの老夫婦もいいひと達で、いつも出かける度に「いってらっしゃい」と明るく声をかけてくれます。契約時に番号札をもらうので、自転車を出しに行く時に入り口で札を渡し、帰って来た時に札を受取るシステムなのですが、ちゃんと番号を覚えてくれていて、自転車を置いて戻ると、何も言わないでも私の札が台の上に置いてあるという・・うーん、プロフェッショナル!!

 一度だけ、おばちゃんに「えーと、何番だったかね。しばらく来なかったから忘れたよ。ごめんね」と言われ・・いやそんな、謝らなくても・・。70才前後であろうと思われる、ちっちゃいダンナのほうも、私が空気入れを借りた時には「どきなさい。わしがやるよ」と代わってくれたり。・・そんな、ご老体にやらせてしまって・・私の方が若いしでかいし力あると思うんだけどなぁ。

 キレることも多いけれど、こうやって親切な人達に囲まれながら、留学生寮とはまた違った、苦しくも楽しくもある生活を送っています。

(03.2.26)
 ○中国の春節

  日本では、お正月といえば1月1日。中国でも、この日は日本と同じく「元旦」と呼びますが、中国人のお正月、といえば旧暦(農暦とよばれる)で祝うのが普通です。月齢を基準にしているので、毎年一定ではなく、今年は2/1がその日にあたります。去年は学校が休みになった途端に帰国したため体験できませんでしたが、今年は居残って、中国人と共に春節を祝っておりました。

【まずは爆竹と花火でお出迎え】
  
  「中国の新年ってどんなんですか?」と、好奇心まるだしな私を苦笑いしながら眺めつつ、ぽつぽつ語ってくれるY老師。「爆竹と花火がそりゃもう、うるさいの何のって、眠れんで困る」。・・Y老師は不眠症らしい。本来なら爆竹は禁止らしいのですが、我々の住んでいる辺りは中心部から離れている為、皆おかまいなく鳴らすのだそうな。楽しみ楽しみ。

 「そして、お正月は親戚中が集まって、卓を囲む。日本もそうだろ?昔、映画で見たよ」。んー、昔はそうだったけど、今は少なくなってますね、というと、中国もだんだんそういう傾向にあるとのこと。上海のような都会は特に。親戚同士の挨拶も、電話で済ませることも多いそうな。で、昔は家に集まって食事・・だったのが、最近はレストランで豪勢に、というのが流行っているらしく、有名レストランでは何ヶ月も前から年夜飯(大晦日の夜の食事)の予約で満杯だとか。このあたり、外食&派手好きの上海人らしいですね。

 1月も半ばを過ぎると、テレビでは新年が近づき賑わう街の様子を、ひっきりなしに放映しておりました。うーん、やっと師走がきたって感じ? 私も嬉しがってスーパーでビニール製ジャバラ提灯や赤いお札などのグッズを購入したり、部屋を気合い入れて綺麗に掃除したりと、お正月の準備万端。あとは新年を迎えるのみ。わくわく。

 私の家から自転車で2〜30分の所に、龍華寺というお寺がありまして、以前、テレビで元旦の様子を放映していて、この龍華寺も人がいっぱいで賑やかそう。よーし、この新年はこの龍華寺で迎えるぞ!! と、行く気まんまんで準備しておりました。・・・ところが大晦日当日は雨。自転車でいくのはちょっと危険。日本みたいに、地下鉄やバスが正月用に特別運行しているわけでなく、夜の11時まで雨の止むのを待ちましたが、結局やむなく中止。

 大晦日は、雨だというのに夕方の5時頃から爆竹と花火がひっきりなしに鳴っていました。8時を過ぎた頃からますますひどくなり、でもうるさいおかげでこちらも遠慮なく練習できるというもの。大晦日だからと「良宵」を弾いたりなんかして・・。9時、10時と時間が経つにつれ爆音はどんどん過激さを増し、煙のため道路が見えない ほど。うんうん、やっぱこうでなくちゃ。そして11時45分頃からピークに達し、下からだけでなく、上の階からも火花が散っています。おいおい、ベランダで花火あげないでよ、燃え移ったらどーすんだ?

 そして12時、年の明ける瞬間が過ぎ、歓声(わめき声?)と花火と爆竹がはじける中、ぶらりと外に出てみました。打ち上げ花火の辺りは見物人も結構居て、みなさん何となく楽しそう。これが晴れていたら、もっと盛り上がってただろうな。ひととおり団地内を散策し、煙と火薬の匂いにまみれながら帰宅。1時頃、外はようやく静かになりました。

上海では老舗(?)の寺、龍華寺
【龍華寺で初詣】

 新年第1日目。雨も止んだし、昨晩行けなかった龍華寺に行くことにしました。お寺近くの大型スーパー行きの送迎バスにちゃっかり乗り込んで、往復とも交通費タダ。しめしめ。(あ、もちろんちゃんとスーパーでお買い物しましたよ) お寺の前の広場では、皆が集まって色とりどりの旗のようなものの下で賑わっている様子。これは丁度七夕の短冊のようなもので、赤・青・黄の三色の細長い布に願いごとを書き、竹にくくりつけるのです。25元もしたけれど、布3枚とそれに記入する為のボールペン、プラス風船をくくりつけて空に飛ばすカードがセットになっていて、25元も払ったんだからと元を取る為(?)に所狭しと願いごとを書きまくった私もケチくさいですね・・。

 入場料10元(お線香ひと束がついてくるのでトクした気分)を払い、お寺に入りました。中は参拝客でごった返しています。境内では四方に向かってお辞儀をしながら、火のついた線香を振り回している人もいて、危ない危ない。中国でのお参りは、叩頭のごとく、膝を地面につけて深くお辞儀をするので、場所と時間を食うことこの上ない。だもんで、仏様の前にはずらりと行列ができています。やってられないので、後ろの方から日本式で済ませましたが、御利益うすいかな・・。

【越劇も見て満足】

 新年3日目。この日の晩、越劇「紅楼夢」を観に行きました。上海では毎年恒例の演目だそうで、「梁祝」と共に越劇団の十八番、やっぱり一度は観ておかなくっちゃ。例のごとく一番安い切符を買って、慣れたもので堂々と前の方の席へ。正直言ってこの「紅楼夢」、大体のストーリーは知っていても、ちゃんとまともに読んだことありません。根が単純なもので、どうもあの雅びなジメジメドロドロの世界が理解できなくて・・。原作はとても長いので、それをどうやってひと舞台にまとめるのかな?と興味がありましたが、訳のわかんない、消化不良の展開でした。うーむ。

 まあ内容はさておき、主演の銭恵麗、この人は日本でも舞台を観た経験がありますが、大地真央に似た正当派美人(男役だから美形というべき?)、艶のある歌声でとても華がありますね。越劇は紹興語を使っているそうで、京劇と違い、とてもやんわりした感じ。京劇が頭のてっぺんから声を出しているようなのに比べ、越劇は耳からというか、えらから声が出ているように思えるのですが、発声方法が違うのでしょうか?あと、舞台美術がとても美しかったですね。小道具だけでなく、ライティングや衣装、背景の色調が計算しつくされているようで、 どの場面も絵になっていました。Y老師曰く、「越劇団は金があるんだよ」。確かに、舞台終了後、ファンが花束を持って舞台前に押し寄せておりましたね。後ろの席のおじさんもずっと唱ってたし・・人気あるようです。

 新年5日目。・・4日目の晩から、やたら爆竹がうるさい。1日目よりひどくて、夜中3時頃まで続き、朝も5時半頃からけたたましい爆音が。何でまた今頃盛り上がるわけ?と思っていたら、この日は「初五」、財神をお迎えする日だったらしいのです。知っていたら私も爆竹鳴らして歓迎して差し上げたのに。今年も金には縁がないってことね。

 新年15日目、つまり年が明けて初めての満月の日は元宵節と呼ばれ、街のあちこちで灯籠が飾られます。豫園などではパレードなんかもおこなわれるようで、ちょうど今上海に二胡の短期研修に来られているN嬢と共に偵察に行くつもりだったのですが、楽器店やらあちこち寄っているうちに疲れて退却・・あいにくの雨だったし。この日 の晩は、元宵節にはつきものの湯圓(白玉だんごみたいなの)を食べ、またまた爆竹と花火の爆音を聞きながら、部屋でのんびりテレビ中継を見ていました。はは。

 とまあ、ひと通り中国の新年を体験でき、満足満足。昔は春節というと、商店がいっせいにお休みだったようですが、最近はスーパーも自由市場も年中無休。日本と同じで、ハレの日の意識も、やや薄れつつあるようです。私も今年は「にわか中国人」と化していたつもりでしたが、後日中国人の友達から「お正月、先生の家に挨拶に行った?」「・・・ほぇ?」「電話もしなかった?」「3日に電話して翌日のレッスンを決めたけど・・新年好だけじゃ足りなかった?」・・・友達に笑われちゃいました。なかなか中国人になりきるには程遠いようですねぇ。
 

(03.2.7)
  
○部屋のトラブル
 
 新年好!! 中国では旧正月で祝いますから、今年は2/1が新年です。春節を祝う中国人民の様子、少しだけ体験してきましたので、次回お届けしますね。

  それは、日本への一時帰国を翌日に控えたある日のこと。いつものように部屋の扉を閉め切って、練習に励んでいた私。部屋の中はとてもよく響くので(・・下手なのに上手くきこえる、学習の為には良くない部屋だ)、まわりの物音はほとんど聞こえません。・・なのに何だか厭な予感がする。何だろう?

【ちゃぷんときたら水漏れ】

  ちゃぷん。ざっぱーん。・・・ななな何!? 一体何がおこってるの!? あわてて扉を開けて台所を見ると・・。流しから汚水が溢れだし、台所の床にざばざば流れていくのでありました。あっという間にそこいら水浸し。有り難いことに、玄関の扉と床の間に少し隙間がある為、そこから外に向かって水が流れ出すので、浸水は台所のみでストップしていますが、それにしてもこりゃあ・・・。

 2日ほど前から、なんとなく排水の具合が悪いな、とは思っていましたが、まさか突然こんなことになるとは。じっと見ていても解決しないので、トイレから吸着棒(何というのでしょう?棒の先におわん型のゴムが付いている、日本のと同じクラシックなアレですよ)を持って来て、トイレで使用した物を台所へ!? →うぇー、汚い!! →でも背に腹はかえられない、ええままよ!! ・・としばし(いや、かなり)躊躇しながらも排水口をバコバコやっていましたが、全然効果なし。そうしている間も、上の階が水を流す度にまたまた水が溢れだし・・。

 ついにY老師にヘルプ電話をかけました。電話の前に、「えーと、溢れるって中国語では何ていうんだ?排水口・・詰まるってこれで良かったっけ・・ええっと」っと、辞書を引いて一生懸命言うことを整理しながら(笑)。まもなくY老師、手にくだんの吸着棒&排水管専用のワイヤーロープを持って登場。2人で協力しあって、リールを まわしながらロープを排水管に突っ込んで行きましたが、ちっとも効果のない様子。

 「こりゃ我々だけじゃ手に負えないね。出てくる前に、ここの団地の管理室に連絡して、排水管掃除に来てくれるよう頼んだんだが、"昼前だから行けない。1時頃行く" なんて言いやがった。まだ11時なのに。あいつら怠慢だ。まったく腹が立つ」・・すみませんね、老師。確かに中国人は、お昼時には何をさせようとしても絶対動きませんね。仕方ないので彼らの来るのをひたすら待ち続けていました。Y老師も一度家に戻られたのですが、すぐに電話がかかって来て、「彼らは12時半に来るそうだ。その時、またそっちに行くよ」ありがたや、老師。しつこく電話してくださったのかな。

【配水管掃除の人にイライラ】

  もちろん昼御飯を作れる状態ではないので、例のパン屋さんへお昼を買いに。例のおばさんに、実は今こんなこんなで、階下に御迷惑をおかけしてます、すみません、と先に謝っておきました。「仕方ないやね。2階は一番詰まりやすいんだ。管理室に頼んだのかい?外の業者に頼んだ方がちゃんとやってくれるよ。100元しないはずだよ」・・・その費用って、私が出すの!?とんでもない。

 ほぼ時間通りに管理室専任の排水管掃除の人達はやってきました。バケツで流しから水を汲み出し、でっかいワイヤーロープを突っ込み、また管のつなぎ目をはずして掃除しながら言うことには、「ちゃんと正しく使っているか? 野菜だとか大きいゴミを流しちゃだめじゃないか」・・・流してないってば。白菜の大きな破片をつまみ出し、「じゃ、これは何だ?」・・それは私が流したんじゃなくて、上階の人が流したやつだってば。

 そのうちに割り箸なんかも出て来て、「ほら見ろこれは?」・・私がそんなの流すように見えるっての!?前に住んでた人が流したんじゃないの!! 「ったく、こんな物まで流しやがるんだからな」・・・人の話聞いてないでしょ、おっちゃん!!! ちょっと、部屋の中で勝手にタバコ吸うの、やめてくれる!? でもって、吸い殻をそこら辺に捨てるの、やめてくれるッ!!?・・・非常に怒っているのにも関わらず、全く「聞いちゃいねえ」状態でありました。ったくもう。

 小一時間ほどかかって、彼ら曰く「上の階から通したから大丈夫なはず」で、なんとか収まりがつきました。でもその間、通行人がのぞきに来ること山ほど・・。そして家の中だけでなく、一階までびしょぬれになった廊下やら階段を、住人達の冷たい視線をあびつつ、箒で何度も水を掃き出さなくてはなりませんでした。ああ、疲れた。

【やっぱり同じ問題が発生】

  大変な一日だったけど、これが一日遅く、帰国している間に起こっていたら・・と思うとぞっとします。うちの大切な楽器類が、知らぬ間に水浸しになっていたら、泣くに泣けませんものね。ほんと、助かった。・・・なーんて天に感謝していたのですが、これには後日談がありまして・・・。

 一時帰国が終わり上海に戻って来て、扉を開けると、何だか部屋の様子がおかしい。台所の物の位置が違う。ん、これは、と思いさっそくY老師に電話してみると、2、3日前にやっぱり同じ事が起こったようで、結局Y老師と家主とで解決したそうです。じゃあ、あの排水管掃除の人達は、ほとんど役に立たなかったという訳?

 後に、Y老師に聞いてみました。「何年かに一度、こういった共用部分の補修とか掃除とかはないんですか?日本の集合住宅では必ずありますよ」「うーん、中国ではそういうのはないね。問題が起きたら、それは起きてから解決する」・・・これだ、これですよ。「問題が "起きてから" 解決する」、つまり、「問題が起きる迄は誰も何もしない」。これが、中国の抱える、一番大きな問題だと思うのです。

 日本の場合、特に企業では「問題は未然に防ぐ、起きてからでは遅い」というのが大前提ですよね。問題が起きてから対策を考える、というのは最悪の対処法であるはず。私もサラリーマン生活が長かったもので、そういう考えが自然と身についています。(TQCが盛んな会社だったもんで・・) だからこそ、日本の製品は世界に認められたのだと思います(・・にわか愛国主義者?)。もちろん「郷に入れば郷に従え」、自国の習慣で物事を云々するのはあまり褒められた行為ではない、というのはわかっています。けれど、中国で起きるトラブルは、大なり小なり殆どがこの手の問題のような気がするのです。

【解決方法もお国柄?】

 以前、練習室についてのトラブルをご紹介しました。その時も、事務所の先生の決まり文句は「問題が起きたら言いに来い」でした。練習室の時間の問題で、この状況からいくと必ず問題が発生するのがわかっているから前もって提議しているのに、誰も取り合おうとしないのです。そのくせ、お上からの圧力には呆れるほど低姿勢で、党幹部の学院視察があるというと、即ペンキを塗ったり芝生なんて植えたりして表面だけ取り繕っている感じ。学校の改修費用はきっと我々留学生の、ばか高い学費から捻出してるだろうに、何で留学生はその恩恵を受けられないんだ?とよく陰口をたたいていたものです。

 これはやはり共産主義国ならではの問題なのでしょうか?文化大革命をへて、個人の自由な思想が制限された時代、お上のすることに唯々諾々と従うのが賢明な処世術だったからでしょうか?誰も問題提起をしない、上から与えられた仕事のみをこなすだけで、それ以上の事は絶対にやらない。確かに、中国人は二言目には必ず「私は知らない、これは私の責任ではない」と言い、自分の責任ではないことを、あらゆる手段を使って証明しようとします。しかも「じゃあ誰が責任をとるんだ?」といっても、絶対にその問題には触れないのです。さらに追求しようとすると、「これこれこうすればどうだ」と、その場しのぎでしかない提案をされ、原因究明および根本的解決を避けようとするばかり。

 中国の製品が壊れやすい、というのは周知の事実。中国では、物が壊れるのは「仕方ない」ことなのです。最初からメーカーに期待していないし、壊れたら壊れたで、消費者側が修理したり何とか調整したりして、どうにか使う。以前、家主に水漏れで文句を言った時も、「水が漏れて勿体無いんだったら、下にバケツを用意して、トイレや洗濯に使えばいいじゃないか」と、ちっとも根本的解決になってない助言をいただいた上、「なんで頭を使って工夫しないんだ」と逆にバカにされたような。どうも論点がずれている・・。

 「文化の違い」と言ってしまえばそれまでですが、これだけ大きな国が、しかも上海ほどの大都市の市民の意識がこれじゃあイカンのじゃない?・・・と、別に頼まれもしないのに中国の将来を憂えるのでありました。・・・何だか今回、ずいぶん熱く語ってしまいましたねぇ。それだけうっぷんが溜まっているってことかな。
 

(03.1.31)
  
○ご近所さんたち

 今年は特別お寒うございます。上海も最低-5℃まで下がったらしく、さすがの私も部屋で凍えています。Y老師が貸して下さったオイルヒーターをつけたり、手持ちのミニ温風機をつけたりしていたら、先月の電気代が何といつもの3倍以上。しかし暖かくしないと、柳琴の♪=360の十六分音符のくだりなんて練習できないし。ううジレンマ。・・・部屋よりさらに寒い、私のふところ具合・・・。 日本の皆さんも、風邪に気をつけてお過ごし下さいね。

【お隣さんから苦情が】
  
 中国人の朝は、早い。さわやかな朝の光と共に小鳥の声で目覚め・・られれば理想なのですが、現実は・・にぎやかな中国人の話し声で、いやでも目がさめてしまうのでありました。私の家は2階にあり、しかも裏手が比較的大きな道なので人通りも多く、話している内容までよく聞こえます。ま、ほとんどが上海語なので聞いてもわかりませんけどね。

 新しい家に移るにあたって、友人(中国人)から「あんまり近所の人と付き合わない方がいいよ。あなたが外国人だとわかると、この辺りでは噂もすぐ広まるし、どんな危険な目に遭うかわからない。幸い見た目は中国人だし、喋らなければそれとわからないから、用心して暮らすんだよ」と、忠告を受けていました。

 中国の家は壁が薄い上、窓も密閉性が低い為(その証拠に、風が吹けばカーテン揺れてますもん)、隣近所の物音が筒抜けです。うちの家は広いのでまだマシですが、友人の家なんて、隣の電話がまるで自分の家の電話のように鳴り響くという・・。こんな状況で、ほんとに楽器の練習していいのでしょうか?と、最初Y老師に尋ねると、「大丈夫。うちでもずっと二胡を弾いてるが、誰も文句いわないよ。中国人は気にしないよ」とのこと。しかし、やはりここでも問題は発生したのでありました。

 その日、予定がないので一日練習だ!! っと、朝から柳琴、昼から二胡を練習していました。ノリにノってばんばん練習曲を弾いていると、何とな〜く外が騒がしい。扉を激しく叩く音でしたが、自分にお客の来るはずもなし、きっとまた他の家の音が聞こえてるだけだろう、と思っていましたが鳴りやまず、弾く手を止めて聞くと、どうも私を呼んでいるような。扉を開けると、眉間にしわを寄せて立つオバねーちゃんの姿が。

 この方、うちのお隣さんで、「うるさいからやめてちょうだい」と苦情を言いに来たらしい。聞くと、彼女は夜番の仕事をしていて、昼間ぐっすり眠っているところに私がうるさくするもんだから寝られないんだそうな。んー、でも悪いけど、貴女の都合の良い時間帯は皆さん眠っておられるのよね。私も勉強の為に中国まで来ているんだから練習できなければ意味ないし、家主にも了解を得てるんだけど、と謝りつつもしっかり主張。結局、練習部屋の扉を全部閉め切って練習することで折り合いました。しかし留学生寮の時といい、どうして私ってお隣に恵まれないんだろ・・くっすん。
 

アパートに住んで練習するにはいろいろ苦労が

【ご近所さんに愛想も・・】

  この時点で、私が外国人なのがバレバレ。しかもお隣さんと、友好的とはお世辞にも言えない関係を作ってしまったし。これでご近所に「あまり愛想の良くない外国人」という評判が瞬時に広まるのだろーな、とため息をつきながら、その日だけはやや遠慮がちに、しかし負けずにしつこく練習を続ける私なのでした。

 某日、住宅区のまわりにあるパン屋さんへ。ここのは特別おいしい、というわけではありませんが、夕方の4時以降の2.5割引が魅力なのと、すぐ近くなのでとても便利な為、でもって少し油っぽいけど干葡萄がこれでもかとたっぷり入ったレーズントーストが目当てで、ちょくちょく利用しています。いつものようにレーズントーストを片手にレジに向かうと、レジのおばさんから突然声を掛けられました。「あんた、2階に新しく越して来た子だね? 二胡勉強してんだろ? いつもよく聞こえてくるよ。私はあんたの部屋の下に住んでるんだ」

 ・・げげっ。それはどうも、いつもうるさくしてごめんなさい、と謝ると「謝らなくていいよ。わざわざ外国から勉強しにやってきてるんだしね。大したもんだよ。ところで二胡以外に聞こえてくるのは、あれ揚琴かい?」・・・いや、柳琴です、しかも本当の専攻はこっちの方で・・といってもそこはマイナーな楽器の哀しさ、柳琴がわかってもらえず、説明する時に「小琵琶」と形容しなければならない時の、この屈辱感。うう。そーいや中阮も知名度が低くて、いつも「月琴の棹の長いやつ」と説明しなくてはならないのです。発音も間違えて読まれるしさ。ぷんぷん。

 ・・ちょっと横道にそれてしまいましたが(笑)、その後パン屋の職人さんたちを交えて、ひとしきり交流(?単なるお喋りですが)を行なってまいりました。これであのおばさんからは「あの日本人は悪い娘じゃないよ」という評判を広めてもらえるはず。・・たぶん。

 中国では、昔の日本がそうであったように、ご近所どうしの付き合いが結構密なようです。天気の良い日には外に椅子を出して、お茶をのんだり編み物をしたりするおばさん達や、将棋を打つおじさん達など、あちこちで人の輪を見かけます。この人達、仕事は? と時々お節介にも考えてしまうのですが・・。

 あと、朝の小鳥クラブ(と勝手に名付けている)。これは小鳥自慢の人達がそれぞれ自分のを持ち寄り、広場の木に籠を掛けて鳴かせているのですが、これは中国ならではの風景ですよね。鳥籠がまた中国ちっくな風流なやつで、それにかぶせる被いの布にも刺繍がしてあって、見るたび欲しくなります。で、鳥籠の下はおじさん達の社交場となっていて、鳥の自慢をしてるんだかただの世間話をしているんだか、これまた上海語なのでよくわかりませんが楽しそう。

 引越してきた当初は、「外国人地区と違って、中国人が普通に住んでいる所で暮らすんだから」と、とても緊張して、「敵地に独り」状態で身構えてさえいました。最近ではすっかり慣れて、かなり自然体で暮らせるようにな・・ったかな? 中国人と同じ暮らしも、悪いもんじゃないね。・・なんて思い始めたそんなある日、突然その悲喜劇は起こったのでありました。くわしくは次回。
 

(02.12.20)
  
○寮を離れて

【狭いながらも楽しい(?)我が家】

 あまりに時間が経ち過ぎて、なんだか新鑑真号にのって上海に到着したのが遠い昔のように感じられるこの頃です・・・。

 実を言いますと、今期から留学生寮を離れ、外に部屋を借りて一人暮らしをしております。第一の理由は、練習時間確保の為。以前にも述べたように、学校の練習室は使える時間が限られており、だからといって寮の一人部屋をキープするには、ものすごくお金がかかります。外に住めば、金銭的にも、時間的にも、精神的にも余裕ができると考えたからです。

 実際、留学生寮の一ヶ月の部屋代は1,000元ちょっと。一人部屋をキープするとなると2,000元もします。あんなに狭くて綺麗とはいえない場所でこの値段はちと辛い。とはいえ、かなり都会に立地している音楽院の近くだと、やはり安くても1,500元前後するようです。それに自分一人でいろいろ交渉するには、言葉の問題もあり・・。

 で、最終的に、みんなから口々に「何でそんなに遠くに!?」と言われる程、音楽院から遠く離れた場所に決定しました。これには「ある人物」のお力添えがあった為、その方の近所に住む方が何かと便利だろう、という理由からです。今もって、この選択が正しかったとしみじみ思いますが、この方についてはまたおいおい御紹介したいと思います。

 確かに音楽院からは遠く離れた場所にあります。街の中心からもすこし離れていて、学校までだいたい1時間といったところ(今では慣れて最短40分ですが)。最近開発された住宅地区で、私の家はいわゆる団地の一室です。ふた部屋プラス広い台所、お風呂・トイレ・電話・テレビ・冷蔵庫および家具つき。これで一ヶ月850元ならまあまあ、です。難を言えばクーラーも電灯もすごい音がするし、設備はとても古いし、部屋はすごく汚いし。だけど荷物の関係で、夏休みの前に決めて引っ越ししてしまう必要があったので、迷いつつも契約することにしました。

【トラブルが続出】

 休みが終わって、新鑑真号で上海に戻った第1日目。もう、一日中掃除しまくりました。何だかどこを触るのも汚い感じがして。実は引越後、あちこちからゴキさんがお出ましになられて、顔をひきつらせながら御挨拶代わりに殺虫スプレーを振りかけていたのでした。学校のゴキさんは小さなチャバネ系でしたが、ここのは日本のと同じクロゴキ系ででかい!! そういうのがわがモノ顔で家中闊歩していたのかと思うと、どこもかしこも掃除せずにはいられない・・。

 1日目の夜。暑いし、一日中掃除していたし、もうよれよれで汗だく状態。早めにシャワー浴びて寝ようっと。・・・と、湯沸かし器が何度やっても点火しないではないの。そ、そんなぁ〜。いくら夏でも、水はちょっと・・。仕方なく鍋(しかも小さいのしかない)にお湯を何度も何度も沸かして行水しましたよ。情けないったらありゃしない。しかもその状態は4日ほど続いたのであった・・。家主のおっさん、何度も電話してるのに来ないし。外国人だからってナメてるでしょあんた。そうこうしているうち、ある日突然点火できるようになったので、この悲惨な状況からようやく脱出できたのですけれどね。

 この家と私とはどうも相性が悪いらしく、ここに来てからどうもモノが壊れやすい気がします。湯沸かし器にはじまって、今までに洗濯機・炊飯器・シャワーホース・水道の蛇口と、ほぼ毎週、マンガみたいに次から次へと壊れていきます。ま、私のせいというよりは中国の製品だからでしょうが・・。
 
 まず洗濯機。これは中古の2槽式のを150元で購入しましたが、大きさの割に馬力が小さくて、バスタオルとジーパンを一緒に洗うとモーターが回らないというシロモノ。洗濯機に給水する為のビニールホース(3元)も、一回使っただけで途中から折れてしまう始末。で、洗濯機本体も、3回程使用した後、脱水時バチバチッと大きな音がして、以降コンセントを抜き差しするだけで底面から火花が・・。こわいよー。これは結局友人が修理しに来てくれたので解決。裏面の配線が露出していて、そこに水がかかる度ショートして火花が散っていた様です。

【面倒なことはあるけれど、それはそれで楽しいんですね】

 お次は炊飯器。私が選んだのは、フタが密閉式ではなく、なべ蓋のようなガラスの蓋で、しかも部品を足すと蒸し器にもなるという、日本にはないタイプのものです。これだとお米が炊ける様子がはっきりわかり、面白いので買ってみた(しかも絵柄はにせスヌーピー)のですが、使ってびっくり。熱された水がふきこぼれて、みるみるうちに炊飯器の周囲はびしょびしょ。げげー。ま、これは私の水加減も悪かったのですが、買った時に米の計量カップもついていないし、説明書にも水加減など使い方には一切触れていないのです。みんなどうやって使っているんでしょね?

 その炊飯器も、数回使っただけで壊れてしまい、購入したスーパーで交換してもらいました。
私 「次壊れたら、差額出してもいいから別のメーカーのに換えてよ」
店員「それはできない。でもここのメーカーのは品質がいいはずだ。今回はたまたまだ」
・・でも現にすぐ壊れてんじゃないのさ。

 あとはシャワーホースが根元からぽっきり折れてしまったのと、台所・洗濯機の給水・シャワーの3ケ所の蛇口の頭(栓?)が次々ときっちりしまらなくなり、ずっとポタポタ水が漏れるので家主に再び文句を言ったところ、今度はついに修理にやって来ました。家主曰く、「いままで何人もの、それも家族が住んでいたのにこんなことは起こらなかった。なのに女性のあんたが、しかも一人で住んでいるのに、何で急にこんなことになるんだ。よっぽどバカ力なのか、運が悪いんだな」これにはムカッ。

 すぐ壊れるような物を作るあんたらが悪いんだろ、とさすがに私も反論しました。でもって、その修理のやり方も適当で、修理っていうから栓ごと取り替えてくれるのかと思ったら、せいぜいパッキングを取り替えて、ゆるんだ所には防水テープを巻く程度。あと蛇口ごと取り外したはいいけど、レンチでがんがん叩いて変型させていたのにはまいった・・なんて乱暴な。なおかつ何とその場しのぎなやり方なことか。

 寮に住んでいた頃と違って、外に住むとなると、こういった小さいけれど面倒な事がたくさん発生します。けれど、例えば食事なんかも、作るのは面倒ではあるけれど、それはそれで楽しいものです。一日中いつでも練習できるし、以前のようにルームメイトに気を使う必要もないし、とても自由な毎日です。反面、自由すぎて時々自分を律しないと、どんどんルーズになってしまいがち。ま、寮住まいにしろ、独り住まいにしろ、結局必要なのは自立心と計画性、なのですね。
 

(02.6.21)
  
○再び食生活のこと

  あと、音楽学院のお向かいにある専修学校の食堂にも時々行きます。中で食べることができますが、たいていはお弁当を持ち帰り、部屋でゆっくり食べています。肉類1品、野菜類3品が自由に選べ、ごはんとセットで4元。肉2品だと5元。まあまあボリュームもあり何より野菜がたくさん食べられるのがうれしい。量が多いときは次の食事に持ち越して、「今日は1食2元ですんだ」と得した気分にもなったり。

 難をいえばここも学生食堂と同じで、11時半・5時半を過ぎると料理がほとんど残っていない・・。ここで菜を選ぶときは、「あれとこれ」と言って取り分けてもらうのですが、担当の人によって量が多かったり少なかったりバラツキがあって、少ないねーちゃんにあたると、ちょっとしか入れてくれなくてがっかりします。しかしさいきんはまけずに「少なすぎるからもっと多くしろ」なんて言ってますが・・。厚かましくなったもんだね私も(笑)。

 ほかには・・、うーん少し前近くに開店したワンタン屋かな。上海には数種類のワンタンチェーン店があって、なぜかどれもよく似た黄色い看板なのですが、どの店もみな美味しい。だいたい5元程度で巨大なお椀に巨大なワンタンが10個、スープの上にはこんもりと香菜が(←嫌いな人は嫌いですね〜。でもまえもって「要らん」と言っておけばその通りにしてくれます)。冬の間はあったまるし、お腹もいっぱいになるしで、足しげく通っていました。

 しかし困ったことが一つ。ある店では注文した際に番号を書いた整理券を渡してくれるので、「おっ、なかなか合理的なシステムを導入したな」と思っていたら、出来上がって運ぶときにはなぜか番号ではなく料理名で「双桝N肉ワンタンを注文した人〜!!」なんて叫んでいたりします。番号券配っている意味、ないよそれじゃあ。おかげでその店では発音のわからない料理は注文できないのだ・・だって叫ばれてもわかりませんもん。


なかなかこんな料理は食べられませんが
 
【日本料理店のランチでやや幸せ】

 学校近くの水餃子の店にも、同学に連れられて時々行ってました。水餃子って北方の食べ物なのかな?上海ではあまり見かけません。油っこい食事に嫌気がさした時、お腹にもやさしくてのどごしも良くて、丁度いいんだけどな。

 以前この餃子店に行く途中、ばったり呉強老師に出会ったことがあります。どこに行くのかと聞かれ、あそこの餃子を食べに行くのだと答えると、眉をひそめ「あんまり衛生状態が良くないから、自分の容器を持っていって、そこに入れてもらいなさい」と言われてしまいました。んー、そうなの?上海人にそんなことを言われるとは。幸いなことに、上海に来てから一度もお腹をこわした経験はありません。でもこれからどんどん暑くなるから気をつけなくちゃ。

 そして特筆すべき(?)日本料理店。ここでは平日の昼、18元のサービスランチというのがあって、ボリュームたっぷりの内容なのです。日替わりで、丼物や魚や洋モノのメインに、サラダに味噌汁に小鉢に茶碗蒸し、漬物にフルーツ、そして食後にはコーヒーまでついちゃうという豪華版。食べ終わった後は苦しくて身動きできないほど。これで18元は安い。けれどわれわれビンボー人には毎日通えないお値段なので、すごく嫌なことがあったりとか、逆に特別な日に自分へのごほうび(?)のつもりで、ひとときの幸福(んな大げさな)にひたったりしています。

 とまあ、なかなかつつましいというかセコいというか、こんな食生活を送っているんですよ。これもすべて、本やらCDやらの資料類、コンサートチケット代などの費用を捻出するためなのです。ビンボー人はつらいのよん。

(02.6.17)
  
○上音の留学生食堂

【留学生食堂もリニューアル】
  
  外食だと毎日何を食べればいいのか本当に迷います。天候の良くない日は、外に出るのさえおっくうだし。

 安くてまあまあの味で、そこそこ量もあってとなると店も限られてきますし、だんだんとワンパターンなメニューにも飽きてきますよ、実際。皆「どこに食べに行こうか考えるのも面倒くさい〜」と叫ぶ毎日です。

 で、そんな私たちがどんな所に食事に行っているのかというと・・。

 まず留学生食堂。上海にきた当初からここはちょくちょく利用していましたが、ほとんどお客さんがいなくて、薄暗くて不気味な感じ。しかも給仕がなくて、注文は厨房まで自分で行かなければいけない上、こともあろうにメニューがない!!こんな食堂見たことないよ(笑)。やる気、まったくないんですねえ。でもまあ寮のお向かいで便利なので、ついつい通ってしまう。

 メニューがないので最初麺ばかり注文していました。慣れてくると厨房で野菜なんかの材料を指さし、その場で作ってもらったり。同学なんかはケチャップ持参でトマトチャーハンを作ってもらったりしていたようです。値段も調理人が適当に決めるといった、、非常にアバウトなシステムでした。なんか不思議でしょ。

 それが前学期の終わりごろ、この留学生食堂もリニューアルオープンしまして、とってもうつくしく(前に比べればね)変身。しかもウエイトレス(?)のチーフらしき女の子がすごくマメでまじめな人で、いろいろ気をきかせてくれたりとサービス満点なのです。もちろんちゃんとメニューはあるし、値段も以前とほとんど変わらずお手ごろ価格なので、今では留学生だけでなく、あちこちから客がやってきて、お昼時などはほぼ満席になるという大繁盛ぶり。

 同学たちとちょっと数人で一緒に食事、なんて際にはとても便利。ひとりでもセット(10元)だとか麺類(5元〜8元)だとか気軽に注文できます。私もよく行くので小姐達に覚えられていて、「青菜肉絲面?青菜多一点?」と私が注文する前に笑顔で先に声をかけられます。その言葉通りに、注文票に「青菜多めに」とちゃんと記入してくれるのですよ。

 


リニューアルした留学生食堂
 
【閉まる時間が早いのが困る】

 一般の学生食堂もあります。留学生食堂も中国人食堂も別に規定があるわけではなく、誰でも出入り自由です。留学生食堂に比べ学生食堂は値段が若干安め。ボリュームもたっぷり。しかし人が多すぎて少しタイミングが遅れると長蛇の列ができ、はじき飛ばされるようになります。

 その上、閉まる時間があまりにも早い!昼は1時、夜は6時になると「もう終わるんだけど〜」とせっつかれます。これも中国人の生活時間に慣れていないと、とまどう事柄の一つではありますね。普通彼らは昼は11時から、夜は5時からが食事タイムであり、日本人とは1〜2時間の差があります。

 みなさんも夕食ってせいぜい6時半からでしょ?5時なんかに食べたらお腹がすいて、寝る前につまんでしまいますよね(実際これを書いている最中もキュルキュルなく腹の虫をなだめるのに一苦労)。

 この学生食堂も今学期初めに改装され、さながらファーストフード店のような明るい内装に。値段表示もわかりやすい。しかも支払いはプリペイドカード方式。例えば最初にカードを作るのに100元払うと、その内28元はカード作成代、残り72元分食事ができ、以降お金を払えばカードに追加してもらえる仕組み。でも作成代28元って結構高いような気がして、いまだにカードを作っていないのです。すでに現金は使えないようになってしまって、以前のようにふらっと立ち寄ることもかなわなくなってしまいました。んー、私にとっては逆に不便なシステムなんですよね・・。

(02.5.30)
  
○食生活のこと

【最初はちょっと高めの食事生活】
  
   中国人にとって食事は命の次に大切(いや、上海人は金のほうが大切かも)なこと。何たって日常の挨拶からして「吃飯了馬(ごはん食べた)?」ですもんね。もちろん私にとっても三度のメシは生活における最重要事項であります。寝るのはどこでだって眠れるけれど、食事が満足に取れないと支障をきたすじゃありませんか。

 留学前食事に関しては少し心配でした。私自身好き嫌いはほとんどないほうで、舌も肥えたほうではないので何でもOKなのですが、さすがにもう若くはないので、毎日油っこいのや肉ばかりの食事は勘弁こうむりたい。だからといって日本からインスタント食品を持っていくのも大げさだし、栄養が偏りそう。

 そりゃあお金を出せばバランスの取れた豪華な食事も可能でしょうが、ビンボーな私にとっては夢のまた夢。脳裏によぎるのは、メシ屋に入る勇気がなくて、毎日泣きながらパンをかじり、ラーメンをすする己の姿ばかり・・。
 寮にはキッチンがあって自炊できるというのは以前聞いていたので、まあどうにでもなるだろう、と面倒とあきらめの入り混じった気持ちで、結局ほとんど何も持たずじまいで上海にやってきました。

 来た当初は物価だとかぜんぜんわからなくて、毎日10〜15元くらいは払って食事をしていて、こんなんもんかな〜と思っていました。というのも音楽学院は繁華街の近くに位置していて、そのためかえって付近に安い手ごろな食堂があまりないのです。毎日いろんなところに入ってみて、また同学達と情報交換したりしながら、少しづつ慣れていきました。

【自由市場で野菜を補給】

 言葉の問題?いまだにありますよ〜。でも食い意地張っているのが幸いしてか、何とはなしにどうにかなっています。それに店内にはメニューがあったり壁に表示していたりで、料理の内容はわからなくとも注文は可能ですし。何より安いものしか食べないから注文できるものも限られています。だからいまだにメニューを見ても、いったいどれがどんな料理なのか見当もつかない(笑)。

 今では1食に5元以上かけるなんてとんでもない!このあたりの相場としては、外で食べると麺とかワンタンとかだいたい4〜5元。聞くところによると他の都市に比べ、上海は若干物価が高いようです。時々は0.5元の包子やニラ餅なんかを2〜3個買って、1.5元で済ますこともあります。

 幸いにして音楽学院の近くには大きな自由市場があるので、野菜や果物などいろんなものが手に入ります。外食続きでちょっと野菜が不足している、かと思えば補給もできますし。

 市場では各種野菜・果物がそろっていて見ているだけで楽しいです。どうやって食べるのかわからないものも時々ありますが・・。果物はともかく野菜は値段が安いので、調味料や調理器具がそろっていれば何でも作れそうです。でも私のところにあるのは機内食の塩コショウとか、前年の先輩が残していったボコボコの小さな片手なべひとつのみ。


自由市場ではあらゆる材料が手に入る
 
【あれれ、キッチンがなくなった】

 調味料など新しく買い揃えるにも、例えばしょう油一つにしても大きすぎるし結構高いしで買う気にもなれず、でもあるものだけで時々ですが自炊していました。ナベ1コでも煮物、炒め物なんでも作れますが、問題はおかずとご飯が同時に作れないこと。当然カレーライスなんて絶対ムリ。ならば、と冬休み帰国の際にしょう油やダシ、ケチャップなどいろいろ持参して、今後はいろんな料理に挑戦するぞ!と決意。

 そして今期、寮に帰ったらなんと!肝心のキッチンがなくなっているではありませんか。消防上危険だからという理由らしいのですが、事前にわれわれに相談があったわけでもなし、これには学生一同困惑。あんまりですよね。そして私の和風煮物にオムライスの夢もはかなく消えてしまったのでありました。

 しかし他のみんなはそれでもめげずに、おのおの電熱器などを購入して、相変わらず自分達で食事を作っています。そして今日も5時を過ぎるとおいしそうな匂いが寮内にたちこめ、つられて私も空腹を感じフラフラと外へ食事に出かけるのでした。さあ、今日は何を食べよっかなあっと。

(02.4.19)
  
○自転車に乗って
  
 上海に戻ってすぐはまだまだ肌寒い気候だったのに、数日たつと突然暖かくなって、人によっては日中半そでで過ごす人もいるほど。この陽気に誘われ用事がなくてもついフラフラと外に出てしまいたくなります。

 去年秋に自転車を購入してからというもの、できるだけ地下鉄やバスを使わずに2本の足でタイヤをこいで走り回っています。歩くのも好きですが、重い荷物を持って動き回ると肩や腕がやられて楽器の練習に支障をきたしますし(な〜んてね)。

 資料収集のため月に何度かは書店やCDショップに出かけることにしています。上海は民族音楽関係の資料が余り豊富であるとはいえず、扱っている店の数も限られています。しかし時々のぞいてみると新しい楽譜やCDが知らぬ間に並んでいて、また知らぬ間に消えていることもあり、その中にひょっこり面白いモノを発見することも多々あるので、2週間に1度くらいの割合でチェックするように心がけています。
 
 でもなんといっても楽しいのは、目的地に着くまでの間の街の風景です。ところどころに老房子といって昔に建てられた家が並んでおり、昔の風情を残しつつも隣には近代的なマンションが建っているとか、家の前で将棋や麻雀をする人と、それを取り囲んで一緒に盛り上がっているおじさん連中とか。これといって何かあるわけでもないのですが、生活の場って見ていて飽きないです。この人たちってどういう人生を歩んできたのかな、なんて想像するのもまた楽しいし。ですから毎回少しずつ道を変えて、増えゆく新しい発見にわくわくする毎日です。
 


上海市内のあちこちにある道路標識

【交差点の標識は便利】

   もともと方向音痴である私が、こんな風にうろうろしていても余り迷うことはありません。というのは中国(大都市だけかもしれませんが)には道路すべてに名称がついていて、小さな交差点には必ず標識が立てられているからです。しかも東西南北まで表記されている。!この標識のおかげで私も安心して街を歩けるわけです。日本にもこんなのがあればいいんですけどね。

 中国では基本的に自転車は車道を走ります。大通りに出ると時々「自転車禁止標識」(?)がたっているのが見受けられます。最初私はこれを「駐輪禁止」のことと思い、いつものように車道を走っていると、公安(警察)に呼び止められてしまいました。どうやらこの標識が立っている道路では、車道を走るのはおろか、歩道でも自転車から降りて歩かなければいけないらしい(語学力不足のため詳細不明)。他にも自転車専用信号があったりと、これも中国ならではですね。

 そうそう、先日冷蔵庫を自転車で運んでいる人を発見。しかも結構でかいやつ。後ろの荷台に載せているのではなく、自転車の右側にくくりつけ(?)ているようです。どうやってバランスとっているんでしょうね?軽快に駆け抜けていく後姿を見送りながら、心の中で拍手を送っていた私でした。恐るべし中国人の底力。

 とまあ楽しくサイクリング・ライフを送っていますが、実をいうと少し怖くもあります。というのも今の中国は車優先社会で、上海は特に(おそらく中国一)運転が荒いので有名だからです。青信号で、普通なら人が渡りきってから右折、左折の車が進むべきなのに、ここ上海では逆です。しかも人が渡っている最中に減速もせず突っ込んでくるという。私自身も何度かひやっとした経験があります。赤でも青でも、皆で渡ってもやっぱり怖いよ上海の車。上海に旅行される際は気をつけてくださいね。

(01.12.25)

○旅行保険のこと

【病気になったらどうしよう】

  留学するにあたりどうしようかと非常に迷ったあげく、結局入らないままでいるのが海外旅行保険です。他の留学生の方々ってどうしているんでしょうね。

 私が入らなかったのは何より保険の契約料が非常に高額なのが一番の理由です。3ヶ月くらいの短期ならともかく、1年間だと契約料がかなり高くて10万円近くするのもあり、ちょっと躊躇しますね。体力にはあまり自信のない私ですが、かといって歯医者以外の病院にここ数年来お世話になっていませんし、事故にでも遭わない限り少しくらいのことなら辛抱できるだろう、なんて思っていました。

【同学が旅行保険で大助かり】

 が、しかし。先日日本人同学が倒れ、夜遅くに救急病院に運ばれるというアクシデントがあってからは、少し考えが変わりました。幸いにして彼女が加入していた保険のおかげでキャッシュレス、つまり病院から直接保険会社へ請求してもらうことができたので非常に便利でした。

 以前ならいったん全額を病院に払い、後で保険会社に請求するというものでしたが。また特定の保険会社と契約している医療コンサルタントというのもあり、今回先輩の紹介で特別にその会社から派遣していただいて、病院との交渉から通訳までとてもお世話になりました。
  



病院に入院することもある(救急病院)

【安心料はやっぱり必要かも】

  やはり病気や事故はいつ起こるかわからないので、万一に備えて保険に入らなくっちゃ、と今回のことで痛感しました。まあ昔と違って最近では国民健康保険が海外でも適用されるようになり、病院でいったん全額支払った後、日本で診断書を提出して手続きすればいくらか戻ってくるのですが。中国だと欧米に比べて医療費も安いでしょうし・・。

 保険の契約料も、12ヶ月だと高いけれど11ヶ月にすればかなり安くなるとか、短期で加入して家族に延長申請をしてもらうとか、セットでなく項目別にバラで選ぶとか、加入の前にいろいろ比較検討すればかなり金額が違ってくるようです。加入するしないは個人の自由ではありますが、安心料だと思って入っておくほうがいいのかもしれません。

 

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