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上海あれこれ

上海あれこれ@〜I


 上海あれこれM 07.4.17

「今年は黄砂が猛威を振るいそう」


 42日上海市ではまれに見る強烈な黄砂に見舞われたそうです。折しも寒気の南下と重なったため、42日は上海にしては珍しい本格的 な黄砂で、道行く車の屋根も白く埃が積もったようになったほか、外の景色を見ても全体的に黄色かかり、おかげで市内の洗車場は大繁盛していたとのニュースもありました。

 今年は暖冬の影響もあって黄砂の影響が大きくなるとされています。例年だと雪が降ったりして水分を含んでいる内陸の乾燥地帯が暖冬で特に砂が運ばれやすく、これまでとは違った被害が出そうです。日本も黄砂とは無縁ではありません。以下にあるように汚染物質などが降って来て直接的な被害を受けることも多いのです。

 黄砂現象は東アジアの砂漠地帯や黄土地帯から強風により大気中に舞い上がった黄砂粒子が降下することを指します。一般的に黄砂による影響として人の呼吸器官への被害、車や建物に降り注ぐ物理的被害、農作物への被害、電波の乱反射による受信障害から、大気中にとどまり太陽放射を遮ることによる寒冷化にまで広がるとされています。
 
 最近では中国の急激な経済発展により大気中の汚染物質が含まれるなど、人体への影響が大きいとの研究結果も出ています。マンガンやヒ素、クロム、ニッケル、鉛、カドミウムなどの重金属が砂粒に付着し、これまでより直接的に人体へダメージを加えるのです。


                   黄砂の影響


 大きな被害をもたらす黄砂を沙塵暴と呼び、歴史の記録に残っています。中国西北地域では紀元前3世紀から1990年まで発生した砂塵暴は140回で、平均16年に1回発生しています。20世紀初頭から90年までは87回(約年1回)となっています。最近はさらに増え、00年が15回、01年が18回、02年が12回です。特にひどかったのが93年5月5日に西北地区4省を襲った砂塵暴で、死者85人、行方不明31人、家畜数十万頭が死亡し、数十万haの農地に被害を与えました。

   それだけに中国では対策に躍起になっています。まず砂塵暴の研究・観測体制を進め予測水準を高めようというもので、02年からは全国砂塵暴専門化委員会が発足しました。2つ目が退耕還林(農地を森林に戻す)、環境保全、植生政策を進め生態系を保持しようというものです。そして防沙治沙法や森林法など法律遵守の強化と宣伝活動で、大衆の意識の向上と科学的な対処を求めるものです。
 
 しかし中央が躍起になってもなかなか対策が進みません。というのも中国北西部は沿岸部に比べ経済発展も遅れているし所得の向上も低く、地方政府はまず何より自らの地域の発展を望みます。そのためには工場誘致や都市基盤の整備が必要で、環境・植生対策は後手に回ります。都市部との格差という地方の不満がある限り、発生源を防ぐことが難しくなるのです。
 
 必要なのは豊かになった都市部から地方へ資金を回すなど所得の再配分をすることで、地方に負担をかけないシステムを作ることではないのでしょうか。
 

 上海あれこれL 06.6.12

「大卒の初任給も厳しい大都会の仕事の現実」


 生活の糧として必要な賃金。経済発展が続く中国では年々初任給は上がっていますが、地域や職種によって明暗は分かれそうです。

 上海市労働社会保障局が3月に発表した05年の上海の労働者の平均賃金は、月2235元(約3万3千円)で、前年より9.9%増となっています。一方新卒者初任給は平均で2014元となりました。これは大学、大学院、専門学校、高校を卒業した約3万人を対象にまとめたものです。
 
 分布を詳しく見ると、1001元〜2000元が45.5%で最も多く、2001元〜3000元が29.1%、3001元〜4000元が13%、4000元以上が8.3%となっています。学歴で見ると大学院卒は平均3769元、大卒2262元、専門学校1760元、高校生1400元です。学歴による差が専門性や技術性によることも多く、やはり理科系の給与は高くなります。レストランのウエイターなど単純サービス労働は800元から1000元と低くなっています。上海市の最低賃金が月690元もしくは時給6元ということなので、職種による厳しさがわかります。

 大学卒業生が急増する中で就職率も下がり、新卒者には就職氷河期が到来するかもしれないと予測されている中で、新たに問題となっているのが試用期間です。上海市労働合同条例では労働契約が6ヵ月から1年の場合は1ヵ月、1年から3年の場合は3ヵ月、3年までの場合は6ヵ月までの試用期が認められています。しかし実際には1年の労働契約にも関わらず、1年の試用期を設定する企業もあるぐらいで、就職難を利用した企業の非合法な行為も目立つというのです。 

                   ビジネス社会への競争は熾烈だ


 一方では出稼ぎ労働者の労働力不足と賃金高騰化が表面化するなど、全国的な規模での雇用のミスマッチが生まれています。

 出稼ぎ労働者の多い広州市では食事・住居つきで800元〜1200元、技術がある労働者では2000元以上とする企業も出ています。また08年のオリンピック景気が本格化する北京地域へ出稼ぎがシフトする動きもあり、地域によっては労働力不足が深刻化するとも予測されています。

 地域的な経済発展の格差が顕著な中国では、新卒者といえどただ大卒というだけでは価値がなくなり、ますます専門性の高さが要求されます。

 また日本など外国の企業の進出も、「安い労働力を確保できる」といった理由だけでは対処できなくなり、優秀な労働者の確保には地域社会への貢献なども必要となるでしょう。
 

 上海あれこれK 05.10.24

「偽上海蟹に注意して選択を」


 食欲の秋で中国の味覚といえばまず取り上げられるのが上海蟹ではないでしょうか。この季節になると市場でもレストランでも1斤(500グラム)いくらという表示が出され、上海市民だけでなく観光客も上海に来る楽しみの一つのになります。今年は上海蟹の収穫量が例年より1割以上多いため価格が値下がり傾向にあるといわれています。

 上海蟹は中国第1の第河・長江の下流域を生息地とするモクズガニのことで、厳密な意味で言うと9月から11月に蘇州近郊の陽澄湖で獲れるものだけが上海蟹なのです。もちろん今では天然物はほとんどなく養殖が主で、各地で養殖されたモクズガニが上海蟹として売られているわけです。

 中秋節が過ぎ、国慶節あたりになると毎日何百トンという蟹が上海市民に食せられます。蟹はもちろんそのまま蒸したのをそのまま食べるのが、特にミソを食べるのがおいしいのですが、レストランでは蟹粉豆腐(カニミソと豆腐の煮込み)や蟹粉小龍包などからフカヒレと蟹ミソの煮込みなどさまざまな料理がメニューに載ります。旧暦の9月はメス、10月はオスがうまいといわれますので、これからはオスがお勧めかもしれません。

 ただ上海蟹は高栄養なので食べ過ぎず、体調や食べあわせに注意しましょうと呼びかけられます。「肉、柿、スイカなどと一緒に食べない」「冷たいビールは避け、熱燗や紹興酒などのお酒がお勧め」などとウンチクを傾ける人もいます。


                   さあ、何杯食べられるか


 しかし上海蟹もこれだけ需要が伸びるといろいろな問題が発生してきます。その最大のものは品質の問題です。陽澄湖産の蟹が人気があると書きましたが、今年の陽澄湖産の蟹は2000トン前後で、これまで毎年各地で陽澄湖産のブランドを掲げたのは10万トン以上あったそうです。つまり偽ブランドです。

 蘇州市ではブランドを守るために特に指定した7企業に販売を認め、そこから出される蟹にはレーザーで数字を刻印したり指輪をはめたりと品質を保障する作業をおこなってきました。しかしすぐに偽指輪も出回りましたので、今は蟹につける原産地保障のタグを配布しています。タグには番号が書かれており、携帯電話などから入力すると品質の情報がわかる仕組みとなっています。まあこの方法もいつまでもつかわかりませんがね。

 もう一つは養殖の過程での質の維持の問題です。生活排水の増加や開発工事などで川や湖が汚染され養殖池の蟹が死亡する事件も発生しています。そして大量の抗生物質の投与です。蟹が死亡しては大損ですから、どんな薬が撒まかれているかわからない、というのが上海人の言葉です。

 市場にニセモノや劣悪な品質の蟹が出回ることは消費者の健康にもそのまま影響します。信用があって初めて成り立つ消費の世界です。とは言うもの自分の身を守れるのは自分だけ。レストランでは値段に惑わされずに生産地などしっかりチェックしましょう。
 

 上海あれこれJ 05.3.23

「上海人気質はどうなる」


  上海は中国の開放経済の流れにのって急速な発展を遂げてきました。それは経済面だけでなく文化や教育でも他地域とは違うレベルを享受できる形にし、そのことがまた人の集積を生み出し、新たな発展の基礎になっていったのです。

 政策面でのリードはありつつも上海という土壌が生み出したいわば“上海人気質”がなければ今のような発展にはなっていなかったかもしれません。人をその出身地域によってひとからげにしてしまうのも危険なことですが、上海人は他地域の人間からは芳しくない評判を得ています。

 例えば「賢いけれど傲慢で計算高い、口が達者で自己中心的だ、ケチケチしている」などです。会議に参加してタダの食事が出てくると、「上海人は他人のことを考えないで一番いいものをしっかりと食べてしまう」。また「みんなで集合写真を撮るときは一番目立つ最高の場所に陣取ってしまう」。

 これは逆に言えばチャンスと見ればその期を逃さないことにつながるのでしょう。上海の未来はこんな精神を理解するとわかるのかもしれません。ただ未来にはバラ色だけが待っているのではありません。
 
                   子供達の未来の姿は


  例えば人口問題。中国では今後20年以内に2億人が増加すると予測されていますし、男女の新生児比率が10数%男性が多いという不自然な比率で、なおかつ高齢化も進んでいるのです。上海では65歳以上の人口比率が10年には23%、20年には35%にもなると予測されています。

 子供達の生活面では、中国青少年研究センターが北京、上海、広州、蘭州、成都、長春6つの都市で調査を行なったところ、23%の児童・生徒が毎日朝食を取っておらず、3割以上の子供がスナック菓子を好むと答えています。上海ではコンビニが多く、朝ごはんをそこで買い食いする様子も見かけられます。

 一方で上海の中高生で携帯電話を持っているものが70%にも及ぶというアンケート結果も出されています。情報化は若者に「親指文化」をもたらしていますし、かつて一人っ子政策の時にわがままな子供(小皇帝)が育つといわれましたが、いまやうまく社会生活が出来ないというのが悩みになっているようです。

 情操教育や集団行動など学校もさまざまな工夫を凝らしているようですが、結局は親の生き方が見本になるわけで、実利にさといといわれるだけではよい見本にはなれません。街づくりが一段落したあと、生活面で上海人はどんな財産を残すのでしょうか。
 

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